表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

1話 俺が死んだ日

 俺は山田海斗、居酒屋でバイトリーダーをやってる。今年32歳になる、若いうちはなんとかなると思ってだらだら生きてたらいつの間にかこうなってた。適当で面倒臭がりの性格が災いしたのかもしれないけど、あんまり気にしてない。


 その日はバイトが終わって仲間達と飲んで、それから帰宅したと思う。と、いうのも今俺は光の玉になっている。何を言っているか分からないかもしれないが本当だ、信じて欲しい。


 周りを見ると同じような光の玉が無数にある、綺麗に並んでいるそれがどこまでも続いている。そのまま流されるように進んで行くと遠くに建物のような物が見える、あそこまで行けば誰かに聞く事が出来るかもしれない。俺の近くの奴らは話しかけてもウンともスンとも言わない。いや、全く音がないのだ。意識はあっても声は出ていないんだと思う。


 さらに流されて扉の前に来た。綺麗なお姉さんが受付のような所に座っている。俺の順番になった。


「はい、次の方どうぞ。状況の説明は必要でしょうか?」


 唐突に声が聞こえた。状況の説明は是非して欲しい、正直いくら考えても全く意味が分からない。


「畏まりました。それでは簡単に説明させて頂きますね。ここは輪廻の輪の外側。地球風に言うと天界とか神界とか、そういった死んだ人間の魂が行き着く場所と理解して頂ければよろしいかと思います。」


「そしてここは死んだ魂を輪廻の輪に戻す為の場所。地球風に言うと神様会社転生課という感じでしょうか。ここまでよろしいですか?」


 と、いう事は俺はあの日死んだのか。そして転生する為にここまで来たという事だな。


「その認識でかまいません。そして全ての魂は生まれ変わる為にここで選択をする事が出来ます。1つは記憶を持ったまま転生する。もう1つは記憶を消して全く新しい魂となる。このどちらかをこの受付で選択して頂いております。」


 どう違うのか分からないな。記憶を持ったまま地球に生まれ変わるか、俺の記憶というか意識というかそんなのは消えてしまうって事なのかな。


「そうですね、あなたがあなたという存在でありたいなら、記憶をそのままにして転生するしかありません。」


 なるほど。じゃあ俺は記憶を持って転生したいな。まだやりたいこともいっぱいあるし、アニメとか小説の続きも気になるしな。


「畏まりました、それではこの番号札を持って右の扉へお進み下さい。」


 俺はH89番という札を渡されて建物の中に入る。中は銀行の窓口のようなものが沢山並んでいる。どうやらあそこへ呼ばれるまでここで待てばいいようだ。


「H89番をお持ちのお客様いらっしゃいませんか?いらっしゃいましたらHの窓口へお越しください。」


「本日はよろしくお願いします。こちらのご利用は初めてですか?」


 初めてです。というか何回も来れるものなのか、聞いたら説明してくれるのかな。


「それでは記憶を持ったまま転生される場合の詳しい説明をしますね、少々長くなりますので質問は後ほどお願い致します。」


「まずはこちらの端末で転生する世界、種族、適正等の多数の項目がランダムによって決定されます。この際に生前の行いによりランダムの内容が変化致します。例えば、生前に悪逆非道を尽くした場合は種族が虫や植物になる確率が上がり厳しい環境にさらされたり、いい行いを積み重ねていれば人間の国の貴族に生まれたりします。どのような魂でも基本的に輪廻転生の輪から外れる事はありませんので何度も転生を繰り返される方もいらっしゃいます。」


「基本的な項目が決まった後は該当の世界の担当者と更に詳しい項目を決定していきます。もちろんランダムですが。世界によって文明や形態が全く違いますのでここでは詳細を省かせて頂きますね。」


「その後、転生という形になります。入り口の受付で記憶を引き継がない場合は左の扉から全く新しい魂としてランダムに転生するようになっております。ここまではよろしいですか?」


 なるほど。基本的に運次第か、自分の行動次第でここでの選択肢が変わるという事だな。悪人が永遠と転生し続けたら困るもんな。それに一度転生して満足したり、ひどい目にあったりしたら記憶を引き継がないっていう選択も出来るってことだな。

 さっき基本的に外れないって言ってたけど、どうやったら外れるんだろうか、ちょっと興味あるな。


「例外としては善行を重ねて神に到る、私たちのように管理者としてスカウトされる、魔王として討伐されて消滅する。といった所でしょうか。」


 魔王がいるんだ、恐ろしいな。


「では、ちょっとだけ魔王の説明を致しますね。魔王はここで適正職業が『魔王』になる場合と、悪人が未練を持ったまま虫になってもイチゴになっても挫けずに何度も転生し、運良く力を持った存在として転生先で自力で魔王と呼ばれる存在へ到る場合があります。前者は0.00001%の確率で、後者はそれこそ1万回の転生を繰り返す事もあります。そして魔王は勇者に討伐される事によって完全に消滅します。」


「ちなみに勇者も0.00001%の確率で転生可能ですし、世界によっては村人から選出されたりもします。そして魔王を倒した者は輪廻の輪を外れて神、もしくは管理者になります。地球で言うと公務員と似た感じですね。」


 神様って公務員みたいなものなんだ。なんかイメージが崩壊したぞ。とりあえずそんな確率を引くことはまずないだろうし、魔王の心配はしなくても良さそうだな。


「他に質問がなければ転生の処理に入らせて頂いてもよろしいですか?」


 とりあえずやってみるか。どっちにしても記憶を持って転生する事になるんだし、悩んでも仕方ない。

お読み頂きありがとうございます。

「ありふれた大賢者のありふれた人生」という作品も連載しています。今のところそちらをメインで考えていますのでこちらは不定期連載になりそうです。

それでもいいという方は是非これからもお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