2話 転生先はトイレの妖精
「それでは手続きを始めさせて頂きますね、あなたのカルマは中立の3ポイントですね。と、いうことはここをこうして、はい。準備が出来ました。」
え、ちょっとまってそこ詳しく聞きたいんだけど!?
「あ、わかりました。まず前世の行いによって内容が変動する事は説明しましたね?中立の場合は全ての選択肢から選ばれます。そしてポイントが3なので善の確率が3%上昇しています。」
そのポイントってどういう基準なの?
「あなたの場合ですと「自立した。1ポイント」「拾った財布を届ける。1ポイント」「ゴミを拾ってゴミ箱に捨てた。1ポイント」ですね。他は相殺されてます、詳しい内容をお聞きになりますか?」
いえ、結構です。もういいです、これ以上聞いたら泣きそうです。
「それでは転生する世界から決定していきます。こちらのボタンを押して下さい。」
ポチ
「転生先は第10353番世界です。現地語で『ジュエルシード』です。詳細はこの後、担当よりご確認下さい。」
地球じゃなかったか、残念。まぁ、しょうがないか素晴らしい世界を期待したい、出来ればご飯が美味しくてかわいい女の子がいる世界希望。
「では続きまして種族を決定してください。」
ここは気合いが入るな、虫だけは避けたい。
「種族は『トイレの妖精』です。各項目の詳しい説明は基本設定が全て終わった後にご自身でご確認下さい。」
妖精か、実際見たことないからイメージが難しいけどファンタジー小説とかだとそんなに悪い印象はないな。人じゃないのは残念だけど、虫よりはいいはずだ。
「次に適正職業を決めて下さい。あくまでも適正ですので基本的に現地で就く職業は自由に選択が可能です。」
なるほど。プロ野球選手なら野球の才能持ってるけど、努力してサッカー選手になるのは自由って事かな。じゃポチっと。
「おめでとうございます。あなたの適正職業はダンジョンマスターです。これは勇者や魔王と同確率0.0001%の特殊な職業です。更に詳しく説明させて頂きますね。」
「ダンジョンマスターはポイントを使ってダンジョンを作成し、その運営管理が仕事です。ポイントの入手方法は世界によって様々です、是非ご自分の手でご確認下さい。また特殊な点はダンジョンの寿命がそのまま自分の寿命になるという事です。ダンジョンコアを破壊されない限り死ぬことは御座いません。そしてチュートリアル機能が付与されます。」
ダンジョン攻略されたら死ぬっていう事か、これハイリスクハイリターンだな。チュートリアルってなに?
「ダンジョンマスターはその特殊性で不慣れな方ですとすぐに死んでしまうのです。そうした状況を打開する為に転生の際に専用のナビゲーションが付き、一度だけ死んでもダンジョンコアが復活する機能です。」
ナビゲーションに従って一回実際にダンジョンを作ってみるって事かな。そしてダンジョンコアが復活して一回だけやり直せると、二回目は慣れてるはずだから上手く生き延びろっていう事なのかな。
「その認識で大丈夫です。一度死ぬとナビゲーションは消えますのでご注意下さいね。」
「これで基本設定は終了です。詳細設定は転生先の担当から説明を受けて下さい。お疲れ様でした。」
その瞬間、目の前の担当者が変わっていた。なにが起きたんだろうか、説明求む。
「こちらは第10353世界担当受付です。先ほどの場所から直接転移させて頂きました。説明が足らず申し訳御座いません。」
あ、大丈夫です。気にしてませんから、頭下げないで下さい。
「ありがとうございます。それでは確認させて頂きます。種族『トイレの妖精』、適正職業『ダンジョンマスター』以上でお間違いないでしょうか。」
はい大丈夫です。お願いします。
「それではトイレの妖精から説明させて頂きます。こちらはトイレに存在する妖精でトイレに入って来た人を落ち着かせたり、逆に怖がらせたりすると言われています。固有魔法が『トイレ魔法』属性は光・火・風・水、光で明るくしたり、火で便座を温めたり、風で温風を出したり、水で流したり出来ます。固有スキルは『吸収』です、こちらは妖精の固有スキルで精を吸う吸収も能力の一部に含まれています。」
