La CIA 3
『あー。敵さん、警察車両にぶっ放した。よほど減点が嫌らしい』
「そういう問題かい!?」
さっきの倍速で住宅街を脱出、大混乱に陥りつつある幹線道路に突入した。もうどうしようもないくらい詰まっているので迷いなく反対車線を疾走、サイドブレーキターンで交差点を右に曲がる。遥か先に青いGTーR
『追い付けます?』
いきなり逆走してきたスポーツカーに詰まっていた一般車が絶叫するも、リアタイヤのスライドを継続し滑らかな動きで左車線に入り込む。馬力で致命的に負けている気は無いが四輪駆動の34GTーRに前輪駆動のセリカが追いつくにはそれなりの無茶が必要である、相手が左折したのを確認し再び右車線へ進入、3速フルスロットルのまま片側一車線道路に突撃する。電柱に吸い込まれていくセリカのブレーキペダルを左足で踏んで減速、後ろのめりになっていた車体を前のめりに修正した。フロントタイヤはグリップを取り戻し激突するはずだった電柱は右に去って行く。車間は若干詰まった気がする
次は右、狭い道から広い道へ抜け出す。極めて丁寧にグリップ走行でクリアするGTーRとは正反対に大通りへ脱出するまでアクセル踏みっぱなし、視界が広がる少し前、フットブレーキとサイドブレーキを最大に効かせた。一般車のクラクションを聞きながら90度回転、停車しそうになるもフルチューンエンジンが無理矢理車体を引っ張り上げる
「官邸の目の前で銃撃戦する羽目になりそうだ!警備隊に警告!」
『追いつけてないじゃないですかやだー!』
猛烈な速度で追ってくる白い車にようやく気付いたらしい、コーナー脱出後の立ち上がりがキツくなった。低速からの加速競争では四駆、特に特殊な駆動輪制御をするGTーRには勝てる筈が無い。普通に追いかけるのを諦め、議事堂周辺への抜け道に入る
「いいかこっちはフルチューンで270馬力!向こうはノーマルでさえ280馬力!追っかけてるだけでもスタンディングオベーションが欲しいくらいだ!」
騒ぎを聞いて顔を出してきた一般市民を家に引っ込ませつつ細道を疾走、コインパーキングを突き抜けて、議事堂へ続く別の道へ出た。そのままトップスピードで走ること数秒、交差点から青いGTーRが現れる
助手席に投げていたバックパックに左手を突っ込み、出てきた時にはM9ハンドガンが握られていた。すぐさま右手に持ち替えセイフティ解除、パワーウインドウを操作しつつ立ち上がり加速中のGTーRに横付けし
「捕まえた!!」
連続で引き金を引き、リアタイヤを直撃したのが6発目。ブレーキを踏みつけて離脱すると、GTーRは見事な回転を起こして路上に停車した。近くの細道に飛び込んで自らも降車する
『バカな奴らだねぇ生きて帰れるはずないのに』
「いーんじゃねーの分母が大きいんだから挺身隊くらい。くそ、こんなことならM4も持ってくればよかった」
文句を言ってても仕方ない、弾切れのAKをリロードして、M9のホルスターを腰に装着。西と東のちぐはぐ武装で議事堂前へ走っていく
『警官2人が到着……したけど瞬殺された。特殊部隊クラスと思われる男4人が展開、武装は民間モデルのARー15系、議事堂に向かってく』
「いくらなんでも4人はきつい、警察はSATとか出さないの?」
『出しはするだろうけど展開まで時間がかかる。増援といっちゃ何だけど、2分以内にマリアンが到着予定』
「…………起きたの?この時間に!?」
敵を確認、確かにM4クローンを持っている。近頃の攻撃的PMCみたいな魔改造を受けていなければセミオートオンリーのはず、やるなら接近戦
『さあ銃撃戦が始まった、警備隊全滅までおよそ3分。でもこれ宣戦布告前攻撃』
「どうせ失敗なら目標も道連れにするってんでしょ、私だってそうする…っての!」
物影から飛び出しフルオートで短く連射、1人倒れた。残り3人は瞬時に散開し視界から消え失せる。議事堂と官邸を守る警備員及びPMCに敵ではない事をアピールしつつ逃げていった方向を確認、ひとまずGTーRの車体に隠れた
『路駐された白い車の裏に1人、その近くの建物をよじ登ってるのが1人。最後の1人は議事堂にまっすぐ走ってく』
「単騎駆けか大した度胸だ。マリアンはどの方向から?」
『シオン姉さんの後方、いつものヘンテコ車で疾走してる』
「ヘンテコ…あーまぁ否定はしない……」
後方300メートル、遊園地のゴーカートを拡大したようなコンパクトオープンカーが交差点から現れた。むき出しの運転席には茶色い髪の女性が座っている、が、転回を終えた直後、その社用車はコントロールを失ったようにスピンモーションへ入り
『あ、居眠り運転』
「えっ」
一回転、二回転。溶けたタイヤの悪臭を置き去りにそれはGTーRを通り過ぎ、半秒後、ドッカーン!という擬音が最高に似合う轟音をかき鳴らした
「クロスボオオオオォォォォォォォォォ!!!!」




