第1話 死神のミケ
いい夢を見ている時はぷかぷか浮いている感覚がある。これは私だけだろうか?全ての力がふっと抜けひたすらに心地よい。それが私が呼ぶいい夢だ。今日はいい夢の日だ。はぁー、ずっとこのままでいたい。
「姫叶様、小野 姫叶様、ご快眠のところ失礼します。起きていただけないでしょうか?」
どこかから声がした
「誰ー?」
「黄泉の世界から参りました死神のミケと申します」
あぁ迎えが来たのか。
「ふーん死神さんかぁ。やっとお迎えが来たんだね。もう準備はできてるよ」
「いえ、本日は二点、神から伝言を預かったのでお伝えに参りました」
「まだなの?いつになったら連れてってくれるのよ」
「それを今からご説明いたします。おっと、失礼もう一方お呼びしなければなりませんでした」
そう言うと死神は壁をすり抜け隣の病室へと向かった。
「隣の部屋って叶汰くんじゃ…」
私の予感は当たり、叶汰くんが連れてこられた。
「あの…すみません、どちら様でしょうか。というかなぜ身体から抜けたの?えっ…僕死んだ?」
さすがイケメンだ。慌ててもイケメンだ。
「お二人方。改めまして死神のミケと申します。実は…いえ端的に言いましょう。あなた方は明日死ぬこととなりました」
「はぁ?」
「あっそ」
「すみません。こればかりは定まったものですので変えることはできません。」
「それが伝えたいこと?」
「一つ目はそうです。もう一つ目はお二人方に特別救済措置の発令が決定しました。」
「特別救済措置?」
「はい。少々長くなりますが、まずは、この世界について説明いたしましょう。この世界は神と死神というもので調整されています。神はこの世界の森羅万象を、死神は生物の魂を調整しています。そしてお二人は本来もっと長く生きる予定となっていました。しかしこの世界に欠陥が生じ、お二人方は死亡と判断され新たに二つの生命が誕生しました。つまり現状必要以上の魂が存在し、今はバランス異常が起きています」
「……ほぉ?でもそうだとするとなんで私は倒れてから四年も経ってるの?」
「はい。私どもも何とか出来ないかと調べていましたが全く干渉できず、私たちの力では四年が限度でした。」
「そうだったんですね」
「はい。神と死神を代表して謝らせてもらいます。誠に申し訳ございませんでした。」
「まぁ…あんまりよくわかんないけどもう死ぬから迎えに来たってことでしょ」
「えっと…実はですね。特別救済措置という名目で一週間だけなんでも好きなことが出来るというのを行うことになりました。もっと詳しく言いますと、新たに世界を一つ作りそこで自由に生活をしてもらいます。欲しいものや必要なものは望めば手に入る仕組みとなっています。」
「なんでも?」
「何でもです。例えば好きな人と過ごしたり昔の友人と遊んだり何でもできます。」
いきなり何でもと言われると難しい。何をすればいいんだろう?
「叶汰くんは何かある?」
「特にありません…かね…」
やりたいこと。今の私たちの同年代がしていること。
「あ!」
「おや?何か思いつきましたか?」
「私、結婚してみたいです」
「へっ?」
「えっ?」
「いや、何となく思いついたものですよ。いやーどうせ死ぬのならばせめて恋愛とかしてみたいなって思って。でもたった一週間しかないなら恋愛の上位互換的な結婚してみたいなーって」
「そうですね…可能ではありますがお相手などはいらっしゃるのですか?」
「いや、全く」
「ではタイプから聞いて…」
「僕でよければその役やらせてもらえないかな?」
ずっと悩んでいた叶汰くんが声を上げた。
「あ…えっと…なにも思いつかなかったですし、僕もけ..結婚は興味があるので…」
「決定ということでよろしいですか?」
「叶汰くんが良ければ」
「はい」
「承知しました。では私は上司に報告してきます。明日起きたら、家にいるようにセットしておきます。ではこれにて失礼します。よい一週間を」
そういうとミケさんはパッと消えるようにしていなくなった。
「なんかすごいことになったね」
「ですね」
「まぁ、一週間ですけどこれからよろしくお願いします。うーんちょっと違うか。」
「不束者ですがよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします。では僕も失礼します。」
「さてと、寝ますか」私はそう言って、またいい夢へと旅立った。
「結婚か…どうなるのかな僕は…」




