砂の中
吸い込まれた先は砂の中。
鼻に口にと砂が舞い込んで‥‥こない?
てっきりこのまま砂に埋れて呼吸困難になって、苦しみの中死んでしまうと思ったが、そうはいかないらしい。
砂は体に纏わり付いてはくるものの、呼吸ができる。そう私と砂の間には空間があり酸素がある。砂の中にいるというよりは、まるで柔らかい砂嵐の中にいるようだ。
砂嵐、経験したことないからあくまでイメージだが。
ゆっくりと下降している感覚があるから、何処かに落ちているのだろうか。
もしくはこのまま永遠に死んでしまうまで砂の籠に閉じ込められてしまうのだろうか。
そうなると、窒息死ではなく餓死だな。
このよくわからないところで、誰にも知られず、誰にも気づかれないまま白骨化していく自分‥‥‥‥‥。
と、背筋がぞわっとする想像をしていたら、急に柔らかい砂嵐がやんだ。
途端に下降速度が早くなる。
どんどんどんどん早くなる。
自分がおそらく高いところから落下している、と気づいた時には地面が目前まで迫っていた。
窒息死でも餓死でもなく転落死か。
なんて呑気に考えてしまう自分が憎い。
体を衝突の衝撃が貫き、私は三度目の正直よろしく意識を手放したのだった。