12-1
「隊長、最初の一歩を」
「明梨パス、なんか名言も付けて」
「月面着陸!?」
イギリス軍トラックの荷台で明梨が困惑気味に立ち上がり後部の端まで移動、皆へ向き直る。朝っぱらからアレな1日だったため過半数が疲れ切っており、特にネアは一番奥で打ち捨てられた戦死者のポーズをしている。生気の失われた視線を浴びながらうんうん唸り、それでも数百人相手に演説していただけはある、客を待たせはしなかった
「えー、まさか1ヶ月かかるとは思いませんでした」
「「すいませんでしたー!!」」
「ちっ違う!そういうことじゃない!」
シグとメルが勢い良く跪くも観客は過労者と重症者と戦死者である、ピクリとも笑わない。唯一背後のイギリス兵がジャパニーズドゲザに感動しているが、2人の求めたリアクションはそうではなかったようで不満足げ
「ジャンボジェットが墜落した時はもう駄目だと思ってましたが!陸路で朝鮮半島からカザフスタンまで誰にも捕まらずに辿り着き、さらにはアメリカ軍の特殊部隊まで撃退して、皆さんは私をここまで連れてきてくれました!皆さんにはいくら感謝してもし切れな」
「姫、姫。つまんねえ」
「あんたらがやれって言ったんでしょうが!!」
明梨激怒、さていい加減降りるかと各員立ち上がる。肋骨が折れたまま放置プレイを食らっている正宗も半ば引きずられていく、鎮痛剤は効いているのだが愛車を失ったためあまり元気がない。最後にオレンジ色の頭が叩かれ戦死者復活
「じゃあもういい!?行くわよ!」
「うぇーい」
全員がトラックの後尾に並び、先頭の明梨が端へ立つ。イギリス兵が差し出した手を借りて最初の一歩を踏み出すと、明梨の身体は1メートル下のアスファルトへ落下した
ザリ、と乾いた音を鳴らす
「……」
「…………」
「………………」
アスファルトに立ったそのまま沈黙した。降りるのをアシストしたイギリス兵はやや対応に悩み、ここは鉄板でいくのが妥当と考えたようだ。両手を上げつつ、街の景観が見えるように1歩引き
「ようこそイギリスへ」




