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ワールドリファイン  作者: 春ノ嶺
そのセイギは誰が為に?
23/106

3-5

皆と合流したら無気力が伝染していた


「……五月病?」


「まぁ…昨日今日は濃い内容だったからな」


シグとロイが言い、入手した食物を焚き火の横に置く。メルの服が木の枝に引っ掛けて干されており、当のメルはウッドランド迷彩フル装備。これはいい、何が起きたかは大体想像できる


いつも通り無表情な正宗と、鼻歌混じりに何かを焼いているネアを除き、全員が焚き火を囲んで俯いてしまっていた。ズーンという効果音がよく似合う


「あ、お疲れ様でーす!野菜はこいつにぶっ込んでください!」


ネアが示したのはクッキングバッグ、見た目はただのビニールパックだが、直火にかけて煮炊き可能なとんでもない袋である。現在焼かれているのもそれに入れられており、焼き芋のように焚き火へ放り込まれていた


「総書記と国民の関係を縮小するとこんな感じ」


「え…ああ…そう…」


明梨に言って、入手したカブと思われるものを軽く洗ってクッキングバッグへ。一緒に水を入れ封をし焚き火に放り込んだ、十数分で簡易野菜スープになるだろう


「で何があったの?」


「疾さんが意外と貪欲だったというただそれだけの事です」


「?」


とりあえずそのへんに座り込み、ネアがクッキングバッグを焚き火から引っ張り出すのを観察。中身は肉だった、魚の切り身と、もう一種類、よくわからない。詳細不明だが妙に量だけはあるそれをひとつ味見し、クッキングバッグを広げて皆でつまめるようにする


「腹壊すってこたないでしょう、どうぞお召し上がりになってください」


味見ではなく毒味だったようだ


「…………ルカ、行っとけ」


「僕ですか」


シグに言われ、誰も手を付けようとしないため仕方なく先陣を切る事にする。色は白く、魚肉のように見えるが弾力がまるで違う、ぶにぶにした感じだ。とりあえず外見に違和感がない事を確かめ、少々勇気を振り絞って口に放り込んだ


咀嚼、咀嚼




状況を理解




「この鶏肉に似た感じは…ほぼ間違いなく…」


「……いや待て、言うな、鶏肉って事にしとけ」


鶏肉に似た、でシグも思い当たったらしい、サバイバルにまったく縁のない明梨を指差し、正解を言うのを静止する


「え、何?何!?」


「まぁまぁまぁまぁ」


ネアが明梨へ肉片を勧める。薄々勘付いていたが、この子相当のSである


「る…ルカ……」


「…食べられなくはないし不味くもない、一部地域では一般的に食用にされてる」


止めようか、と思ったが、現状タンパク源はこれしかない、のでそっと背中を押してみる


数秒躊躇、諦めたように肉片と向き合い、そこでまた数秒。固く目を閉じ、震えながら自らの口に放り込んだ


「…………鶏肉」


「そう鶏肉、さあ食っちまおう」


「いやその後よ!何コレ!?」


「だからニワトリだって」


「こんな所にニワトリいるか!!」


鶏肉という事にしておいた方がいいと思うのだが明梨さんは納得してくれそうに無い。仕方ない、あまり驚かさないよう、優しく正解を



「そこらで這い回ってたそこそこ巨大なヘビです」



言いたかったのだが



「……文句言うなら…こいつな」


明梨が固まって、変わりにウィルが動き出した。指差したのはラファールで、当人は俯いていた顔を更に下げ両手で頭を抱える


「いや…いや…!確かに選んだのは私だけど…!でもカエルとヘビ並べられたら誰だってヘビ選ぶと思うのよ…!」


「カエルだったらあんなド派手な解体ショーは見なくて済んだろうがな」



吐き気がしてきた



「ドン引きしてても他に食糧はありませんよ、ひもじい思いしたくなけりゃ口に放り込んでください」


「お…おう…」



やる事はアレだが言っている事はもっとも


多少気は滅入りつつもヘビ肉に手を伸ばす



「それで、これからどうやって国境まで行く?正宗くん何か案は」


先程からずっと地図とにらめっこしている正宗に話が振られた


「捜索態勢を整えられる前に脱出しなければならない、なら平壌から鉄道に乗るのが一番早い」


地図から顔を上げ、簡潔にそれだけ言う。ここから首都平壌までは数時間、夜になってから動き出したとして、日付けが変わる前には辿り着ける。客席に座る訳にはいかないので家畜と相席になるだろうが


問題は、発見される可能性の高さ


「中心部まで踏み込む必要は無い、郊外から輸送車両に忍び込んで終わりだ」


「だそうだが、隊長?」


「……徒歩で国境まで行く訳にもいかないしね」


概ね賛成、という事でいいらしい


「いくらなんでもそろそろ死体が無い事くらいには気付いてるでしょう、ここから先は状況に応じて敵を排除する」


排除する、それに反応して固まっていた明梨が復旧、込み上げた吐き気を必死に押さえつけて、それからラファールを見


「ちょ…殺すってこと…?」


「ええ。あなたはわからないけど、少なくとも私達は見つかった時点で撃ち殺されちゃうの」


「あ…うぅ……」


できれば、誰も死なない方向でいって欲しかったのだろう。先手を打たれ、何も言えずに終わる


「一応、数は極力出さないようにする。でもあんまり余裕がないの、悪いけど理解して」


諭されて、また動かなくなってまった。まぁ元気出せよとシグがヘビ肉を勧め、吹き出すように苦笑い、肉を受け取る


「太陽が見えなくなったら行動開始、それまでしっかり休んでおいて。スピード勝負になるわよ、息切れとかしないように」


「じゃあはい、ヘビ肉」


「…………ひとつだけでいいわ」

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