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第5話 結婚

短めですが切りが良いので更新します。

1905年11月25日


■英国ロンドン バッキンガム宮殿


騙された!これが俺の脳裏に最初に浮かんだ言葉だった。

エドワード7世、トリア姉、あの禿チャーチルにだ。トリア姉は良いんだ、あの人は悪気が無いから、それに元々体が弱いのを王妃が心配して結婚させなかったそうだから。国王もこの際は我慢しよう、しかし禿にはなんかしてやるぞ!


「公、我が娘との婚姻に文句はあるまいな」

コノート公、貴方は只でさえ強面なんだから、そう凄まれると小市民の俺は嫌とは言えないでしょうが。

直ぐ側では、シアが大喜びで、トリア姉さんがにこにこしているし。


そして、とんとん拍子に進み、そのまま式典へゴー。

目の前にはエドワード7世陛下が俺の横にはシアがいて、神妙に話を聞いている最中。


「公には、母上からの遺言で、ガーター騎士としサセックス公、インヴァネス伯、アルクロー男爵へ叙し、長年の公共の福祉への貢献によりメリット勲章も叙すこととする」


うあ、ヴィクトリア婆ちゃん完全に囲いに掛かっているな、あの頃から判っていたけど、国王も流石と言えるよな。それにしても1896年に『ロイヤル・ヴィクトリア勲章のナイト・グランド・クロス』を貰って、1899年に地中海における英伊との協調関係構築を手伝ったと言う事で『聖マイケル・聖ジョージ勲章のナイト・グランド・クロス』も貰っているから、勲章の大盤振る舞いだわ。


「フェル兄様、シアはシアは嬉しゅうございます」

こう言われるとな、悪い気がしないし、別に恋人とかいないから、シアも可愛いしOKだよな。

「シア、幸せにするからな」

「はい」


と言う事で、シアとの婚姻は英伊両国で六月に開くそうだ。疑問系なのは、完全に、英王室とイタリア王室が仕切っているからで、俺の意見は完全シャットアウト!

まあ、シアは可愛いし、いじらしいから文句は無いんだけど、全てに於いて仕切られるのはなんか納得がいかないんだよ。



その後、数日間ロンドンに滞在してパーソンズ、ビッカース、アームストロングだとかの代表や技師長なんかと新規の製造やアイデアを出して製造や開発依頼を行ってから、禿に愚痴を漏らして、その後、王宮で国王陛下と再会談。


「公は、これからブリュッセル(ベルギー)から、デン・ハーグ(オランダ王宮、議事堂、諸官庁の所在地実質的な首都、アムステルダムは形式上の首都)、そしてベルリンかね」

「はい、それぞれ商売の話をしてこないと行けませんからね」


「ははは、流石だね。ベルギーからはコンゴを、ネーデルランド(オランダ)からはセレベス、ニューギニアを、ドイツからは南西アフリカの鉱山権か」

「流石ですね」

いつもながら凄いよな、英国の情報収集力は。


「まあ、我には、長い手と長い耳が備わっているからね」

「なるほど」


「期待しているよ、義甥殿」

「ご期待にそぐわない事が無いように気を付けましょう」


シアは一緒にイタリアへ行くと行ったが、トリア姉さんが花嫁修業をしなさいと説得して、六月まで会えない訳じゃないからと、俺の訪英も予定に組まれて納得させた。




その後、ベルギーでは、コンゴ自由国問題で世界各国どころか、自国民、更には王妃や娘からも嫌われ、批判されまくっているレオポルド2世陛下に会って、言葉巧みにコンゴを俺が買収の話に持って行って、1億£でゲット。いやーレオポルド2世は植民地欲しい欲しい病で、ベルギー政府が人道的とか面倒臭いとかで植民地確保に消極的なので、自分で各国と折衝して何処の誰のものでも無かった。無論白人の身勝手な話だけど……コンゴをてに入れた末に、ここは自分の私有地だと言う事で、リアルシムシティー状態になり、自分の有り金全部突っ込んで、開発開始したのは良いが、利益が上がらず、とうとう収奪に走ったと言う訳だ。


そのせいで、現地人は強制労働でゴムの採取を行わされて、規定量を採れないと手や足を切り取ると言う虐待が平然と行われ、1885年に3000万人いた人口が僅か20年足らずで900万人にまで激減したために、英国のジャーナリストにその非道さがすっぱ抜かれて、世界中からゴキ並みの嫌われようになったと言う。自業自得と言えばそうなんだよな。


余りの惨状にベルギー政府が国王に何とかしろと勧告してベルギー政府が嫌々ながら国王からコンゴを取り上げようとしたから、代わりに俺が買ったわけだ。国王も1億£なら喜んで売ってくれたし、政府も重荷を得ないで良いと言っていたからな。


尤も英国が購入とかだったら意地でも売らないと言う話しだったらしいが、俺がベルギー企業の大株主だから政財界からも反対が起きなかった訳だし、リビアでの現地人との宥和政策も後押ししたそうだ。


序でにFN社との話し合いや、イタリア軍向けの新式拳銃をFN社と繋がりの深い天才ジョン・ブローニング本人に御願いしたりして来た。


ベルギーの後は、ネーデルランドへ、オランダって言うのはホランド州の名前が鈍った結果で、実際にはネーデルランド王国なんだよな。オランダは最近やっとアチェ王国を下してインドネシアを完全植民地化したんだが、スマトラとかボルネオみたいに石油が出るとか、モルッカ諸島のように香料が採れるとかなら良いんだけど、他は赤字なので、そこを突いて、セレベス島、西ニューギニア、モルッカ諸島のゲベ島などの産物がない赤字の島を3000万£で購入した。


