62. お貴族様との制服デート(ただし、相手が違う件)
嵐の前の幕間的なお話。
「さて、どうします? そろそろ外に出かけますか?」
クィアシーナとしては、このまま家に籠もっていても一向に構わなかった。
だが、リンスティーは譲る気がないらしい。
「ええ、今すぐ出ましょう。このままここにいたら……私、爆発するかも」
「!? それはまずいじゃないですか」
何が爆発するのかは分からない。
けれど、理由が何であれ爆発は困る。
「じゃあ、カップ預かりますね。お手洗いは大丈夫ですか?」
「お手洗いは借りるわ。ついでに、あなたも私がトイレに行ってる間に、制服に着替えなさい」
「え? 私も制服を着るんですか?」
来たときに彼が制服デートと言ってたのは、冗談では無かったのか。
「当たり前でしょ? なんで私だけ制服なのよ。そこは合わせなさいよ」
ピシャリと言われてしまい、クィアシーナは渋々頷く。
「えー……。はい……」
今から着替えるなんて面倒くさい、と思ってしまったのは内緒だ。
ついでに言えば、いくら向こうがトイレに行ってる間とはいえ、この場で着替えをすることには、さすがに抵抗がある。
リンスティーは不満気なクィアシーナを一瞥すると、なぜか荷物を手にしたまま、お手洗いへと向かっていった。
(仕方がない。猛スピードで着替えよう)
クローゼットから制服を取り出し、いつもの倍のスピードで着脱していく。脱いだ服はクローゼットの中へ適当に押し込んだ。畳むのは帰っきてからでいい。
――これで着替えの様子を見られるなんていう、最悪のハプニングは回避できた。
リンスティーはまだお手洗いにいるようで、少し時間がかかっている。こんなことなら、あんなに急いで着替えなくても良かったかもしれない。
ほどなくして、カチャリ、と扉の開く音がした。
そのまま足音が近づき――
そして、部屋に彼が戻ってきた瞬間。
目の前に、とんでもない光景が飛び込んできた。
「うぇっ!? ななななんで」
思わず零れた声がどもる。
「なんでって、逆になんで休日の外でまでお姉様しなきゃなんねぇんだよ」
そう言って立っていたのは、
女子制服姿のお姉様――ではなく。
男子生徒用の制服に身を包んだ、リンスティー本人だった。
メイクはすっかり落とされ、端正な素顔がこちらを見ている。
少し丈の足りていない制服も、彼が着ると不思議と様になっていた。
むしろ、妙に洒落て見えるのが腹立たしい。
(え、私、……今からこの姿のリンスティーさんと外に出掛けるの?)
――簡単に言うと、鼻血が出そうなくらい、素敵だった。
素敵なのだが。
「え、あの、制服、その制服はどうしたんですか!? 誰かのを借りたんですか?」
こちらはお姉様姿のリンスティーと制服デートを決め込もうとしていたのだ。
いきなりこんなことされては、正直、困る。
何が困るって、自分の心臓がどれだけ持つかがわからない。
今すでに、心拍数が上がり過ぎている自覚がある。
「制服は自分のだよ。一年のときはこれ着ていたから。
背が伸びて丈は足りてないけど、まあそんな気になんないだろ」
彼はそう言いながら、髪を後ろで緩く結ぶ。
その動作ですら、男の色気が漏れて直視できない。
いや、実際は、瞬きすらせずガン見してるのだが。
(でも、今日、このためにわざわざ持って来てくれたってことだよね)
自分のリクエストに応えるためだけに、女子の制服を着て来てくれた。
しかも、そのあと制服デートをするために、男子生徒用の制服まで準備してくれている。
彼の気持ちを思うと、胸がきゅんと疼いた。
そして――
「あ、出た」
鼻の下を、温かいものが流れる感覚がした。
「え!? 出た、じゃなくて、何か拭くものは!?」
