011
ソフトクリームなんか大っ嫌いだチクショ~~~!!!
ハァハァ…。どうやら少し錯乱したようです…。
え~、筆者こと私、漣連ですが、バイトで生計を立ててたりします。そのバイトではソフトクリームを作ることがあるのですが、これの何と難しいこと!本日5回ほど失敗したうえ、機械が故障するというハプニングに見舞われました。ソフトクリームが延々と出てくる恐怖…。あの瞬間はノドが干上がりました。マジで。
と、愚痴ったところで本編に移りたいと思います!登場人物も増えてきたし、そろそろ人物紹介とかしたいな~とか。
それでは、はじまりはじまり~♪
「いや、本当にすまなかった。うちの愚弟がとんだ粗相をしてしまった」
アリシアとリュー、そして先程、リューと少年を止めた青年と少年は、二人組の盗賊を連れて森の中を歩いていた。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。僕の名前はエスラ。牙族のエスラだ。こっちは弟のムゥ。この森で狩人をしている」
「牙族?」
アリシアが疑問の声を上げた。
「お前はそんなことも知らんのか」
リューは呆れたようにアリシアの疑問に応える。
「牙族ってのは獣人族の部族の一つだ。獣人族は四つの部族に分かれていて、牙族、爪族、蹄族、翼族がある。その中でも牙族、爪族は狩猟民族として有名で、よく人間に肉を売ったりしてるな。蹄族は遊牧民族で、行商をしている者も多いと聞く。まぁ比較的人間と関わりが深い部族がこの三つだ。残りの翼族は、滅多に人の前に姿を現さない。噂では、どこか山の高い所に住んでいる、と言われる程度だ」
「ふぇ~~。詳しいねぇ、リューは」
「こんなのは一般教養だ」
「ふふっ」
「何だ、エスラ?」
「いや、二人のやり取りを見てたら、ついね。で、二人は恋人同士なのかな?」
「ブホォォォぉぉぉぉぉ~~~~!!!」
「そそそそんなんじゃないし!?」
エスラの爆弾?発言にパニックに陥る二人。二人のあまりもの慌てっぷりに、再びエスラは笑った。
「ははは、ホントに面白いねぇ、二人は。その慌てようじゃ、もしかして図星なのかな?」
ニヤニヤ笑うエスラにリューは猛反発する。
「違うわアホォ!!こんな奴と付き合うなんて考えられるか!」
「お似合いだと思うんだけどなぁ。アリシアちゃんもまんざらじゃあないようだし」
「は?」
リューはアリシアの方へ振り返ると、そこには顔を髪と同じくらい真っ赤にしたアリシアが頭を抱えて蹲っていた。何かぶつぶつ言っているので聞き耳を立ててみる。すると、
「いやいやいやいや、確かに?確かにリューにはケリアの森で助けてもらったし?旅の途中でもいろいろリューのこと見てきたよ?結構美形だし、がさつでバトルマニアのところもあるけど強いし?カッコいいし?いやいやでもそんなところは一部分であってもしかしたら何か裏があって私に着いて来てるのかも?夜中とか襲いかかってきたらどうしよう…。で、でもリューだったら……」
ぶつぶつぶつぶつー!!と、独り言を言い続ける。発言がかなり怪しく(妖しく?)なってきたので、強制的に現実に引き戻すことにした。
「でもでも…」
「いい加減うっとおしい」
ゲシッと、アリシアの後頭部を蹴る。
「フニャァッ!?」
アリシアは奇声を上げて顔面を地面にぶつけた。ズザザー!!と、摩擦音がしたあたり、かなり痛そうである。
「行くぞ」
リューはそう告げてさっさと歩いて行ってしまった。
さて、今までの会話を思い出して欲しい。気が付いている人も多いだろうが、まったく言葉を発してない人物がいる。無論、ムゥだ。これにはちゃんとした理由がある。安心して欲しい。別に作者が上の会話が楽しくて存在を忘れていたとかでは無い。けっして。エスラが会話が出来なくなるほどぶちのめした。とか、実はとてもシャイだった。とかでは勿論、無い。理由を述べるためには少しばかり時間を遡る必要がある。
「ゴメンナサイ、ゴメンナサイもうしません…」
リューを盗賊と間違えて襲った+大切な御神木を折ったということの説教を30分喰らい、ムゥはかなりグロッキーになっていた。精神的には瀕死である。その時、ムゥの下に影が一つ差した。
「大丈夫?」
少女の声に、ムゥは顔を上げる。少女の顔を見た瞬間、
ズッキュゥゥゥゥ―――――ン!!!
と、胸に鉛玉を打ち込んだような衝撃がムゥを貫いた。
暁のような髪。サクランボのようなうっすら赤い唇。そして、バラのような真紅の瞳。その全てがムゥの頭に情報としてインプットされ、認識される。
この胸を締め付けるような、熱くなるような、むず痒い思い。これが、世に言う―――――
―――――恋!!!
それから、ムゥはアリシアに話しかけようとタイミングを計るが、ことごとく失敗するのであった。
ムゥがちょっと不憫なかんじになりました。
今回はコメディ色?が強いです。
次回は『神獣の森』についてのお話です。