3-2
「おう起きたか気絶王」
「……その気絶王っての何…」
真っ二つに割れたジャンボジェットの後ろ半分でルカは目を覚ました。まず、すぐ近くでシグが爆薬を設置する作業に追われており、起きたと聞いて明梨が駆け寄っている最中。窓の外を見ると日本によく似た森林が広がっていて、機体脇、不時着時に削られた部分でラファールらがミーティング中。全員無事のようだ、気絶すらしていない
「ルカ!ごめんね毎回毎回守らせちゃって!」
「うん毎回毎回って言ってる時点でもうだいぶ染まってるね」
少々パニック状態に陥っている明梨を落ち着かせ、座っていた座席から立ち上がった。ものの見事に墜落している、陸地に落ちただけマシではあるが
ハイジャックされた位置から考えるとユーラシア大陸、ロシアという感じではないので中国だろうか。まぁ、どっちにしろ面倒な事になるのは間違いない
「まだ落ちてから5分も経ってねえ、ここがどこなのかすらわかってねーよ」
「その爆薬は?」
「もっと派手にぶっ壊して死んじまったように見せかけるんだと」
とにかく合流して会議に参加しろ、というので断裂部に向かって降りていく。土の地面を踏みつけたあたりでラファールが携帯電話を掲げたのが見え、一拍遅れてヒナの悲鳴
集団に近付くとまずネアが気付き、ラファールの肩をつついて知らせた。よく来たとばかりに手招きされ携帯電話を渡される
カーナビのようなGPSマップシステムが起動されているが何も映っていない。現在地を示すポインタと縮尺、方位、それ以外はすべて真っ白だ
「地球上にはこの手のマップ機能が役に立たない地域がいくつかある。砂漠の中心、所有権の決まってない地域、システム運用開始前から国交断絶してる国。日本の近くでこれに当てはまるのはゴビ砂漠、それから、朝鮮半島の北半分」
タッチパネルを操作して縮尺を上げる
国の全体図が映し出された
「まったく信じられないわ。北朝鮮よ、ここ」
深い溜息を吐き出し、それから折れた機体を見る。この巨体はとにかく目立つ、早急に離れなくては
「けどまぁ、GPSは機能してるし詳細な地図もある、見つからずに中国まで逃げ込めれば」
「中国もまずいだろ、あいつら常識が通用しねえ」
「…………作戦目標確認!アストラエアをベトナムあたりまで護送!」
ロシアは論外、インドは戦争に参戦する気マンマン、中東はカオス。となるとASEANのどこかが無難と考えたのだろう
どれにしろ道のりは長い
「まぁ、とにかく今はこの半島から脱出しましょう。陸路で国境超えるのが一番難易度低いと思うけど」
特に異論は無かったらしい、各々移動準備をし始めた。そこでふと日本の様子が気になって、ウィルに訪ねてみる
「戦争の状態はどう?」
「気にする必要ねーだろー。日米連合だぜ?数だけしか取り柄の無い連中が勝てるとは思えねえ」
それよりも、と、学校で使う世界地図を2倍ほどに厚くしたような本を見せられ
「鉄道で国境近くまで行こうと思うんだが、平壌が近い、部隊を分けて安全確認しなきゃならん。悪いが先行組に入ってくれ、こういうの得意だろ」
サプレッサー付きのG36Cを渡される。状態確認、何の問題もない。それから茶色と緑のウッドランド迷彩、上着だけ
「交戦規定は?」
「見つかった時以外は絶対に撃つな」
「了解」
じゃあ行ってくると明梨に別れを告げ、ウッドランド迷彩のフード付きコートを羽織るヒナに合流。どんなコートだと思ったがコートの形をしてるのだから仕方ない
「BDUはイモイモしくて嫌いなの」
左様で
「よし、じゃあヒナとルカ、ブラボーチーム。ネアと正宗、チャーリーチーム。残りがアルファ。状況開始」
ラファールの号令を受け各々散開、本隊よりも先行するため急ぎ足で森の中へ
直後、ジャンボジェットが吹っ飛んだ
「まぁーたあの爆弾魔は…」
「爆薬どれだけ使ったんだろう」
「全部でしょ」
大丈夫かこの小隊




