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ワールドリファイン  作者: 春ノ嶺
偽り栄えたその末路
33/106

4-6

「ロイ、この閉所でそのデカブツは撃てそうか?」


「撃つのは簡単ですがね、照準できるかはドライバーの腕によるかと」


「無茶言うなよ100キロ超えてんだぞ?」


後部の観音開きを片方だけ開けてM95の銃身を外に出す。このドアの前には増設された座席が鎮座し出入りには使えそうに無いが、その座席の裏に分厚い鉄板が貼り付けられているあたり使用方法は明確である。たった2台の車列は北にまっすぐ進んでいるが、このまま北京脱出というのは恐らく無理


「で、どこの封鎖を突破する?」


『こちらアレクセイ。スパイからの情報によれば市内に展開している中国兵は2個中隊200人、装甲兵器の類は投入されていないようです。一番封鎖線が薄いのはそこから北西方向、細道を使いランサーを裏に通してください、挟撃すれば容易に突破できるでしょう』


『了解、それで行くわ。シグ、北西に進んで』


アレクセイからの情報にラファールが答えて、前方を走るエボXがハザードランプを点灯し出した。ほどなくして全速走行に移行、極細の路地に消えていく


「どうやら俺達は囮になるようだ」


「やっぱりストライカーに乗った方が良かったんじゃね?」


「この車が壊れたらそうする事にしよう。ネア、交代だ、前方を頼む」


助手席から後部に抜け出して、代わりにネアが前に行く。隅に置いてあったミニミ軽機関銃を掴んで持ち上げ、弾薬箱目一杯に詰まったベルトリンクを接続した


「こっちを追ってくる敵は?」


『そこまではちょっと、ドローンが1機でもあれば別なのですが』


ハンヴィーのような荒地での走破能力を優先した高機動車はアスファルトでも速く走れるよう設計されてはいない、来るとしたらさっきと同じ市販車の防弾仕様、であれば小火器で十分対応できる。防御力なら絶対負けない、こちとら金庫をくり抜いて座席を配置した特殊仕様なのだ、ライフル弾など豆鉄砲に等しい


「よしヒナ、これを持て」


「フルオート連射とか趣味じゃないんだけどぉー」


言いつつ、ミニミを受け取ってロイの後ろに移った。M249ミニミパラトルーパー、重量7kg程度あるそれを歳相応の小さい体で軽々と構え、倍率4倍のACOGサイトを覗き込む。これで迎撃体勢は整った


「中に軍服が入ってる車は撃て、その他撃ってくる奴も全部敵だ」


「わかりやすくて結構」


言っている間に脇道から車両が飛び出してきた。一瞬でヒナが判別、ミニミから弾丸と騒音と薬莢が盛大に溢れ出る


「こちらウィル、今戦闘再開した、弾切れ起こす前に封鎖を片付けてくれ」


『え?何?聞こえない』


「あー…とにかく急げ!以上!」


バスン!という一際大きい音がして、追ってきていた車は横転、歩道を飛び越えてスーパーに突っ込んで行った。ロイがM95をコッキングして次に備える


「貫通できなかった、あれは本当に中華製か?」


「アンタは中国に恨みでもあんの?」


「家に帰ったら物資管理の仕事をやらせてやろう、嫌でもわかる」


そのドバカにそんな事させたらとんでもない事になるのでやめていただきたい所であるが、次の車両がやってきたのでこの話は打ち切りとなった。今度は高機動車、上部に重機関銃を装備している。左に曲がって振り切ろうとするも逆に距離を詰められ、こっちの車体が火花を散らす


「防弾仕様はもう品切れかー?」


「何にせよ状況は酷くなってますよ、ドライバーの技術で完全に負けてる」


「そりゃお前、俺は峠もサーキットも走ったことないからな。こいつを真上にまっすぐ打ち上げろってんなら完璧にこなしてみせるが」


シグは言いながら次の交差点を右折、猛烈な銃撃に晒されつつも北西への道をひた走る


「ヒナ、銃撃がやんだら撃ちまくれ、その間にタイヤを狙撃だ、いけるか?」


「アイサー」


気がおかしくなりそうな量の着弾音をやりすごし、オーバーヒートか弾切れで手が止まる瞬間を待つ。その間に助手席からM320の発射音が聞こえ、車の形をしたキャンプファイヤーを横に見送った。それに怯んだのか機銃手の射撃が停止し


「よし行け!」


攻守交代、ミニミの咆哮が再開する。最低限の装甲しか持たない高機動車でも5.56ミリ弾程度に負けるほどではない、弾かれた弾丸が火花を散らすも車体に何のダメージも及ばさず、だが重機関銃を封じ込める事には成功、ロイのM95が敵運転手にもよく見えるよう突き出される。声は聞こえないが絶叫したのはわかった


「早く撃ちなさい!逃げられるでしょ!」


「だから僕は貴様のように速射ができるタイプでは…!」


言っている間に相手は蛇行運転を開始、だがそれが裏目に出た。M95内部で火薬が爆発、直径12.7ミリの対物弾丸が銃口から吐き出される。高機動車右側のフロントタイヤが破裂して、過度の横Gをかけていたために横転を始めてしまった


「よし、クリア」


「後方警戒、次に備えろ」


ガッコォン!と暗闇の向こうで音がした。M95をコッキング、弾倉交換。ミニミから伸びるベルトリンクの長さ確認


「封鎖が見えてきた、突っ込むか?」


「エボは?」


「戦闘は起きてなさげ…あーいや」


遥か前方で高性能ライトの光


「今出てきた」

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