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「あんたたち、コンビニの駐車場でたむろってるDQNにしか見えないわよ」
「DQNって何だよ?」
拾った薬莢を弾薬箱にすべて投入、後で洗って火薬を詰め直す。屋内に避難していた住民が恐る恐る出てきたのを確認、明梨経由でとりあえずは安全と伝えた、何人かが井戸に駆け寄っていく
「おーおー、汲みたての地下水をがぶ飲みしてるよ。ルカくんあれはどう思う?」
「家畜と洗濯物を洗ったガンジス川の茶色い水を目の前で汲んで料理に使われた事があるけど、できれば湯煎くらいはしたいかな」
「イギリスの家庭料理と比べるなら?」
「……難しい質問だ」
ひとしきり無駄話をした後で一人の少年が明梨に駆け寄るのを確認した。必死に何かを訴えており、聞く明梨もとても共感してしまっている。これ以上面倒事を増やされると隊長が折れかねないのだが
「村の秘宝を奪われてるに10ドル」
「こんな集落にそんなものがあるか、麻薬売買に加担させられてるに20ドル」
「麻薬を売る相手がいないよ、兄が組織で働いてるに40ドル」
「あんたたち……」
もう少し待つと話が終わった明梨が少年を連れてきた。とても憤慨していて、話を聞く前にラファールが溜息つきながら残弾数の確認をし出す
「ちょっと!あいつら7歳の子供まで連れ去ってるらしいわよ!」
「あーっとさすがにそれは予想できなかったわー!」
全員ハズレ、集まった紙幣は弾代としてラファールに献上された。混乱する明梨をよそに物資的な余裕がある事を確かめて、ガソリンの備蓄は無いかと村長に尋ねる
その辺りでようやく携帯電話が鳴り出した。シオンからの着信である事を確認し通話ボタン
『りましたよわかりました!すげー近いです!そこから南西に20キロ!』
例によって耳に当てる前に喋り出したため少し切れている、シオンの声は完全に焦っており、ガタガタというBGMからパソコンを高速タイピングしていると思われる
『衛星画像を見る限り、荒野のど真ん中に木造建築の家がぽつんと立ってますね。ただ少しは頭を使ったみたいで、高い丘の間に位置してます、1キロ以内まで近付かないと目視できないでしょう』
「戦力規模はどうだ?」
『そりゃまったくわかりませんが家の大きさから考えてAK武装の素人さんが2、30人くらい?気をつけるとすればRPGくらいっすよ』
「わかった、悪いな無理させて」
『いえいえいえいえいえ!ウィルさんの為ならばこの私たとえ火の中水の中草の中森の中土の中雲の中あの子のスカートの中……』
『くそ!どこのどいつだこんな事しやがって!!おい状況を確認しろ!!』
『うっっっげぇぇぇぇぇぇ!!あのおっさんもう起きやがった!!じゃあすいません!GPS座標はメル子のパソコンに転送しました!国境間際でまた合流します!あでゅー!!』
ぷつりと、電話は切れた
「おいおい、クビにはなるなよ?」
とにかくメルにメールを見るよう指示、それ以外は移動に備え車に乗せる
「よーし、じゃあ今から君のお友達を助けてくる。でも手遅れな事ってのがあるんだ、気が狂ってたり、もう生きてなかったりな。それは理解できるか?」
通訳を介して明梨が連れてきた少年に言う、頷いた
「オーケー、少し待っててくれ」
頭を叩いてラファールに目配せ、行動開始の合図が出る
「よしお前ら気を引き締めろ!久しぶりに良い事するぞ!」




