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ワールドリファイン  作者: 春ノ嶺
真の願いは虚空に消えて
49/106

6-6

一度だけ嗅いだ事のある臭いがした


「窓から中は見れない?」


『こっちからは何も。ルカ?』


その臭いが何なのか一瞬で思い当たり、ドクンと心拍数が跳ね上がる。漂ってくるのは上から、どうも空間があるらしい


『めぼしいものは見えないね』


それを伝えようと手を伸ばすもいきなり脳裏に突っ込んできたフラッシュバックにより空振りし、非常に嫌な映像を振り払い改めてヒナの肩に触れる。上に部屋がある事を伝えると、廊下の端から棒を見つけてきた


「よっと……って何これ…!?」


棒でフックを捕まえて階段を落とすと、ごまかしようのない腐臭が一気に溢れ出てきた


『ヒナ、何が起きた?』


「屋根裏部屋開けたら…腐った死体の臭い……」


『穏やかじゃないわね』


ヒナが1段目を踏みしめてギシリと音を立てた、だがあまりの腐臭に止まってしまう。そりゃいくら人殺しを生業としていたとしたって腐ったゾンビの群れなど見たくない、しかも全員女性というならなおさら


「ねえ、ちゃんと確認しないと駄目?」


『その気持ちはすごく理解できるけど、タマゴが腐っただけってのもありえるし』


「タマゴを何百個腐らせたってこんな臭いしねぇーよ……」


しばらく間を置いて2段目を踏む音が鳴る、3、4までは連続したがそこでまた止まり


「メル?」


「え……何?」


「いや何じゃなくて」


声をかけられて我に返る、どうやら意識が飛んでいたらしい。頭を何度か振って階段の上を見る、自らの脳は全力で登る事を拒否しているが、それと裏腹に足は階段を踏み始めた


見なければならない気がする


「…………はぁ…」


どんなリアクションをすればいいかと一通り考えた挙句リアクションする気力も失せたのだろう、眼前に広がった予想通りすぎる光景にヒナが溜息を吐き出す。屋根裏全体に散りばめられた腐臭の根元達はほぼすべてに銃槍やら切り傷やらの損傷があり、一部は首が無かったり、10センチ刻みでバラバラになっていたりと、ここの住人は大変素晴らしい趣味をお持ちだという事を物語っている。フラッシュライトで照らそうとしたが、数秒でやめた


「最悪……」


誰がどう見ても生存者ゼロの地獄絵図と腐臭に強烈なデジャヴとフラッシュバックが引き起こされ、再び自分が起きてるのか夢の中なのかわからなくなる。そのうち駆け足の音がして、少し遠くで誰かが誰かを呼び始めた


「善…善とは当事者達の多数決の結果…なら正義は……」


「メル!メール!」


「あ……」


誰かじゃない、メルは自分だ


「1人生きてたけど精神状態がヤバい、早く連れ出さないと」


それは女性というより女の子だった、体に外傷は無いが小刻みに震えてうずくまったまま動かない。そういえばここにくる前に小学生がいるとの情報があったような


「もう大丈夫助けに来たからね、今日中には家に帰れるわ」


ヒナが話しかけると少女は震えながらゆっくりと顔を上げた。死体だらけの部屋で1人きり、死んだ目をした黒髪黒目のそれは




__お前にとっての死とは救いか?__





「ちょっと何やってんの!?」


いつの間にか照準していたM93Rをヒナが取り上げる。その先の少女は完全に怯え切ってしまっていて、武器のなくなった両手を眺めてから片方を自分の頭へ


「……ごめん…」


なんだ、これは


これではまるで


「ラファール、メルの様子がおかしい、今すぐ離脱しても?」


『わかった、離脱を確認次第こちらから攻撃をかける』


背中を押されながら屋根裏部屋から脱出にかかるもふらついてしまって階段を降りられない。ヒナに支えてもらいながらリハビリ中の病人よろしくゆっくり降りて、腐臭から解放されるも頭がまったく治らないので大きく深呼吸


「おい2階に誰かいるぞ!」



する前


何かが弾けてしまった気がした



「まず……!」


ヒナが言ったか言わないかの速度で階段の端から跳躍、踊り場にいた男の胸にナイフを叩きつけた。踏み潰しながら着地して反転、残り半分も駆け降りる


「敵だ!ガキ1人!階段に…が…ッ!」


廊下にいた2人を走りながら切り刻んで、その奥のもう1人にはローキックとハイキックのコンビを見舞う。喉に巨大な裂け目を作りながら傷だらけのAKー47を強奪した。崩れ落ちる死体を踏んで反対側に飛び抜けつつレバーをコッキングし、排出された弾丸と同時に着地


「死は束縛からの解放、抑圧からの解放、感情からの解放…!」


キーンと良い音を響かせた弾丸に横切られながら、大広間に向かって火と煙と鉛を盛大にぶちまける。5.56ミリより遥かにやかましいガガガガガ!という発砲音が銃口の先にいるろくでなし共を一掃し、持っているAKを捨てて別のAKを掴んだ


『緊急事態発生!メルが暴走!メルが暴走!!』


外にいた奴らが騒ぎを聞いて玄関を蹴り開け、直後に足元で床が弾け出す。着弾を引き連れつつ弧を描くようにナイフレンジまで突っ込んで、先頭のは頭を蹴り飛ばしゼロ距離発砲、次は脳天から縦に切り裂いた。ビビった最後のは歯並びの悪い大口にAKの銃口を食べさせ



「終わらせる…全部…全部!!」

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