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魔王様視点です。
目が合った瞬間、雷刃散華をくらった時の様な痺れを感じた。
――――欲しい。
思った瞬間に体は動いていた。
持って来たソレを膝に置くと、なんとも言えない満ち足りた気分になった。
何かを求めるように見上げてきたので、
これは俺からの求愛を待っているのだろうと見当をつけ、
自分の皿の餌を差し出せば、ソレは躊躇い無く口に入れた。
うむ。これで俺とコレは番だ。
じわりと胸の内に湧き上がる、今まで感じたことの無い喜び。
番も嬉しいのだろう。どこと無く楽しげな雰囲気が伝わってきた。
これが幸せというものだろうか。俺には縁の無い物だと思っていたが…ふむ、悪くない。
俺は新しく芽生えたこの感情を、殊の外気に入った。
しかし、何故貴様等は邪魔をするのだ。
戦姫?あぁ、コレがそうだったのか。
しかし、だから何だというのだ。俺たちが番うのに何の問題もないだろうに。
側室?ふん。何をわけの分からぬ事を。コレはもう俺の番だ。
ん?何だお前まで。何故放す必要が――
――っ、分かった、分かったからそんな顔をするな。
何だ今の感じは?胸の辺りが突然収縮したぞ…???
む。何処へ行く気だ?何故番と離れなければならん。
というか、先ほどから俺の番に対して馴れ馴れしいぞ貴様。消されたいか?
勇者だの英雄だのともてはやされて良い気になっている様だが、
俺にかかれば貴様など一瞬で跡形も残さず消滅させ…
…ふふん、まぁ良い。
貴様がどうこう言ったところで、コレが番に選んだのは俺なのだからな。
今の言葉を聞いただろう?コレは俺の傍に居たいと言ったんだ。さっさと離れろ。
俺の傍に…か。そうか。もちろんだ。
傍に居ろ。愛しい、俺の番よ。
いらないかもですが、ちょっとした解説を。
☆雷刃散華→雷属性の、必殺技的な何か。
きっと魔王様以外がくらったら痺れる程度じゃ済みません。
その辺の魔族がくらうと瀕死、
その辺の人間がくらったら一瞬で黒こげになる感じの大技
…という脳内設定です。