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第109話 頼みたいこと

 ……ルリの様子、かなりおかしかったよな。


 オリーブたちの後を歩きながら、私は一人、そんなことを考えていた。


 まずは、勝手に契約内容を曲げたこと。

 普通、悪魔にも人間にも、独断で契約を曲げることは不可能だ。

 だが、ルリはそれをした。

 それも、奴の目的とやらのために。


 それから、私が詠唱をしたときのあの反応。

 冗談半分だったとはいえ、普段であれば、私を煽るような言葉を言うはずだ。

 なのに、ルリはあの場で素直に謝った。


 ……私の魔法で致命傷を負うほどに、ルリも消耗していたのか?


 私に何かしらの魔法を使っていたことは確実だが、夢での話が本当であれば、その魔法はかなり不安定なものらしい。

 魔力の塊である悪魔にとって、それだけ強力な魔法を扱うことは、かなりの脅威にあたるのかもしれない。

 ……まあ、真相はルリのみぞ知る、か。


「エリヌス様。本当に体調は大丈夫ですか?」

「ん? ああ」


 色々とありすぎたせいか、なんか悩みやらなんやらが吹き飛んだ。

 ……というか、ダフネ様の頼み事ってなんだ?

 それの存在だけ聞かされて、中身は何も聞かされていないのだが。





 食堂には、ヴァクシー、マルバ、ブーちゃんが勢揃いしていた。

 それも、なぜかフル装備で。


「……何事ですか?」

「「「いや、ダフネが……」」」

「え、エリヌスがやばそうだったし、嫌な予感がしたから……!!」

「私、メンタルを崩したら誰彼構わず手を出すとでも思われているんですか!?」

「そ、そういうわけじゃないが……!!」


 まあ、ルリがこちらに牙をむいてきていたら、フル装備の判断は間違っていないのだが。


「冗談ですから、とりあえず、話を進めましょうか」


 そういって、私が席に着き、続いてオリーブも私の近くに座った。


「それでは、単刀直入に聞きます。私に頼みたいことというのは?」


 ダフネ様からではなく、四人揃ってから頼むということは、余程のことなのだろう。

 まさか、ダフネ様が忘れたというわけでもないだろうし。


「実は、だな。先日の魔王軍幹部討伐の際に、その土地の領主からある提案を持ち掛けられたんだ」

「提案、ですか?」


 あそこは……ああ、あの伯爵の領地か。

 となると、それなりの褒賞か?


「ああ。その提案というのがだな……。……その……」

「…………。……なんですか?」

「……えっと……」


 随分と言い出しづらそうにモジモジしているダフネ様に痺れを切らしたのか、横からヴァクシーが口を挟んだ。


「あの! その、俺たち……、俺たちを、勇者候補に推薦しようかって言われたんです!!」


 ……マジか。

 予想外の言葉に、私は思わず目を見開いた。

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