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ワールドリファイン  作者: 春ノ嶺
真の願いは虚空に消えて
50/106

6-7

『一体何だってんだ?コカインの副流煙でも吸っちまったか?』


『あーあーありゃ早く止めないと自壊しますよー』


『呑気に言ってる場合かーーーー!!!!』


頭の中身が全部ぶちまけられる様子を観察してから、SLー9、MG36の横にG36Cも並べ、ルカはPx4のマガジンを引き抜く。薬室の1発もきっちり取り除いて、過度の爆装を施されたピックアップトラックを見た


「よしできたぞ、うまくやりゃ建物の半分は吹っ飛ばせるはずだ」


「タイマーは?」


「そうだな、だいたい15秒」


「オーケー、今すぐ行こう」


後は後ろを蹴り飛ばせばさっきの河原遊びのように落ちていくであろうそれの横まで移動、視線を下に戻して、ヒナが子供を抱えて2階の窓から飛び降りたのを確認する。メルは変わらず、庭でホームパーティーしていた酔っぱらい達をボコボコにしている


『余裕ぶっこいてる場合じゃないのはわかってるんですがねぇ、まいったこの地形じゃ近付けない』


『撃ってくると思うか?』


『撃ちますよ間違いなく。…まぁ射殺処分なら今すぐできますけど?』


『ちょ…なんで私そんな判断迫られてんのよ』


『あんた隊長でしょーが』


反対側でネアがサジを投げたのを聞きつつシグの作業完了を待つ、すべてのC4がタイマーを作動させたのを確認し、メルとヒナに当てないよう向きを修正


「よし行け!」


「行ってきます!」


「うええええええ!?」



シグに蹴っ飛ばされたピックアップトラックに飛び乗った、重力に捕まって急加速を始める



『ルカくんいったああああああああああ!!!!』


ダンボールより数段早い時間で下まで到達、地面が平らになってからすぐに飛び降りた。軽く5回転ほどして土まみれになる代わりに運動エネルギーを減殺する


「ルカ!…ぎゃ!?」


駆け寄ってきたヒナの頭を掴んで子供ごと伏せさせる、直後に建物が大噴火を起こした。大量に巻き上がった火の粉をすべてやり過ごしてから頭を離して起き上がる


「まったくあの爆弾魔!!」


「文句は後だ、あれを止めないと」


当初の目標だった犯罪者は全滅に追い込まれ、流れるようにエクストララウンドへ突入していく。岩陰に子供を隠して燃え出した建物の反対側へ


『ルカ!ヒナ!10時方向!』



炎と木の壁を突き破って明紫髪の女の子が飛び出してきた



「んなっ!?」


完全な奇襲を受けてしまったがどうにか体を動かしてAKの銃撃を避ける。続くナイフも避けたかったがまったく間に合わず


「落ち着けこのバカ!」


ヒナが素手でナイフの刃を掴んだ、血は出ないし痛がってすらいない。ギチギチという人工筋肉の急速伸縮する音がして、ひしゃげたナイフが遠くへ飛んでいった。それでもメルは後退しない、AKを両手で持ち銃身を叩きつけるもそれも素手で叩き返され


「あっつぅ…!」


オーバーヒート、強制シャットダウンされたらしき右腕がだらりと垂れ下がる。ヒナが撃ち殺される前にメルの首を掴んで叩き伏せるが、抑えられたのは数秒、まさに人間離れしたパワーで投げ飛ばされた


ありえない、そんな小さい体でこんな事をしたらそれこそ自壊してしまう


「ああああああああああ!!」


地面に転がりながらもファイヤリングピンの空振りする音でAKの弾切れを知る、起きた頃にはヒナが残った左手でAKを奪おうと綱引き中


『ルカ!3秒!』


ラファールからの短い指示、何が起きるかまったくわからないが立ち上がってメルに突っ込み


直後、AKに12.7ミリ弾が突き刺さった


「ッ!!」


ヒナとメルに当てずレシーバーだけを粉砕するという神業に感心する暇もなく再び地面に叩きつける。今度は2人がかり、弾の入っていないPx4を振り上げて、その瞬間に腹を蹴られた。くらっと来たがなんとか気を取り直し腹にお返し


「ぁ……」


続く頭への2発目でメルは完全に沈黙した。気絶を確認しようとしたが、力尽きて倒れ伏す


これで一件落着、だと信じたい


「お疲れ様です」


いつの間に近づいたのか、ネアがそれを引き継いだ。念のため両手を縛っておく


「……これは一体何?」


「若気の至りって事で片付けてやれません?」


「アホか」


「ですよねぇー」


ネアがヒナの上半身を起き上がらせ、次いでこちらにも手を伸ばしたがもう少し寝ていたいので拒否


「そうですね、じゃあひとつだけ」


ふふんと笑ってヒナに戻る、立ったまま腰だけ曲げて、印象のよくない笑みをぐっと近づけ


「私がこの子を拾った時もこんな感じでした。脳みそのリミッターが外れた要因、そしてこんな派手な髪に染めた意味でもある」


トンと、指をヒナの額に



「あなたがここにいるのと真逆の理由ですよ」

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