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ワールドリファイン  作者: 春ノ嶺
偽り栄えたその末路
34/106

4-7

車1台がギリギリ通れる細道から大通りに飛び出してスリップしながら回頭、高機動車2台とバリケードで構成された封鎖を正面に捉える。その向こうからバンが突っ込んでくるのも確認した、タイミングは完璧、攻撃をかけるべく明梨の目をふさいでいた左手をどけウインドウを操作する


「エクストリーム細道ダッシュは終わったよ!」


「えっ…あぁ…って何それ」


お前が悲鳴を上げながら連呼していたんだろうに


ダッシュボードに突っ伏していたラファールが復帰して窓から身を乗り出す。敵総数約20、何も問題はない


「撃ちまくれ!」


フルオートに突っ込んだG36Cをトリガー引きっぱなしで振り回した、僅か数秒でボルトストップしたため空の弾倉を投げ捨て次を装着、さらに撃ち続ける。反対側からの攻撃を想定していたそいつらはあっという間に倒れ伏し、装甲バンの体当たりを受けて高機動車が道を開ける


『オーケー2分ぶりだ、さっさとずらかろうぜ』


反転してバンの後ろにつく。空は僅かに黄色が差し込み間も無く夜明けの様相


「アレクセイ、敵の動きは?」


『追撃部隊は全て潰したようです、後ろからは何も。ただ…中国軍とは違う何かが南沙河にかかる橋を占拠していると情報が。進路上です』


「南沙河ならあと30秒だ、迂回路を探す暇はない」


通信機からのアレクセイの声に正宗が補足、回避するには遅すぎたようだ


「……"何か"以外の情報はないの?」


『残念ながら』


『こちらバン、どっちにしろ突っ込むしかないんなら突っ込むしかないだろ』


「確かに突っ込むしかないけど突っ込まないわよ。橋の手前で降車して安全を確保する」


『うわぁめんどくせ』


追っ手がなくなったなら一網打尽にされる危険を抱える必要もない、路地に入って2台とも停まり、運転手2人と明梨を残して降車し獲物を持つ。最後に出てきたウィルが何か落ち着かない様子で、すぐに自分がスナイパーライフルを持っているのに気付きヒナの背中をストックで小突き出した


「ヒナ、ロイ、できるだけ高い所に。メルとルカは路地を通って先行して。ネア、ウィル、私と一緒に大通りを突っ切る」


行動開始の一声で部隊が3つにわかれて動き出す。ルカは雑居ビルの隙間に入って橋の手前までこっそり進み、問題の連中を目視確認する。もし戦車が居座っていたりしようものならいくら面倒でも突っ切る事はできない


「なーんか私とルカくん一緒になること多いよね」


「機動力が理由じゃないかな」


ビルの影を抜けて橋を目視できる距離まで出た、まだたどり着くまではだいぶあるが、一度立ち止まってスコープをのぞく


「うん、3倍固定じゃ何もわかんない」


「肉眼でも人影は見えるよ、5人くらいいる」


「ルカくん、ほんとの話、君の弱点ってどこにあるの?」


「天敵は1人いるよ、財団の人だからもう何年も会ってないけど」


車両の類は見えない、前進を再開する。大きい道を使わず、見つからないように


『スナイパー班位置についた。人数5、装甲兵器なし、武装はしてるが戦闘意思は不明』


『武器の系統はわかる?』


『ご親戚ですね、G3とMP5、それからパンツァーファウストが今出てきて……射撃体勢!戦闘意思確認!!』


橋の根元からロケット弾の噴射煙が白い尾を引いた。数秒遅れて爆発、瓦礫の雪崩が起きる音。続けてもう1発、同じくビルが崩壊する


「ラファール!被害は!?」


『被害なし!でも前進できなくなった!連携不能!今すぐ後退して!』


橋まではもう100メートルもない、ここで見つかったら集中砲火を喰らう事になる。今すぐと言われたが、慌てて動くのは危険だ


まずは橋から見えない位置まで行って、それからルートを決めなければ


「姿勢を低く、ゆっくり行こう」


「……」


「メル?」


ルカの問いかけに応答せず橋の方を見たまま棒立ちしていたメルだったが、間も無く持っていたMG36を投げ捨ててM93Rとコンバットナイフに切り替え


「なんか来る!」


直後に真上から人が降ってきた


「なん…!?」


混じり気のない銀色の髪と日本刀の刃が舞って、メルのナイフと火花を散らしつつ真横に着地、そのまま2閃3閃と続けてメルを後退させ


「ごめん!増援!」


間に割り込まれたのがまずかったか、メルは橋の方向へ走って消えて行き、それを追って銀髪も視界外へ


「こちらルカ、奇襲にあってメルと別れた、大至急援護がいる」


『わかった、なんとかそっちに行く。スナイパー班?』


『視認不能、何が起きたかわからない。ただ橋の5人が動き出してる、今すぐ遮蔽物を探せ』


少々遅かった、ビル壁に弾丸が突き刺さり始める。全力で走って建物に隠れ


「1人か…」


まぁ、苦手ではないが


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