ウォッシュレットは大事だもんね、納得の機能。いや、納得の魔法だ。確か妖精って花の精とか人の精を吸って生きるんだっけね、納得納得。
「通常であれば魔法の適正やスキル等もランダムで選択するのですが、こちらは特殊な種族の為固定となっております。ご了承下さい。」
「次に容姿の選択です。こちらはこの世界においてのモテ度となります。」
確かにブタの顔を選べって言われても分からないし、数値だけで適当にしてもらった方が確実かもしれないな。ってことでポチっと
「モテ度92%です。あらゆる存在から愛される数値ですよ!おめでとうございます。」
たかっ!前世でモテなかった分、こっちでモテモテだ。妖精だけど。
「最後に転生場所を設定します。ボタンを押して下さい。」
ポチ
「転生先は『ブルーランド王国』です。こちらは大陸の中心からすこし東にある海に面した国で農業と漁業が盛んです、人口は約1億人です。」
良く分からないな。ただ、1億ってことは結構大きい国なのかな。
「それでは転生を実行しま・・・「お待ちなさい。」え?ウルティアラ様!」
誰だろう?美人さんが来たけど、神々しいというかなんか溶けそうなんだけど。
「私はジュルシードの女神ウルティアラです。はじめまして。」
はじめまして。とりあえずオーラで溶けそうなので何とかなりませんか?
「おほん、失礼しました。実はあなたにお願いしたい事があって参りました。現在ジェルシードは魔法と機械技術の発達により人口が飽和状態となっています、理由はいくつかあるのですが長らく魔王が誕生しておりません。それによって魔物の活動が沈静化し、人間も死ぬことが少なくなりました。それ自体は悪いことではないのですがこのままでは輪廻の輪に送還出来ずに他の世界へ悪影響を与えてしまいます。それに私の毎月のノルマも・・・、ゴホン失礼。」
「そこであなたにはダンジョンを使って人類の調整役になって頂きたいのです。魔王のように幼い子供、善人悪人関係なしに輪廻の輪に送り返すのではなく、ある程度の欲に溺れた者、そうダンジョンへ宝物や名誉を求めてやってくる強者の魂を輪廻の輪に送還して世界のバランスを取って欲しいのです。必要悪とはいえあなたには辛い役目になるかもしれませんが、どうかお願いします。」
ようするに人口増えすぎて世界のバランスが崩れてるし、毎月輪廻の輪に送還する魂のノルマがクリア出来なくて困っているので助けて下さいっていう事か。
「正直に申し上げてそういう事です。この数多の世界全てでバランスを取っているので1つの世界が豊かになりすぎてもそれは行き過ぎれば毒となるのです。」
「そうそう、ダンジョンマスター用の強化ポイントはダンジョン内で人が死んだり、その死体を吸収する事で獲得出来ますよ。」
と、いう事は長生きしようと思ったら殺っちゃうしかないのか。元人間としては罪悪感があるんだけどなぁ。
「その点は大丈夫です!ダンジョンマスターになった時点でそういった倫理観念はありませんので!」
いいのか悪いのか分からないけど、人を殺しても何も感じないっていう事か。
「それにダンジョンが大きくなればあなたも進化出来ますし、そうすれば人の姿にもなれますよ。そしたら結婚とか出来ますし、確かあなたの前世の未練って確か・・・。」
それ以上言わなくてもいいです。やります、やらせてください。俺に選択肢なんて最初からなかったんだ。
「やってくれるんですね!ありがとうございます。ダンジョンの詳細については現地でナビゲーションに確認してくださいね。では早速行きましょう、すぐ行きましょう!」
ちょ、なんか勢いが凄いんですけど。取り合えず行って来ます?
お読み頂きありがとうございます。
本日の投稿はここまでとなります。今後もよろしくお願い致します。