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第39話 推しとの再会!!

 あー、これは刺激が強すぎる!!

 脳が、脳みそが処理を停止してる!!


「だ、ダフネ殿。そろそろ……」

「あ、すまん!! あまりにも離れていたので、つい、な」


 あー、そうですかー。

 思考停止直前の頭を動かし、なんとか立ち上がる。


 よーし、気合を入れ直せ、私。

 いつも通り、私はかっこいい狂犬伯爵様だ。

 うん。


「そ、それにしても、随分とお早い到着ですね」

「ああ。馬車では遅すぎるのでな。途中から、走ってきた!!」

「そうですか……」


 馬より速く走るとは、相変わらず凄いお方だ。


「もしかしてですが、身体強化の魔法を?」

「お、分かったか?」

「はい。オリーブなんか、すぐに察知していましたよ。ダフネ殿が帰ってきた、と」

「おお、流石、オリーブだな!!」

「私の護衛として、常に気を張っていますからね」

「そうか。なあ、オリーブとも後で会えるか? 僕も、前より強くなったんだ!!」

「ええ。きっとオリーブも喜びますよ」

「やった!!」


 あーあ、キラキラの瞳で笑っているダフネ様、眩しすぎて溶けちゃいそう。


「あ、それと。今、ご家族が屋敷にいらっしゃってますよ」

「本当か!? 早く会いたい!!」

「ええ。案内しましょう」


 そう言って、ダフネ様の手を引いた時だった。


「……おっと」

「ダフネ殿!?」

「あ、ああ、悪い、悪い。魔力切れだ」

「……まったく。魔力量が少ないんですから、無理をなさらないでください」


 さっき感知した魔力とダフネ様の様子から察するに、相当な量の魔力を使ってここまで走ってきたはずだ。

 いくら無尽蔵のスタミナを持つダフネ様とはいえ、スタミナと魔力は別物。

 これだけ消費すれば、体にも悪影響が出てしまう。


「ご家族に会った後は、しっかりと休んでください。明日は、パーティーもあるんですから」

「そうだな。心配をかけてすまん」


 少ししょぼくれたダフネ様に肩を貸し、私たちは屋敷へと戻った。





「ただいま!! 母上、オレンジ、フリージア、ミモザ!! 久しぶりだな!!」

「おかえりなさい、ダフネ」

「「おかえり、おねーちゃん!!」」

「お、おかえりなさい……」


 家族全員をぎゅっと抱きしめ、ダフネ様の顔が優しげに綻ぶ。


「ダフネ殿。お久しぶりです」

「おお、オリーブ!! オリーブも、久しぶり!!」

「ええ。随分と早かったですね」

「ああ。馬車がちんたらと動くからな。走ってきた」

「走っ……!?」


 流石のオリーブも面食らった様子だ。


「それで、あの量の魔力を撒き散らしてきたらしい」

「ああ、そういうことですか……。お体は大丈夫なんですか?」

「ああ、大丈夫だ。大丈夫だが、後で少し休ませてもらう」


 疲れているのを見透かしたのか、確認するような視線でオリーブが見てきた。

 私は、小さく頷いた。


「……では、後で召使にベッドのご用意をさせますね」

「ああ。助かる。それよりも、だ!!」


 そう言って、ダフネ様は満面の笑みで家族に向き直った。


「まずは、土産話だ!! エリヌス!!」

「ええ。食堂でいかがでしょうか?」

「そうだな。じゃあ、食堂に行こう!! 一杯冒険をしてきたからな。沢山、話したいんだ!!」


 そう言って、ダフネ様たちは食堂の方へ──


 ──ん?


「……ダフネ殿……?」

「どうした?」


「ダフネ殿のお仲間たちは……?」


「……あ」


 青ざめた顔で、ダフネ様は小さく言葉を漏らした。





 ……ふぅ。

 自室のベッドに体を預け、大きなため息を吐く。


 ダフネ様の話を聞きたいのはやまやまだが、私も疲れた。

 今のうちに休まねば、明日のパーティーにも支障が出るし、なにより、ダフネ様との夕食の時間を楽しめなくなる。

 話は、その時に聞いてもいいんだ。


 ……にしても、仲間を置き去りにしてここまで走ったのか……。

 その気持ちは嬉しいが、少し心配だ。


 ダフネ様は、一年ほど前から、冒険者として活動している。


 ダフネ様の長年の憧れであり──父・コランバインのかつての職だ。

 意識しているにせよ、潜在的にせよ、父親の影響は少なからずあるだろう。

 それに、あれだけの才能があるのだ。

 この職業を選んでもおかしくはない。

 ……というか、原作でもダフネ様は冒険者だったし。


 もちろん、ダフネ様の仲間の面子も作中の人物と同じだ。

 運命と呼ぶべきかは分からないが、見えない力か何かが働いているのだろう。

 ……私を殺そうとしているように。


 そして、そんな仲間たちを、ダフネ様は置いていったのだ。

 その程度で見限られるような絆ではないと思うが、後の事を顧みないダフネ様の性格は、少々心配になってしまう。


 ……まあ、大丈夫か。

 ダフネ様も、もう大人なのだ。

 私がとやかく言わずとも、なんとかできるはずだ。


 まあ、個人的な話をすると、ダフネ様御一行が揃っている姿を拝めなかったのは、残念なのだが。

 まあ、後でいくらでも機会はあるだろう。


「ふぁ……あ……」


 大きなあくびが出た。

 流石に、そろそろ眠気がやばい。

 ……一旦、仮眠だ。

 私は、どのくらいに起きようかと考えながら、ゆっくりと目を閉じた。

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