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説明書って読まない人が多いみたいだけど、後で後悔することあるよ。


これはとある世界の物語。


この世界ではスクロールというアイテムを使い、自分の強さをレベルで見る事ができるのである。


ちなみに、強さのレベルは999が最高で、転生を三度繰り返すことができ、現状三回転生(三転)をしてるのはこの世界でGODと呼ばれている。


が、それは伝説とされていた。


そして、この世界の魔界で転生をしようとしている魔王がいたのだが……





「魔王様、そろそろ転生を考えた方が宜しいかと」


風格の良い美青年といったところだろうか、真紅の瞳に漆黒の髪、頭からは悪意を感じる角が二本生えている。

マントには細部までこだわった刺繍がほどこされ、優雅に揺らめいていた。


「……そうだな、更なる力を求めるには転生しかないか」


闇に染まったマントをひるがえすと、魔王は近くにある転生スクロールに手を伸ばした。


転生とは現状のステータスを維持したまま、新たに生まれ変わることである。


「ふふ、ついにこの時が来たか。これ以上強くなってしまったら勇者が可哀想だが、それはしたないな」


魔王がニヤリと笑うと、その口元からは立派な牙が垣間見えた。


魔王の現在のレベル→999

HP→6000

MP→9999

力→100

魔力→9999

知力→9999

物理防御→2000

魔法防御→9999


「さぁ! 転生のスクロールよ! 我を更なる高みへ誘え! 」


魔王がスクロールを広げ天高らかと上げると、転生スクロールが眩い光を放ち、魔王を包みこんだ。


これが転生か!

なんという心地よさだ。

まるで全てが浄化され、身体が軽くなっていく!


軽くーーー


「…… 」


「………… 」


「……………… 」


『テッテレー! 転生が終わりました。アナタのレベルは1です』


「…… 」


「………… 」


「………………… 」


「え? 」


魔王は何が起きたか把握できずに、手に持っていた転生スクロールをもう一度みる。



魔王の現在のレベル→1

HP→13

MP→6

力→5

魔力→10

知力→20

物理防御→2

魔法防御→20


「ふぁっ!? 」


今まで出したことのない声が出た。


「……魔王様? どうなされました? 」


魔王の側近のヴァンパイア(レベル780)が心配そうに魔王の肩に触れた。


パキッ



「ちょっ! おまっ! 骨っ! 」


ヴァンパイアが触れただけで脱臼してしまった。


アンデッド属性だったから痛みは感じなかったが、自分のHPが瀕死の状態まで下がったのがわかった。


「魔王様 …… ? 」


ヴァンパイアは不思議そうに魔王を伺う。


「……ヴァンパイア。 お前は今自らの手で主を消滅させようとしたんだぞ」


魔王は下唇を噛みながら、頑張って涙を堪えた。


「なななななんですと!? いったい何が魔王様の身に起こったと!? 」


素っ頓狂な声を上げ、魔王にしがみつくヴァンパイア。


「……転生したらレベル1になってしまった」


それを聞いたヴァンパイアは、声も出さずにその場に白目を向いて倒れこんだ。


「やべえ…… マジでやべえ。 どうしよこれ。 魔王の威厳ゼロだよ。 マジでこれ」


魔王は頭を抱えて絶望を感じた。

日頃の行いが悪かったせいなのか、はたまた魔王なんかしていたからなのか。

その夜、魔王の部屋からは一晩中すすり泣く声が聞こえたとか聞こえなかったとか…… 。


魔王の受難はまだまだ続く。




魔王の現在のレベル→1

HP→13

MP→6

力→5

魔力→10

知力→20

物理防御→2

魔法防御→20


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