人の話は最後までちゃんと聞きましょう。
「魔王様、私はガッカリですよ、本当にガカーリですよ」
側近のヴァンパイアがため息混じりに言ってきた。
「な、何のことだ? 」
「サキュバスから聞きましたよ。冒険者(レンジャー女)にお金を渡していたと……」
「あ、いや、なんだその……ほらあれだ」
「黙らっしゃい!!」
ヴァンパイアは強烈な一喝を放った。
「ヒィ! ごめんなさいっ! だってお金あげなきゃ魔族って言いふらすって言われたんだもん、仕方なかったんだよ!」
「貴方には魔王としての自覚が無くなっています! 腐っても鯛しかり、腐っても魔王なんですよ!」
あ、俺ってもう腐ってるんだ……。
「しっかりして下さい、相手はたかが人間の女じゃないですか。」
「だって向こうの方がレベル上だし、手が出せないんだもん」
「はー、情けない。手が出せないなら向こうから出してくるように仕向ければいいことです」
「んえ?」
「魔王様は魔族です。しかもレベル10は越えています。あのスキルを覚えられるじゃないですか」
「ハッ! もしやあのスキルのことか!」
「そうです、魔族がレベル10になったら覚えられるパッシブスキル『魅了』です!」
「私も若い頃はこのスキルを使ってブイブイ言わせたものでしたよ!」
「さすが、我が右腕ヴァンパイア! 」
「女は少し強引な方が好きと言いますからね、頑張ってグイグイいってくださいよ」
「任せろ! よーし、レンジャーめ待ってろよ。じゃあちょっと行ってくる!」
「あっ、魔王様っ! 」
魔王は転移のスクロールで消えてしまった。
「魔王様……魅了はモンスターも引きつけます、道中はパッシブを解除して…………」
魔王の受難はまだまだ続くっ!
魔王の現在のレベル→15
HP→126
MP→60
力→30
魔力→32
知力→50
物理防御→18
魔法防御→51