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「数としては十分だけどまだ探す?…ラファール?」
『レコーダー…レコーダー無い……あ…ええもう大丈夫、でも今のところはただの容疑者だから、そいつらが敵だっていう証拠が欲しい』
いったいレコーダーで何を録音しようとしたのか正直わかりきっているがさっぱりわからない。テロリストを捕らえるために置き去りにしていた仲間1人と合流、デルタチームの尾行を始めた。ランエボが再発進し拠点へ向かう
『つってもまぁ、街中で発砲でもしてくれないと敵と認識できないんだけどね』
『とりあえずこっちから撃ってみるというのは?』
『クーデターメーカーは黙ってて。アレクセイの成果を待つ、それまで監視を継続』
待機命令を下され暇を持て余したシオンが通信に参加、こちらもライフルを再び降ろしやたらイケメン臭漂う男どもの観察に戻る
『露助なんぞ待つ必要ありませんよ。規模、速度、精度すべてにおいて我々の諜報能力が優っています。ヘイジェラルドくん!奴らの無線周波数を特定したまえ!』
公園の1人を確認、ベンチに腰掛けながら少女を見守る男がいた。これはこれでやべえ絵面であるがイケメンなので許される範疇ではある。やがて公園入口からネアが現れ、走り回るメルのもとへ
向かわず
「うっひゃぁー怖っえー……」
通信は全部聞いていたはず、あの男が敵である可能性が高いのは彼女も知っている。にも関わらず、同じベンチに腰掛けニヤニヤし出してしまった
「ヒナからラファールへ、何考えてんだかわかんないけど我が666小隊最強のオレンジ女がロシア人を逆ナンし始めた。すごい、通信する隙を与えない」
『…………見なかった事にして』
奴の命令違反はいつものことであるし、放っておけば極めて迅速に問題を解決してくれるのも理解している。なにより、完全に手遅れだ
数十秒の会話ののち公園中央でメルが茶色い猫を担ぎ上げる、首には赤いベルト。カゴに入れ、それまでに捕まえた数匹は解放した
ネアさん、顔をイケメンに寄せ始める
「やる気か?まさか本気でやる気か?」
「ちょっと黙ってて集中できない」
残り30センチ、もちろん唇の距離である。それ以外の状況、ルカとシグを追っかけているのはそれを継続中、拠点に戻りウィルと死体袋数枚を詰め込んだランエボを2人が監視している。大丈夫と判断し視線を戻す
「おっおっおっ……」
「やるか?やるか?」
10センチ、5センチ、3センチ。まさに触れるかといったその瞬間
男の唇に触れたのは手の平で、代わりといっては何だが胸にもナイフが突き刺さっていた
「「殺ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
呻き声を抑えつつ心臓に突き刺したそれをグリグリやって瞬殺、既に息絶えた男をベンチに寝かせた。思わずロイと一緒に叫び、そして同時に我に返る
『疾さーん』
『なあに逆ナンDQN女』
『ふふん。通信機を手に入れましたが5分もすりゃ気付かれるでしょう、傍聴してますから何かしらのアクションをお願いします』
『だってさシオン』
『あー…ジェラルドくん、中止、電波を監視しつつ帯域変更に備え』
ものの数十秒でCIAをいてこましたネアの横をメルが通過、知らないおっさんを膝枕しているのを一瞥して疑問符を浮かべるも、依頼主のもとへ向かうべく公園を出て行った。拠点では死体袋の積み込み完了、ウィルが助手席に収まる
『正宗、ドリフトでもなんでもいいから派手な事やって』
『了解』
エンジンの咆哮とタイヤの暴れる音がここまで伝わってくる。駐車場に黒い線で執筆を始めたランエボに対し、入口付近でたむろっていた連中がPTTをプッシュ
「ちなみにそいつは何で判断したの?」
『ちょっとカマかけただけですよ。チャーリーを監視してる2人、当たりです』
『アルファ、やって』
まずロイが待ってましたとばかりにM95をセット、横に並んでSLー9を駐車場に向ける
「準備完了だ、先に撃て」
「オーケー」
5秒程度で照準を終わらせ、トリガーの最後の一絞りを行う。プシュンと弾丸が飛び出して片方の頭に命中、間も無くM95もSLー9よりだいぶ大きい音を発して残りをアスファルトへ叩きつけた
「慣れんな、弾道がまるで違う」
「マッハで飛ぶじゃん、まだマシよ」
暴走をやめたランエボが死体の横に停めて隠匿、袋に詰め込んだ上で車内に引きずり込む。血液も処理した上で公園へ向かっていった
『気取られる前にデルタのも仕留めるわよ。正宗、回収急いで。ヒナ、狙撃可能な人気の無い場所を捜索』
街中をぶらぶらするシグとルカに焦点を合わせる。距離30メートル程度を残し相変わらず追跡を継続中、2人のうち片方は自爆テロを阻止した奴だ、ああいうのを見せられると撃ちにくくなる
「ふたつ先のビルの隙間、ちょっときついけどいける」
『了解したが、そこまでどうやって怪しまれずに連れ込む?』
「ルカの肩抱きながら入ってけば?」
『それは隊長にサービスするという事か?』