鼻血を流すクィアシーナに、リンスティーは慌てて周囲をきょろきょろと見回す。
人は、感情が高ぶると本当に鼻血が出るらしい。
部屋にあったタオルを顔に当て、しばらく止まるのを待つ。
「大丈夫?」
下から覗き込むようにして問われ、クィアシーナはさっと顔を逸らした。
「大丈夫です。大丈夫なんで、近くで見ないでください。余計に血管が爆発します」
さっき、リンスティーが爆発するかも、と言っていたが、爆発したのは自分だった。
確かに、ここに二人きりでいないほうがいい。
このままだと、鼻血どころでは済まない気がした。
「もう大丈夫です。早く行きましょう。」
念の為、鞄にハンカチを多めに入れ、早く外に出るようリンスティーの背中を押した。
◇
二人がやって来たのは、以前クィアシーナがマグノリアンと訪れた学生街だった。
「新規開拓がしたい」というクィアシーナのリクエストで、前に来たことのある通りとは反対側へ足を向けている。
リンスティーもここに来るのは初めてらしい。
「人が多いんだな」
「ほんとですね。この前来たときより、賑わってるかもしれません」
こちらもメイン通りの並びで、多くの店が奥までずらりと続き、脇道にも小さな店が点在している。
休日の午後ということもあり、人々が活発に行き交っていた。
リンスティーの隣を、はぐれないように歩くクィアシーナだが、すれ違う人たちの視線を痛いほどに感じていた。
自分に向けられたものではない。自分の隣にいる、リンスティーへの視線だ。
(やっぱりリンスティーさん、目立つよね……。これ、またファンクラ部の人に見つかって、緊急連絡で情報を回されるパターンなんじゃ……)
ちらりと、隣のリンスティーの顔を見上げる。
彼は通りの雰囲気を楽しんでいるようで、どこかご機嫌な様子に見えた。前に行った近所の商店街とは、また違った魅力があるのだろう。
それにしても……自分はこの美貌のお貴族様と、こうして肩を並べてブラブラしてもいいのだろうか。
今さらながら、疑問に思う。
前に商店街で会ったときは、帽子を被って目立たないようにしていたはず。
いまの彼は、まったく気にするぞぶりも無い。
「あ、ごめん」
クィアシーナの視線を、何か言いたいことがあると勘違いしたようだ。リンスティーが気遣うように声をかける。
「どこか見たい店があった?」
「あ、いえ、そんなわけでは」
――まさか、ただ見つめていただけだとは言えない。
クィアシーナは話題を逸らすように、どこかで腰を落ち着けようと提案してみることにした。
「あの、小腹が空いてきたんで、どこかでお茶しませんか?」
以前のクィアシーナであれば、坊っちゃん相手に庶民的なカフェなど勧めていいのか、と思っていたかもしれない。
しかし、相手はリンスティーだ。
ザ・庶民の商店街にすら一人で足を運び、パン屋のパンを買ってしまうような人である。
今さら気にする必要もないだろう。
「俺もそれ提案しようとしてたとこ。どこがいいかな……」
一度端に寄って足を止め、二人は一緒にあたりをキョロキョロ見渡した。
すると、人混みの中でこちらをじっと凝視している人物と目があった。
「ん? スーニャ?」
クィアシーナが思わずつぶやく。
リンスティーファンクラブの男子会員の一人である彼は、眼鏡を何度も指でクイクイしながら、信じられないものを見ている様子でこちらを見つめていた。
(めっちゃ通行人の邪魔になってるじゃん)
人混みの中、足を止めている彼は、行きゆく人に肩をぶつけられてふらつくが、視線は変わらずこちらに注がれていた。
ぶつかっても「すいません」と言いつつ、一向にどこうとしないスーニャに、悪態をつく人もいる。
一体、何をしているんだろう。
「なんか、あそこにいるあいつ……めっちゃこっち見てない?」
