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ワールドリファイン  作者: 春ノ嶺
転げ落ちた未清算物どものホパーク
71/106

9-2

中国人特殊部隊が周囲を警戒すること15秒、机にぺったり張り付いてやり過ごすシオン。やがてもう2人がセスナから出てきて、ターミナルからもロシア兵と基地司令チックな中年男性


『なっ…偵察衛星の使用権停止…?クレムリンめ、そうまでして何を隠したがる』


通信機の向こうでアレクセイが目を失った頃、待ち兼ねた本命が基地司令に続いてターミナルから現れた。司令よりもずっと若い30代前半、金色の髪は整髪料により逆立てられ、耳には巨大なピアス、着ているスーツは清々しいほどに着崩しており、一応着てますよ、という印象だった


「…………はははは…」


『何がおかしい?何が出ました?』


2人はセスナ機まで歩き、ドアの前で立ち止まる。その間、シオンがスコープを倍率最大に設定、金髪の脳天に照準を合わせた


「スティグマ」


『な……』


「あんたにゃ悪いけどアレはアメリカ人わたしが撃たなきゃならないもんだ、こればかりは異論を受け付けられない」


『それは……そうですね』


いきなり敵意をむき出しにしたシオンへアイコンタクトで今はまずいと送る、わかってると返って来た


「コードネーム"スティグマ"、アメリカ国内で大規模テロを起こし9.11超えの人命と試験中だった軍事衛星のコントロールを奪っていった、旧シャリーアのリーダーです。その命の重要性はビンラディンを軽く超えてる」


「そのテロは…確か」


「ええ、ヒナ先生の仇でもあります。何か話してるな、私のバックパックから集音器を」


シオンの背中をまさぐってMP3プレーヤーサイズの機器を取り出す。そろりと窓を開けマイクを外に


『わかってるさお前には随分世話になった、俺がここにいた事は口外しない、それでいいだろう』


『それだけで済む訳があるか、衛星まで操作してるんだぞ。もし漏れたりしたら私は…』


『ああ気にするな気にするな対処済みだ、お前が生きてるうちにバレる事は無いと断言しよう』


人をおちょくるような軽い口調、ざっくばらんに言えばチャラい方がスティグマのようだ。経験上ああいうのはバカか底抜けたバカのどちらかだが、少なくとも底は全壊していると判断


であれば


「中国兵の位置を確認するよ、スティグマの右後方にエネミー1、セスナの機首にエネミー2、末尾にエネミー3、基地司令っぽい人の後方5メートルにエネミー4。戦力としてはどのくらいだろう?」


「仮にも特殊部隊ですよ、ここの警備兵全滅させてもお釣りが来ます。そうですね…位置バレする前に撃てるのは3発」


『お二方、何を話してます?』


「ああ、ごめん、ちょっと忙しくなりそうだから切るよ」


『えっ……』


アレクセイを通信から排除、目の前の出来事に集中する。その間も司令とスティグマは話し続け、およそ3分で司令を言いくるめる事に成功、セスナの出入り口へ体を向けた


「セスナまで10秒、入る直前に一時停止する、ドアに照準を合わせて」


「うぇっ…?」


「距離580メートル、風速変わらず。早く」


疑問符を浮かべつつもシオンがセスナへと照準を変更する。スティグマは中国兵を従えセスナに到着、左足を乗せた状態で停止した


『それではな後は任せろ』


『この情勢なんだ、くれぐれも下手な真似はするな』


『だからお前が気にしても仕方ない事だと行ったろう』


「右手がホルスターへ移動、拳銃を取り出す、構えた瞬間に胸が正面を向く、5秒」


『ヘマはせん、安心して寝ていろ』


「3、2、1、ジャスト!」


『じゃあな……ッ!?』



MSRの撃発機構が作動する前に、そいつは狙撃を察したような気がした



『クソが!!』


最大射程1300メートルを誇るラプアマグナム弾が撃針にぶっ叩かれてスナイパーライフルの長い銃身から射出される。世界最強であるアメリカ軍仕込みの射撃精度でスティグマの胸部に命中するはずだったそれは、目標の早すぎる回避行動によりセスナのボディをへこませるのみに終わり、射殺を免れた基地司令が悪態をつきながら一目散に逃げ出した


「いったい何が起きた!?」


「知りませんよ!ああもう!!」


MSRのボルトハンドルを勢いよく引っ張って排莢、押し戻して給弾。だが到底間に合わない、スティグマは既にセスナの中。逃げ込むと同時に中国兵4人が一斉に動き出し、機体や近くにあった車両を盾にロシア兵へ斉射を叩き込む


「警備員は全滅、警報が鳴ってる。エネミー3がこっちを向いた、機体末尾に頭半分」


短く息を吐き出しバイポッドをギチリと鳴らせ、呼吸を止めたまま数秒、そろりと出てきた頭が首まで見えた瞬間にシオンの指がトリガーを引いた


「いや、ほんとにパラミリだったんだね」


「今の発言については後でじっくり追及しましょう、あと1発」


大型サプレッサーですら慰め程度の効果しか及ぼさないバシン!という発砲音と同時に顔を失った中国兵が倒れ伏した。ようやくターミナルからロシア兵が飛び出して来て、AKー74と95式の協奏曲が開始する


「ロシア側を支援する。車両に隠れたエネミー4、たぶん貫通できる」


予測位置はリアシートの向こう側、2発目の薬莢がキキンと落ちて、照準が終わるまで僅か数秒、3度目の妙に乾いた発砲音が室内に響く


直後、機首にいたエネミー2が機関銃めいたものを構える所を双眼鏡の端に捉えた


「まっずい!!」

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