冒険者がスライムを嫌いな理由が少しわかった日
気軽に読めるダイアリー的に(笑)
こっちも気を楽にして書いています(ノ)・ω・(ヾ)
事の発端はデーモンだった。
街の商人が高価な転生スクロールを密売しているという噂を聞き、デーモンが脅して一つ奪ったのだが、なんせデーモン (レベル500) の知力はあまりかんばしくなかったため、偽物の粗悪品だとわからずに魔王に献上してしまったのだ。
「はぁ、これからどーしよ。 参ったな。 」
レベル1になったヒキニートの魔王は寝室にこもっていた。
一晩中泣いたせいか目の下にはくっきりとクマが出来ているのだが、実際もともと血色が比較的悪いので本人はさほど気にしていない。
「今までの装備品もレベル足りないし、ヴァンパイアから極秘に調達してもらったこの悪魔の入門衣 (装備レベル1) のままって訳にもいかないよなー 」
十人は横に並んで寝られるであろう特大のベッドの上で、ゴロゴロと転がりながらうなだれていると、扉をノックする音が聞こえた。
「魔王様、頼まれた物を連れてきました。 失礼しても? 」
側近のヴァンパイア (レベル750) だ。
「おー! 待っていたぞ! 」
魔王は待っていましたと言わんばかりの勢いで、ヴァンパイアの元へと行った。
「始まりの草原で捕らえてきました、チムチム (スライム系) のレベル2です」
ヴァンパイアが鉄製の檻に入れて持ってきたのは、冒険者が皆初めに通過する 「始まりの草原」 に生息しているスライムであった。
まるでド〇クエに出てくるスライムの先っぽを切り取った様な、青くてゼリー状のプルプルして可愛いモンスターだ。
「ふふ、低俗の中の低俗のスライムごときがこの魔王の糧になれること、誇りと思え! 」
ビシッと指を指し、チムチムに魔王の威厳を見せつけた。
だが、チムチムは怯むことを知らない。
「よっ! 魔界の王! 我等が主様! 」
ヴァンパイアは涙を流しながら拍手を贈る。魔王に支えて既に何百年と経っているものだから、魔王を溺愛していた。
そして、戦いが静かに始まった…… 。
チムチムはプルプルしている。
魔王はこん棒を構えた。
チムチムはプルプルしている。
「くらえ! これが魔王のチカラだああ! 」
魔王は高く飛び上がり、今出せる全ての力を込めてチムチムに会心の一撃を放った!
こん棒は見事にチムチムをとらえたが、弾けたチムチムの一部が魔王の目に直撃した。
「ギャアアアアアア!!! 」
チムチムは酸系のスライムだった。
魔王は目を押さえながら転げ回っていたが、そのうちピクリとも動かなくなった。
何も言わずにヴァンパイアは復活のスクロールをとりだした……。
魔王の受難はまだまだ続く。
魔王の現在のレベル→1
HP→13
MP→6
力→5
魔力→10
知力→20
物理防御→2
魔法防御→20