その後、ドイツへ行って、バイエルン王家出身のイザベラ母上やザクセン王家出身のエリザベッタお婆様のコネでドイツ宰相ベルンハルト・ハインリヒ・カール・マルティン・フォン・ビューロー侯爵との会談を行った。


当時ドイツは南西アフリカでヘレロ・ナマクア虐殺と呼ばれる原住民の蜂起とドイツ系移民の虐殺から始まった報復的虐殺を行っていて、駐留軍を増強するための費用問題が起こっていたので、その辺を話して、此方がBerg Aukas、Abenab付近の鉱山の採掘権と交換で、駐留費用分の税を納めるという事に話がついて、反乱が終わり次第、探鉱する事になった。


ドイツから汽車でスイスへ、ここではSIG社訪問、実はSIG社の大株主でもあって、色々研究して貰っているんだよな。何故かって言えば、イタリアの銃器会社はダメダメだからさ、この時代は世界に名だたるベレッタ社も老舗の銃器メーカーだけど、拳銃メーカーじゃ無く狩猟用ショットガンを製造していただけなんだよ。それにブレダ社なんかはあの悪名高きM1930軽機関銃のメーカーだし、どうにもならない訳だ。その為に、SIG社やエリコン機械類製造会社工作機械部とかにも投資している。


今回は、SIGが1908年にメキシコから製造依頼される筈のモンドラゴンM1908に似たガス圧駆動の半自動小銃の製造を頼みに来た。今の内から研究していれば、モンドラゴンの製造も楽に進むし、将来計画している、弾薬変更時にもスムーズに移管ができるからな。その為に弾丸の試作も発注している。それは、英国の.303ブリテッシュを原型にリムド型からリムレス型に変更した7.62mm×56小銃弾で、自動火器に最適な形になる訳だ。


本来ならドイツの8mmマウザーかアメリカの30-06にすれば良いんだろうけど、なにぶんイタリア兵の体格が小柄だから、今だってカルカノライフルは6.5mm×52小銃弾な訳だから、マウザーや30-06じゃ威力がありすぎなんだよ。そこで若干威力が落ちるが、十分な性能の.303ブリティッシュを改良することにしたんだ。


これなら、第二次大戦後まで使えるし、機関銃弾としても十分な威力だから、日本のように弾薬の種類が山ほど有って混乱することも無く成るからな。


それが終わり、スイスからイタリアへ帰って、ジェノヴァでは市民総出でお出迎えと婚約おめでとうの垂れ幕まであってこっぱずかしかった。ローマでは従兄殿の手荒い歓迎や政府首班との経済計画の話し合い、そして仲が悪いバチカンに招待されて、教皇の代理人の枢機卿から日頃の弱者救済を賞められて、前々から妥協点を探していた、イタリア王家とバチカンとの蟠りを解消するべき委員会の設置が決定。あとは少しずつ行くしか無いが最初の一歩を歩めた。



その後は、英国とイタリアを言ったり来たりを繰り返しながらいたら、いよいよ来てしまった。1906年6月の結婚式に、先ずは俺がイタリアからシアを迎えに行く形で英国へ行き、その場で国王陛下や王族たちと身内だけの披露宴をしてから、シアを連れてローマへ、そこで世界各国からの王族を含める招待者に祝福されて結婚なんだよな。


うー、マリッジブルーって感じなんだが、何とか頑張らないとだよな。


俺の隣にはドレス姿のシアがいて微笑んでいる。


結婚して、屋敷で新婚生活をおくる事、僅か1ヶ月で、俺とシアは義親父殿で有るコノート公と一緒に日本へ向かう為に、船に乗り込んだ、今回は英国は御召し艦として最新鋭装甲巡洋艦デューク・オブ・エジンバラとブラック・プリンスが参加、我がイタリアも新造装甲巡洋艦レジナ・エレーナが参加するので、日本も生意気なことを言えないだろうと考えたいものだ。


御父上の訪日は明治天皇にガーター勲章を奉呈するために、エドワード7世の名代となった訳だ。一応予定では9月10日から10月1日まで滞在し、日本各地を訪問する予定だ。俺たちには新婚旅行のつもりで行ってこいって事らしいけどな、小村がなーと思ったら、1月に桂内閣から西園寺内閣に代わったので、既に外務大臣じゃ無かった。


まあ、にっくき小村は英国大使として赴任しているから、不快にならないし、新婚と言う事で暫くは日本に対する圧力を弱めるとしようかな。今は下手な会談するよりシアとの子作りの方が大事だからな。

丁度日本は秋だから日光とか京都とか長崎とかを回って色々観光だね。


「貴方、何を考えていますの?」

「シア、いやね、1年ぶりの日本だからね」

「四季が素晴らしいんですって、楽しみだわ」

「ああ、美しい紅葉が見られるよ」


完全にラブラブだよ。


次回が日本へ


コンゴからはウラン、コバルト、銅、亜鉛、錫とかが採掘できますがこの時代は知られていませんから、1億£で買ってもボロ儲け。

セレベス島、ゲベ島にはニッケルの大鉱床があり、西ニューギニアには銅の大鉱脈がありますので、ここでもボロ儲け。

南西アフリカにウランに、ダイヤモンド、バナジュウムがありますので、此処でもボロ儲け。


バナジュウムは合金鋼に重要な資源ですからね。






レジナ・エレーナは本来は戦艦でしたが、この世界では装甲巡洋艦として完成しています。8インチ連装砲×6基です。

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