最終話 死神の結婚式 7日目
おそらく結婚式を経験した人はおなじことを思ったことだろう。大切な人の花嫁姿は今まで生きてきた中で一番きれいだった。
「きれい」考える間もなくそう呟いた。
「当たり前でしょ。なんてったって私なんだから。」そう言ってドレス姿でポージングをしていた。
「叶汰も似合ってるよ。スーツ姿」
「ありがとう。なんてったって僕イケメンだから」
控室でずっとこんな感じでイチャイチャしていた。
「会場の準備が整いました。新郎の方は準備をお願いします」
「じゃあ、行ってくる」
「ん」
「?」
「行ってきますのチューは?」
「りょうかい」
僕らはキスをして、しばし別々の場所へと向かった。
僕らの結婚式は、神と死神が主催のそうそうたるメンツでのものとなった。もちろん僕たちの親もすでに来ている。子供たちの話に花を咲かせているに違いない。僕は壇上で今までの生活に思いを馳せていた。一週間前の自分はこうなることを想像していなかっただろう。まして、こんな幸せな日が来るとは考えもしていないだろう。ただ生きるのに疲れ、すべてを諦めていたあの頃の僕に伝えたい。君は幸せになれるよって。
「花嫁の入場です。皆様、拍手でお迎えください」
司会者のあいさつとともに、扉が開き姫叶が義父とともに現れた。この綺麗な人が僕のお嫁さんか。本当はよくないかもしれないけど顔がにやついてしまう。
「ふふ、やっぱり私の子ね。私と同じくらい美人だもの」
「ベールダウンの時にいう言葉じゃないでしょ」
「いいじゃない。笑った結婚式の方がいいわよ」
「ママ、そしてパパ。生んでくれてありがとう」
「こちらこそ、生まれてくれてありがとう。さぁ行ってきなさい」
「パパと行かないの?」
「走っていくくらいが俺たちの娘ってなもんよ」
「そうだね」
そう言うと私はバージンロードを全速力で駆けていった。緊張顔の叶汰はびっくりした顔でこっちを見ている。
「叶汰!久しぶり」
「さすがにビビったよ。転ばなくてほんと良かった」
「文句は私のパパとママに言って」
そうして僕らの結婚式が始まった。
「新郎、小野叶汰。あなたはここにいる小野姫叶を病める時も 健やかなる時も 富める時も 貧しき時も妻として愛し 敬い 慈しむことを誓いますか?」
「はい。誓います」
「新婦、小野姫叶。あなたはここにいる小野叶汰を病める時も 健やかなる時も 富める時も 貧しき時も夫として愛し 敬い 慈しむことを誓いますか?」
「もちろん。誓います」
「ここに一組の夫婦が誕生したことをここに宣誓する。この夫婦に幸多からんことを」
そうして私たちの結婚式はつつがなく進行していった。
「では次に神と死神を代表してミケ=クラシーバヤ=ルナさんお願いします」
「ご紹介にあずかりました、死神のミケ=クラシーバヤ=ルナと申します。まずは叶汰さん、姫叶さんご結婚おめでとうございます。思えば私たちの出会いはまだ一週間しか経っていなかったという事実に驚きを隠せません。私がはじめて出会った時は、二人とも生きる希望を失っていて私どもはひどく後悔していました。尊い二人の人生を奪ってしまった。許されないことをしてしまった。せめて二人の思いが少しでも叶えられれば。そういう思いでこの一週間の世界を作りました。姫叶さんの結婚がしてみたいというのを聞いたときはとても驚いたのを覚えています。そしてあまり自分の感情を出していなかった叶汰さんがあの時名乗り出た瞬間からこの未来への歯車は回り始めたのかもしれません。私は今まで数多くの別れを経験してきました。そのうち僕は感情を失っていきました。しかしこの二人と出会えたことで僕はこの仕事の本当の意味を教えられました。大切な人を大切に。変な言い方ですね。私は死神です。これからも数多くの死に向き合うことでしょう。しかし、それは誰かの大切な人を導くこと。その大切な人がまたどこかで会えるまでの橋渡しとなること。この二人にそう思わされるほど僕のこれからに大きな影響を与えてくれました。本当にありがとうございました。最後に僕から二人へのプレゼントを贈り、スピーチとさせていただきます」
そう言うとミケは高らかに指を弾いた。
二人の左薬指に指輪が現れる。
「その指輪はヒヒイロカネと僕の能力が込められたものです。何か一つ願いを叶える能力を持っています」
「一つか…わかってるくせにあえて言わせる気か」
「まぁ、どうせならみんなの前で言った方がいいし」
「「また君と結婚できますように!」」
めでたしめでたし。読んでくれてありがとうございました。読んでくれた君の至福のひと時になれたなら!またね!またがあれば
さて、ここまでのお話いかがだったでしょうか?拙いながらも一生懸命書きました( *¯ ꒳¯*)
この小説は元々、私が高校2年生の時に思いついて、ポチポチと書き溜めていたものです。死と結婚。とてもじゃないけど相反するものをテーマにして書くのは正直めちゃくちゃ悩みました。皆さんにとっての結婚とか死生観は異なるのかもしれません。この小説は僕が高校の時にテーマにしていた死についての結論?的な意味もあります。失う辛さを感じつつもでも、その人が望むのは自分のせいで悲しむのではなくまた明るい笑顔を見せてあげる。それが大切なのかなって思います。
ちょっとしたおまけを後で載せてこの小説を終わりにします。読んでくださった方に感謝申し上げます。ありがとう!!




