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書く習慣  作者: たぬぐん
9/14

お題「風を感じて」

時刻は18時。

夏の日差しを浴びながら、昼過ぎに登った長い坂を、私は愛用の自転車に股がって駆け下りる。


もう夏休みは終盤に差し掛かっているが、日が落ちる時間が早くなる気配はまだ無い。

自転車のライトの出番は、もうしばらく無さそうだ。


いくら仲のいい友人の家に遊びに行くためとはいえ、この坂を毎回登るのは骨が折れる。

友人の家に着く頃には、滝のような汗をかき、しばらくは遊ぶどころの話ではない。


私はこれほどに苦労して毎回訪問しているというのに、もう一人の友人の家は目と鼻の先なので、私が着く頃には涼しい顔をしてゲームに興じている。


羨ましがったところでどうにもならないが、若干の不公平は感じてしまう。


まあ、結局体力が回復して遊び始めれば、楽しくてそんな事はすぐに忘れてしまうのだが。


何より私の苦労を吹き飛ばすのは、この帰り道だ。

全速力で自転車を漕ぎ、全身に風と重力を感じて駆け下りる気持ちよさは、そう感じられるものではない。


もはや私はこの感覚のために、毎回しんどい思いをして、友人の家に遊びに来ているのではないかと思う。


危険なのは重々承知しているが、一度や二度、派手に横転してくらいでは、この気持ちよさを手放す気にはなれなかった。

結局大怪我をするよりも、その友人と疎遠になる方が早かった。


危険よりも、好奇心に従い、無鉄砲に突き進んでいた若いあの頃。

今となっては風のように過ぎていった日々、当時としては永遠に続くと思っていた日々。


はるか昔に駆け抜けた、ひと夏の風のような、そんな記憶の一片。

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