リンスティーも彼の視線に気づいたのか、クィアシーナに顔を寄せて小声で囁いた。
「あの……あの人、お友達です。めっちゃ邪魔になってるんで、ちょっとこっち呼びますね」
スーニャの様子にいたたまれなくなったクィアシーナは、「スーニャ!」と手を振って呼びかける。
彼はハッとした表情になると、人混みをかき分け、クィアシーナたちの元へ駆け寄ってきた。
「休みの日に会うなんて奇遇だね。買い物?」
近くまで来てリンスティーを凝視するスーニャに、クィアシーナは平静を装い話しかける。
しかし、彼のほうは平静ではなかったようだ。
震えすぎて大きく上下している指先をリンスティーに向け、あわあわと口を開く。
「ククク……クィアシーナ! 同士よ! そ、そちらの方は……」
「リンスティーさんだよ」
おい、おまえの最推しだろう、とクィアシーナは内心でツッコミを入れる。
そしてスーニャは、まるで神様を崇めるかのように、その場にズシャッ、と膝をついてしゃがみ込んだ。
「!?」
クィアシーナもリンスティーも、彼の突然の挙動に思わず一歩後ずさる。
「ちょ、ちょっと、どうしたの……」
クィアシーナがおそるおそるスーニャに近寄り、手を伸ばそうとしたところ、彼はガバリと顔を上げた。
「まさか、生きてるうちに、こっちの制服姿のリンスティー様を拝める日が来るなんて……!!!!!」
「ちょ、声、大きい」
かなりの声量で喋るスーニャに、リンスティーが思わず窘める。
「はぁっ!!! こっちを見てくださっている! 目線が合っている! くぅっ、レンズ越しにしか見られないのが悔しい!
でも、裸眼だとぼやけるし、なあ、どうしたらいいと思う!?
クィアシーナ!」
「え、急に振らないでよ。レンズ越しで十分じゃん」
「君は何もわかってない! じゃあ君は、窓ガラス越しに見るリンスティー様と、なんの隔たりもなく見るリンスティー様、どっちがいいと思うんだ!」
「そりゃ、隔たりがないほうが声も届きやすいしいいと思うけど……」
(眼鏡と窓ガラスは違うんじゃないか?)
クィアシーナとリンスティーの心は、本人たちの知らぬところでシンクロしていた。
「あ、思い出した。君、挨拶当番のときによく差し入れしてくれる子?」
リンスティーがスーニャの顔を見て、誰だか察したらしい。
さすがにダンテと違って、全校生徒の名前と顔を一致させているわけではないようだが、しっかり顔は覚えていたみたいだ。
「はぁぁぁぁぁッ!!!! 覚えていてくださったんですか!!!! ああ、そして声がいつもと違う!? これはトールとギリクにも即教えてあげねばぁぁっ!」
いちいち騒がしいが、思いもよらぬところで推しに出会えたら、人間こんな風になることもあるのかもしれない。
クィアシーナは無理やり自分を納得させる。
「と、ところで、お二人はこんなところで何を……?」
スーニャはテンションが振り切り過ぎたのか、一周回って冷静になり、問いかけてきた。
「ええっと……」
クィアシーナはスーニャの質問に、一瞬返答に詰まる。
(この場合、どう言えばいいんだろう……)
「いまからお茶しに行くの」と正直に言うか、「うろついてるだけ」と回答をぼやかすか、はたまた「生徒会の用事だよ」と仕事をしている風を装うのか……。
色々と波風を立てないためには、仕事だと言い切るしかない。
そう考えたクィアシーナが口を開こうとすると、
「制服デート中だよ。だから、邪魔しないでね?」
横からリンスティーが口を出し、クィアシーナの肩を抱き寄せ、ニコリと微笑んだ。
クィアシーナは口をあんぐり開けて、リンスティーの顔を仰ぎ見る。
(げえええええっ!!! 一番ない選択肢を言ったよ、この人!!!)
