ため息
どんな楽しいことがあっても
こころのそこからは笑えない
どんなにおいしい食べ物も
あなたに食べさせられないのが悲しくて
味がよく分からない
きっとこれからもそう
ずっとそう
お父さんがため息をついて
お兄ちゃんがため息をついて
お母さんもため息をつく
お姉ちゃんはため息をつきたくなくて
四六時中忙しそうに動いている
そして何かの弾みに
家族は涙を流す
空が青くても
曇っていても
雨が降っていても
すべてはあなたの思い出につながっている
空気を吸っていても
音が聞こえてきても
何かに触れても
すべてはあなたにつながっている
あなたが息をしていない
あなたが歌を歌わない
あなたが何かに触れることはない
私たちが本当の家族であるためには
あなたが息をして
歌を歌って
手を握ってくれなくてはならないのに
あの日から
あなたが息をしていない
あなたが歌を歌わない
あなたが何かに触れることはない
だから
家族は途方に暮れる