7-7
そうして少女はオフィスの窓から飛び出してきた
「!!!?」
黒く長いポニーテールを翻して出現したそれに脊髄反射でG36Cを叩き付け、右手に持ったMk23ハンドガンに打ち上げられた。ダダダンとコンクリ壁に弾丸をめり込ませながら、顔面に突きつけられた銃口から全力で逃れる
「ルカ!」
45口径弾が頬を掠めていく感触、後ろにいたヒナが少女を蹴り飛ばして2発目を阻止、ここまで2秒
「ぐっふぉ!!」
気の抜ける声を残して黒髪が吹っ飛び、同じく窓から飛び出してきた銀髪が日本刀を抜刀しながらヒナの懐へ。G36Cを引き戻して思い切り連射を見舞った、斬撃を強制中断して後退する
『ルカ!そいつらを通りまで押し出せ!次は外さん!』
狭い道にハンドガンと片刃のブレード、通りに出れば狙撃支援、反対する理由はどこにもない。空のマガジンを投げ飛ばしてチェストリグから取り出したものを装着、銀髪をヒナに任せて走り出し、バースト射撃しながら黒髪に突っ込んでいく。普通の人間なら5人は倒せそうな弾数を撃ったものの1発たりとも当たらず、結局また銃を鈍器に殴り合いが始まった
「ちょっと待て…なかなかのイケメンだな君は!!」
「はぁ…そりゃどうも」
数秒間の鍔迫り合いの後黒髪が半歩引いてルカのG36Cを流し、同時にコートへ突っ込んだ左手がもう1丁のMk23を引き出してくる。ハンドガン2丁持ちはアホのやる事だと常々思っていたがこの状況では有効かもしれない。半歩押し込んだ所から1歩後退、踏み込まれた瞬間に右足で蹴り上げ牽制し、さらに1歩引いてG36Cを突き付ける
「いっづ…!」
その足下にヒナが吹っ飛ばされてきた
「おっとぉ……」
銀髪の持つ刀は真っ二つに折れ半分になっていたが、腰からデザートイーグルを引き抜いてこちらに向けている。前門のMk23後門のデザートイーグル、お前ら銃器好きな中学二年生かと言いたくなった
「ったく……で何か名案は?」
「ロケットパンチとかできない?」
「ばーか」
ひとボケ入れてはみたものの余裕はまったくない。最悪1人は道連れにできるとして、だがそれだけだ、指一本でも動かした瞬間に現実からおさらばする羽目になる
「よしわかった、説明しよう。私達は葛城明梨、というよりも核爆弾の確保を命令されてる、そのために君達を少しずつ削っていく事にした。君達に恨みがある訳じゃ無いんだ」
「つまり降伏しろと?」
「そうしてくれると最善なんだがな、とはいえこちらにも時間が無い、制限時間は5秒間で……くそ、何だやぶからぼうに」
前方の黒髪が通信機を操作し出した、隙ができるかと思ったがデザートイーグルだけで十分死ねる、あれをどうにかしてもらおうと踵でヒナを小突き
『いやなに、そいつらを甘く見てるようだから手助けしようと思った所だが』
「甘く見ていない妥当な手順だ」
大音量のイヤホンから漏れてくるのは中年男性のような低い声、つい先日聞いた事がある気がするがそれを思い出すよりも現状打破を優先する。さっきから乱れ飛んでいるこちらの通信から情報を拾い上げ、装甲バンが急行している事を確認
あと30秒
『すぐ目の前にいるんだろう?ならすぐに終わるし確実な方法だ』
「手助けはいらないと言った、お前らは本隊の……」
ギチリと、アスファルトを踏みしめて
『お前のコートに爆弾を仕込んでおいたんだ』
飛び出す前にそんなものが聞こえてしまった
「っ!!」
そのセリフと同時に携帯電話の着信音、一瞬固まってしまった黒髪に対し銀髪の動きは早かった、ヒナが反応すらできない速度で横を駆け抜け黒髪まで到達、折れた刀に残された刃を黒いロングコートに突き刺した。引き払われた刀は爆薬付き携帯電話を完全に捉え、1度壁で跳ね返ってこちらに飛んでくる
「どういう…!」
それを空中でキャッチして
「つもりだ貴様ァ!!」
力の限り投げ捨てた