きっとスーニャは「デートなんて、見過ごすことはできない!」と激怒するに違いない――そう思って慌ててスーニャのほうを見ると、
「笑顔の破壊力……」
と呟き、眼鏡を外してハンカチで目元を拭いていた。
デートという言葉や肩を抱き寄せる動作よりも、リンスティーの笑顔しか見えてないところが、いかにもスーニャらしい。
前にも感じたことだが、突き抜けたファンというのは、いまの自分には理解できない思考を持っているようだ。
スーニャは外していた眼鏡をかけ直したあと、きりっと二人のほうを向き、そのままガバリと深く頭を下げた。
「制服デート、素敵ですね! はい、決してお二人の邪魔など致しません! よい休日をお過ごしください!!」
「君も、良い休日を」
「また学園でね」
最敬礼をして見送るスーニャに、クィアシーナとリンスティーも別れの言葉をかける。
その言葉に、また腰が抜けそうになっているスーニャを視界から外し、二人は人の流れに沿って歩き始めた。
「……クィアシーナの友達、濃いな」
「恐れ入ります……」
そうとしか、返答のしようがなかった。
結局、二人とも特にこだわりはないということで、適当に目についた店に入った。
おやつの時間帯のためやや席は埋まっていたが、待つこともなく席に着くことができた。
ケーキセットと紅茶を二つ注文し、まったりと時間を過ごす。
「あ~、この甘さの暴力、最高ですね」
「感想の言い方が独特だな……」
久々の、甘さ全開の生クリームたっぷりのケーキに、心が満たされていく。
ケーキなんて一体いつぶりだろうか。
クィアシーナの記憶では、少なくとも年単位で口にしていなかった。
(美味しいけど、なんか手が進まないな……ケーキ以上に素敵な存在が目の前にいるからかな……)
リンスティーのほうを見ると、彼も小ぶりのケーキをゆっくりと食べ進めている。
腹ペコ男子のリンスティーなので、てっきりケーキも大きなものを頼むと思っていたが、甘いものは少しで満足できるらしい。そして、ケーキを口へ運ぶ所作も大変に美しい。
そして、ふと我に返る。
(私、なに普通にデートを楽しんでるんだろう)
確か自分は、作戦会議の女子会に誘ったはずだ。ノリは軽いけれど、割と真面目な会のつもりだった。
それが、気付けば二人して休日に制服を着て、街を歩き、ケーキを食べている……。
――そうか、制服か。制服を指定したことが、すべての元凶か。
結局、自分が原因じゃん、と頭を抱える。
「さっきからどうした? 一人で百面相して」
「あ、すいません。自分の過去の言動を悔いてました」
最初は見慣れない男版制服姿のリンスティーにどぎまぎしていたクィアシーナだが、今はそれよりもこの奇妙なシチュエーションに気を取られ、そのおかげでいつもの調子を取り戻していた。
「……リンスティーさんの女装ペナルティって、卒業までずっとなんでしたっけ?」
クィアシーナは彼の制服姿をぼんやり眺めているうちに、ふいに思い浮かんだ疑問を口にする。
「ん? ああ、学園生活中はずっとだな」
「卒業式くらいは、ゴージャスなお姉様の制服姿も、こっちのきりっとした男前の制服姿も、どっちも見られたらいいのになぁ……」
頬杖をつきながら、妄想を口にする。両方味わえたらいいのに。
いっそのこと分裂してくれないだろうか。そしたら一気に解決だ。
「リンスティーさん、分裂する気ありません?」
「やめろよ、さらっと怖いから」
被せ気味に断られてしまった。
やはり物理的にどうしようもないらしい。当然と言えば当然か。
「……なんか、調子悪い?」
「え?」
リンスティーが少し心配そうな様子で、クィアシーナの顔を覗き込む。
彼の綺麗な薄い水色の瞳が、クィアシーナの視線とかち合った。
その途端、ばっと顔を横に背け、
「めちゃくちゃ普段どおりです!」
