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川岸の女

作者: なをゆき

男は先日フリーカメラマンとなった。

そして新しい高級カメラと交換レンズを注文したものが届いた。

新しいカメラとレンズで百万円を超えかなりの出費だったが仕事道具と思い買ったのだ。


そしてこの日はテストを兼ねて撮影旅行に出かけた。カメラに金をかけたせいで車は小さくなった。まあ一人旅だしそのうち大きくすればよい。

すっかり暗くなった夜中。とある地方の高速を降りて街中に出ようとしたのだがカーナビが近くの川沿いの細い道をルートに出してきている。周りも街灯がなく真っ暗である。

「おいおい、こんな薄気味悪いルートは本当かよ…」

本来高速道路から街までは比較的大きな道が伸びていたはずであった。ところがカーナビのルートは違っていた。そうはいうものの初めて来たこの場所で詳しくないのでカーナビに頼るしかないのだ。気が付くと夜霧が出て一層視界を悪くしてきた。

「おっと、危ない」

道端に髪の長い女性が立っていた。女性は夜で冷えるのにかなり薄着だ。視界にいきなり入ってきたように思ったがスピードを出してなかったのでハンドルを切って女をよけた。ひかなくて済んだ。


「5キロほど川を下った国道の端まで行きたいのですが…」


男は断りたかったが他の車もくる気配がないため仕方なく後部座席のカメラ類を寄せて席を作って女性をのせてやった。

「ありがとうございます…」

疲れているのかあまりに力のない言葉に男はよく聞き取れなかったがそういったのだろう。


車を走らせたが二人は無言だった。ルームミラーから女が写ったが女は外を見てじっとしている。

「着いたよ」

女から頼まれた国道の橋のたもとまで来て男は女の方をみたが女の姿は見えなかった。

女が座っていた座席は水をかけたようになぜかびしょびしょになっているように見えた。


男ははっとした。

「ま、まさか!」

車から降りて後部座席のドアを開けた。


シートは水のようなものではっきりと濡れていたのがわかった。

そして、その傍らにあったカメラと交換レンズまでが水浸しになっていたのだ。カメラの電源は入らなかった…。


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