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ワールドリファイン  作者: 春ノ嶺
死んだ他人と死ぬ他人
61/106

8-1

「ですから、使用を予定していたアルマトイ国際空港でテロが発生したんです、よりにもよってチャーター機が現地入りした直後で」


「うん」


「詳しい情報はまだ自分にも伝わってませんが、空港内に爆弾を仕掛けたと通告し、実際に航空機の1機を爆破して見せました。犯人は既にこの世にはいませんが、爆弾が未発見なのです、空港中を捜索しなければなりません」


「うん」


「カザフスタン政府の話では少なくとも1週間、空港を封鎖する必要があるようです。既に入港済みのチャーター機はその間動かす事ができません」


「壊れてんの?」


「いえですから……」


「アレクセイ、そのドバカにわからせるには結論だけ言うんだ」


「爆弾を探すからちょっと止まってろ、と言われたんです」




ここで1週間、168時間の無駄な時間を過ごす理由を十数分かけてヒナに説明したアレクセイはやれやれと首を振って自分のパソコンのもとに戻る。その件のメールが来ていたらしい、すぐまた寄って来た


「アメリカの市民団体が主導したようです、動機は未だ不明、少なくともCIAとは無関係とのことですが」


「要求はあったのか?」


「それについては何も。なにぶん部署が違うもので」


とにかくしばらくの間何もしないのは確定である、そのやり取りを聞きながら今さら気にしても仕方ないとばかりにカザフスタン全土の地図を眺めるルカである。正式名称カザフスタン共和国、1991年のソ連崩壊と同時に成立した独立国家で首都はアスタナ、国土のほとんどは砂漠と草原、面積では世界9位に入る。独立後もロシアとの関係は良好で、軍隊の装備も東側のものを使用している


「まぁいいんじゃねーか?あの日の警備業務からこっち働き詰めだったし、久しぶりの休暇だと思えば」


「赤字埋める作業はするわよ」


「あっそ……」


つまり現地で簡単な仕事をしつつ待つという事である


「でしたらこういうのはどうでしょう、一時的にSVRの傘下に入ってテロ捜査を行う」


「値段によるわね」


なんにせよここは安全地帯だ、気を張る必要はまるで無い。さっきまで不機嫌だったラファールもリラックスしつつある


テロなど起きなければ今頃ヨーロッパだったのは事実であるが


「でもとりあえずは休みましょうか、少しの間自由行動って事で」


その言葉にピクリと反応、地図帳をたたむ。椅子から素早く立ち上がって手荷物を確認、ライフルは…まぁ必要無いだろう


「じゃあ1人で出かけても大丈夫?」


「ええ、問題無いわよ」


携帯電話を取り出してメールを1通作成、すぐ飛ばす。最後にサイフの中身を確認し、外へのドアに手をかけた


「ただトラブルが起きた時困るから、いつ頃帰ってくるかだけ教えてくれるかしら」


「向こうで事を終わらせるのにどれだけかかるかわからないから、あくまで予想だけど……」


ラファールに体を向けながら後ろでにドアを開け


「たぶん、3日後くらい」


「はいはい3日後ね、3日……」


外に出る


ドアを閉める


一目散に走り出した



「ちょっと待てーーーーっ!!!!!!」














「な…何…?」


明梨が階段を降り切った瞬間にラファールの絶叫が響き渡った


「おう姫、どうした?」


「だからその呼び方やめてってば!」


アレクセイが貸し切った小さいホテルのロビーは例によってテロリストの集会所となっていた。空気清浄機の前でニコチンとタールを摂取するウィルはいいとして、床に座るヒナとメルの周囲に散乱するのはバラバラになったMP7とM93R、ドアの前で崩れ落ちるラファールも近くの机にM4が置いてあり、ロビー自体も弾薬箱が並べられ火薬臭くなっている


「警備にカザフスタン兵を配置しています、問題ありません」


そういう話じゃない


「ちょっと買い物に行きたいんだけど……ルカは?」


「今しがた脱走した」


「えっ……」


ラファールが立ち上がって椅子に戻り溜息を一発、M4の分解作業を再開する。フレームを分割した瞬間パラパラと砂がこぼれ落ちた


「まぁあいつは帰ってきたら正座させるとして……今誰が空いてる?」


全員の視線がウィルに集まる、が、当人はタバコを始末しつつ携帯電話を操作、耳に当てて数秒待つ


「あーシグくん?銃の整備終わった?終わった、じゃあちょっと下に来てくれ」


駄目だこいつとラファールがまた溜息、すぐやってきたシグに事情を説明し、その間にメルがM93Rを組み上げてホルスターに突っ込んだ


「つまりカザフスタンの商店街をレビューすればいいんだな」


「何を間違えたらそうなるのか理解に苦しむけどもうそれでいいわ。メルもオッケー?なら付いてって」


外出の許可が出たのでロビーを横切っていく。どうぞ、とアレクセイがドアを開けた


「カザフスタン軍は基本的に味方と考えて構いませんが、要らぬ口論を避けるために詳細は説明していません。一般観光客を装うのが妥当でしょう」


「ロシア軍は入ってないのか?」


「入ってませんよ、国境を越える時は中国へ向かってですから。それからスペツナズですが、もしかしたら出発より早いかもしれません」


「だってよ、薄い本買うなら今のうちだぞ」


「買わねぇーーよ!!!!」

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