とクィアシーナは言い切った。
不意打ちで見つめられると、やはりというべきか、変に意識してしまい、鼓動が激しさを増す。
頭もぼんやりとして、視界すら滲んできている気がした。
「いや、なんか顔赤いし、ちょっと待って」
リンスティーが手を伸ばし、クィアシーナの額に手を当てる。
ひんやりとした大きな手が、やけに気持ちいい。
「あっつ! 絶対、熱あるじゃねぇか」
「熱……」
熱と言われ、クィアシーナは首を傾げる。
「私、自慢じゃないんですけど、風邪ひいたこと、ほとんどないんですよね。だから、熱があるって自覚ないんですが」
馬鹿となんとかは風邪を引かないというが、よかった。どうやら自分は馬鹿じゃなかったらしい。
「すぐに出よう。家まで送るから。あ、お茶だけはしっかり飲んどけよ。水分補給しておかないと」
慌てる様子を見せるリンスティーだが、面倒見のいい彼は、どこまでもしっかりしていた。
「いや、本当に熱じゃないかもしれないですよ。ただ、リンスティーさんとのデートで浮かれて、体温が上昇してるだけかもしれないですし」
「だとしたら、余計に異常だろ。ほら、荷物まとめて……」
クィアシーナは、立たせようとするリンスティーの服を、軽く引く。
「でも、せっかくの制服デートなのに」
この、風邪かどうかもわからない謎の体調で、せっかくの彼との制服デートを終わらせてしまうなんて、もったいなさ過ぎた。
豪華なディナーを前にして、手をつけずに席を立ってしまうような気分になる。
「そんなの、いつでもできるだろ」
「だって、リンスティーさん忙しいだろうし」
「ちゃんと予定、空けるから。今度は“女子会”なんて建前なしでいいし」
今のリンスティーの言葉に、クィアシーナはぱっと顔を輝かせる。
「建前がなくても、お誘いしていいんですか?」
「……もちろん」
リンスティーは視線を彷徨わせたあと、しっかりと頷いた。
少し、溜めがあった気がしたが、言質は取った。
次の約束を取り付けられたことに安堵しつつも、身体は段々とだるくなっていく。
これが、風邪。
これが、熱。
店を出たあと、彼に手を引かれながら帰路につく。
手を繋いだのは、これで二回目だ。前は繋いでいる間、ずっとどきどきしていたが、今は安心感のほうが強い。
せっかくの休日に申し訳ないことをしたと思いつつ、一人の時に熱を出さなくてよかったとも思った。
最近、『害虫駆除』に精を出したり、疲労が溜まっていた自覚はある。
リンスティーと一緒にいることで、一気に気が抜けてしまったのかもしれない。
「じゃあ、暖かくして、しっかり寝とけよ。水はちゃんと定期的に飲むこと。水差しごとベッドの横にでも置いとけばいい。
それと、足が熱くなったら、熱が上がり切ってきた証拠だから、それまでは無理しないこと。いいな?」
「はい、わかりました」
クィアシーナの返事とともに、リンスティーがベッドの上のブランケットを、彼女の首元までかける。
まるで母親のようである。いや、正確には父親か。
リンスティーはクィアシーナを家まで送り届けたあと、近所の店で飲み物や果物まで買ってきてくれた。
感謝しても感謝しきれないくらい、世話を焼かれてしまった。
「よし」
そう言って、リンスティーはブランケット越しに、ポンポンとクィアシーナの身体を叩く。
「また、元気になったら学園でな。おやすみ」
「ありがとうございました……このお礼は、必ず……」
パタン、と玄関の扉が閉まる音が耳に入る。
リンスティーが帰ったあと、クィアシーナはぼんやりする頭で一人思案する。
気持ちがほんわか温かくなっているのは、風邪のせいなのだろうか。
それとも――
(もう何も考えられない……)
クィアシーナは火照る身体をブランケットに埋め、静かに目を閉じた。
明日は朝、晩に更新します。




