La CIA 4
『部下の心配は?』
「………………マリアーーーーーーーーン!!!!」
敵が隠れている方向へ数発の牽制弾を放ち、大クラッシュを起こしたオーストリアKTM社製ミッドシップ四輪車XーBowに走り寄る。大回転の末路駐車両へ尻を叩きつけたようで教習所でビデオにされるレベルに損壊しているが、後方配置のエンジンが盾となったらしく運転席及びフロントは無傷。もともと面白半分だったしCIAの予算で買ったので廃車になろうがダメージはそれほどない、問題はドライバーだ、白いエアバッグに顔を埋めてピクリともしない
「マリアン!マリアン!!起きろ!!」
「…………日が沈んだら起こしてくれ……」
「今起きよう!!」
シートベルト解放、ドライバーを引っ張り出してクロスボウの車体に隠した。助手席にあったM27IARとマガジンポーチも投げ渡し、明るめの茶髪をポニーとサイドの中間くらいの位置でショートポニーにした彼女はのろのろと射撃準備を始めた。勘付いてはいたがやはり叩き起こされたらしい、服装は茶色のTシャツとジャージという完全無欠な部屋着である
「ジェラルドくん、現在状況」
『屋根に登ってるのが援護射撃中、正面を守ってたPMC部隊が全滅して…ああ今侵入を許した。白い車の1人はずっと姉さん方向を警戒してる』
「よし。マリアン、前方50メートルに敵が1、まずこれを排除する」
「眠い……」
「昼夜逆転生活を強いてて悪いけど少しだけ残業しておくれ。合図したら牽制射撃、あそこの屋根にもう1人いるのを忘れるな」
背中をポンと叩いて射撃位置に付かせる。M27はマシンガン寄りの性格を持つ重アサルトライフルだ、大容量のドラムマガジンを使う事で真価を発揮するものだが、射撃精度が高いという点を重視しているため装着されたのは30発入り箱型弾倉、使い方はマシンガンよりもスナイパーライフルに近い。もちろん連射してもそれなりの性能を発揮する
『官邸にいた部隊が移動開始、議事堂へ救援に向かう』
「奴がそれを迎撃する隙を突く、スタンバイ」
クロスボウを左に回って飛び出す準備、PMC部隊が横を通過する。こちらがCIA所属というのは伝わっているらしい、政府関係者にいい印象は無いだろうが手信号で前進を伝えてきた。大まかな敵の位置を指差して、それからアスファルトを思い切り蹴りつける
「ゴー!」
M27が射撃を始め、部隊に若干遅れて歩道を進む。やがて現れた白い車、その向こうに中国人を認めトリガーを引いた。5.56ミリ弾より強力な7.62ミリ弾がガラス2枚ごと貫通するも手応えはなし、追撃はせず銃口を上へ
「ッ…伏せろ!!」
屋根に人影はなかった、代わりといっては何だがさらに先でライフルを構えてる野郎がいた。咄嗟に味方PMCへ叫ぶも、視線を向けた頃には3人が倒れ伏していた。逃げられる前にAKを発砲、足から血を噴き出す
『あー、やっぱあんなシールズみたいなマジキチPMCなんてそうそういないよねー』
残った1人は混乱状態に陥ってしまった、クロスボウからマリアンが飛び出してアスファルトに叩き伏せる。車に隠れているのが飛び出そうとしたが牽制を加えて黙らせ、その後M27からの射撃により白い車体が赤く染まった
「やけに動きが機敏ですが」
「目の前で人が死ねばいくらなんでも起きる」
完全に動かなくなっているのを確認、マリアンと合流したのち倒れて呻いているもう1人に走り寄る。ライフルは手放している戦闘能力は無い、とっ捕まえてジェラルドに尋問させよう
と思ったのだが
「うおっ!!」
マリアンに首根っこ掴まれて車に隠された、コンマ数秒で爆発が起き、手榴弾の破片と思われるものが飛び散ってくる
「自爆した」
「あーそう……オーケー。ジェラルドくん、議事堂の方は?」
『すごいよ、激安セール会場みたい』
つまり大混乱を起こしているらしい。宣戦布告が予想される時刻まで15分程度、総司令部がこの有様では緒戦の敗北は確実だろう。そう考えると、奴らの目論見は既に達していると言える
「よし、今から突入する。レイヴンを低空に寄せて監視を継続、それから議事堂警備員の周波数手に入れて」
『委細承知』
「マリアン、背後を警戒、怪しいのがいたら即撃つこと」
「了解」
「オーケー、レッツムーブ!」
『なんでいきなりアメリカ感出すんすか』




