表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

百合の蕾が、芽生える。

百合には「純粋」などの花言葉があります。

でも女性の同性愛の『百合』って純粋なの?って思っちゃいます。

まぁ見ていてとてもきれいには見えますけど・・・

「はああぁぁ~~~・・・」


結局あの後もまた迷子になって最初のHRに間に合わなかった・・・


春休みに積み上げた経験値って実践になるとこんな程度なの?あれだけのイケメンを落としてきたのに・・・


やっぱりゲームはゲーム。私の努力は無駄だったわけだ。



「・・・あの人、名前なんて言うのかな。」


私の頭の中は今それでいっぱいで、他のことなんて考えれない。


あの人の名前を知りたい。


知ったところでどうにかできるわけでもないけど、知れば何か変わるような、そんな気がする。


「・・・帰ろう。」

私の独り言が誰もいなくなった教室で反響する。



放課後。っていう時間帯でもないけど、入学式も終わって今日学校ですることは何もなく、他の人たちはそれぞれ目的をもってどこかに行った。


私はそんな目的もない。暇人はオールウェイズ暇なのだ。



出席番号順で決まった席を立つ。

椅子が床と擦れる音すら虚しく聞こえる。


「あら。新入生がこんな時間に残ってるなんて、珍しいわね。」


「・・・え。」


ビックリした~・・・

今この学校にいるの私くらいだと思ってた。


「突然話しかけてごめんなさい。外からたまたまあなたの姿が見えたものだから、少し気になって。」


「・・・はあ。」


丁寧なしゃべり方。


風になびく綺麗な黒髪。


顔は凛としていて、すごく、大人っぽい。


大人の女性ってこういう感じの人のことを言うのかな。


「それにしても、ふふっ。こういうのって本当にあるものなのね。」


「こういうの?」


「・・・ええ。私、今までにそういう経験なかったから、最初は戸惑ったわ。でも・・・」



歩み寄ってきたその人は突然、私の唇を奪った。



「あなたを実際に見てわかった。これが一目惚れ・・・これが恋なんだって。」


「え!?い、いや、あの!ちょっと!ん、んん・・・!?」



私の、ファーストキス・・・奪われちゃった・・・


でも、なんだろ・・・


気持ちよくて、何も考えられない。


キスって、こんなに気持ち、いいんだ・・・



し、舌が・・・私の中に、入ってく、る・・・!


だ、ダメ!これ以上は・・・おかしくなっちゃい、そう・・・



「・・・っぷは!な、なんなんですか!?い、いきなり、わ、私の・・・!」


「あら、唇と唇を重ねただけよ?それだけで照れるなんて、かわいいのね。」



だ、ダメだこの人・・・恥じらいの感覚が狂ってる・・・

こんな人、春休みにやってきたギャルゲーにも、オトメゲーにも、エロゲーにすら出てこないよ・・・



「それじゃあ本番に、入ろうかしら。」


「は!?ちょ、ちょっと待って!本番って!?」


「あら?恥ずかしいから直接言わなかったのに。セックスよ?知らない?」


恥ずかしがるのそこ!?ちがうでしょ!?


学校でセッ・・・あんなことやろうなんて言う人いないよ!



「あら、服が邪魔ね。脱がないと・・・」

「し、失礼しますぅううぅぅう~!」


「あ、もう。行っちゃった。これからなのに・・・」





なんなんだなんなんだなんなんだ!


一目惚れして、一目惚れされて、初めて奪われて、それで!



頭がおかしくなりそう。


何も考えられない。



私の頭の中はあのおとこの娘のことで頭がいっぱいで、それなのにあの黒髪美人のキスのことで頭がいっぱいで・・・



「どうなっちゃうんだろ、私の青春・・・」


太陽の光が、朝と変わらず桜の花びらを照らす。



私の純潔はこの舞い散る桜のように、散っていった。

「普通の恋愛を書こう」って思ってた昨日が嘘のようです。

まぁ、こうなることを見越してはいましたが・・・

こじれないようにがんばろ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