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ワールドリファイン  作者: 春ノ嶺
我ら海豹止める者なし
91/106

11-9

「出てきた!出てきたぜ!」


穴の開いた城に意味は無いとばかりに敵部隊は全員が飛び出してきて、前衛部隊が残り僅かとなりつつある弾丸を撃ちかける。3秒後に紫髪の少女がスモークグレネードを半ダースほどぶちまけて、まもなく全員が煙の向こうへ消えていった


「煙には近付くな!格納庫を回り込んで反対側に出るぞ!」


サーマルで探知されたらたまったものではない、英仏トンネルのある南西へ向かうと予測し記憶していた周辺地図を思い出す。トンネルの内側まではイギリスの特殊部隊SASが来ているのも思い出した、いきなり撃たれはしないだろうが鉢合わせしたらかなり気まずい


「ニッケル!ここはもう用済みだ!移動しろ!……ニッケル!?」


スナイパーへ指示を飛ばすも応答は無く、ボロボロ穴だらけとなった格納庫の北を通って反対側へ。その際妙な油臭さを感じ、不審に思って西側に出る直前に減速


「なんだあいつは、電池切れでも起こし…うおおぉ!!?」


戦闘開始序盤で吹っ飛んでいったスポーツカーがまた突っ込んできた


どうしてまだ動いているのかという程の異音を出しながら滑走路を緩やかにターン、回頭を終えたあたりで一際大きくグシャリと音を響かせ。それでエンジンが終わったようだ、惰性で少し進んだのち、そのまま建物と衝突した


「クソッタレ!トドメを刺しとくべきだった!」


車両の周囲に仲間が集まり始め、射撃を回避するべく左へ。油臭さが一気に強くなる


いったい何が臭っているのかと疑問を持つも、格納庫正面に回ると判明した。ガソリンが撒き散らされており、その中央、プロペラ飛行機がゆっくりと無人でこっちに向かってきていた


C4を巻きつけられて


「爆弾だーっ!!」


戻ったら敵の射界に入ってしまう、なりふり構わず前進したら完全に術中だ。隊員全員が1秒も迷わずガソリンの海に足を踏み入れ、可能な限り全力で反対側へ駆け抜ける。格納庫正面を抜けて数秒後、盛大な火柱が轟音と共に立ち上がった


「熱!熱っっっちい!!」


衝撃波で何人かが叩き倒され、火柱は瞬く間に格納庫を包み込む。小爆発を何度か起こして炎上範囲はさらに広がっていく


「誰か敵が見えるか!?」


「見えるわけねえだろ!!」


「だよなすまん!狙撃斑!ニッケル!頼むから応答してくれ!」


追撃どころか見失ってしまった、最後の頼みはスナイパーだがさっきから返事がなく、何があったかと丘の上に目を向ける


部下の隠れ場所ではオレンジ色がたなびいていた


『すみません大尉…監視継続不可能です……』


SRー25スナイパーライフルを肩に担いで不敵な笑みを浮かべたネアが足下に通信機を落とす、部下は生きていた。それから2回ほど肩を叩いたのち、ライフルを投げ捨てて茂みの中に消えていく


『司令部からチーム9、CIAのリーパーが接近してる。5分以内に仕留めるか、それができないなら撤退しろ』


『…………』


『チーム9、5分以内だ、今すぐ決めてくれ』


戦闘開始からもう30分近い、それだけかけて1人も仕留められなかった相手を5分以内に、見失った状態から


もはや選択の余地はない


「……司令部、不可能だ」


『了解、回収ヘリを送る、そこから撤退しろ』


縛られているであろう狙撃斑の救助に3人を派遣、墜落したファイアスカウトには爆薬を設置し、全員で南へ向かい回収を待つ


新興部隊のチーム9にとってはこれが初陣だった、あんな若者達を皆殺しにして勝っていたとしてもそれはそれで禍根が残ったろうが、負けは負けである。何がまずかったか、後でよく確認しなければ


「ライナー、どう思う?」


「頭の柔らかさ」


「同意だ、個々の戦闘力では間違いなく勝っていたが、俺達は動きが単純すぎた」


既に大炎上を起こしている飛行場でまた爆発が上がる。ファイアスカウトの処理は完了


「一人一人が瞬時に自己の判断で動けるような能力が必要だ。帰ったら戦術について学び直すぞ、全員でだ」


「座学!?勘弁してくれよ!」


南へ走りながら数人が笑う、負けたにも関わらず気分は良さそうだ。まぁ、最初から乗り気でなかったのは知っていたが


西からやってきたブラックホークが平原に着陸、すぐに乗り込む


「大尉、奴らとはまた会えますかね」


「そうだな、また手合わせ願いたいところではあるが、もし次があるなら」


全員を乗せて10秒足らずで離陸した、ドーバー海峡の先にイギリスが見え始める。間も無く彼らはあそこに達するだろう


悔しさは無かった


「できれば、同じ方向を向いていたいな」

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