仲間との出会い
しばらく自転車で走っていると、湖が見えて
くる。
「……出来れば家族で来たかったな」
独り言を呟くと、近くの民家から蛇が突っ込んでくる。
「グフゥ……」
横腹に頭突きを貰うと5m程ふっ飛び湖に落ちる。
(あちゃ~……また死ぬか、次は頭突きされんよう気を付ければいっか)
軽く考えると失う意識に身を任せる。
目を覚ますと、家の天井ではなく洞窟が目に入る。
「やっと起きたか」
近くにいた同年代くらいの色白金髪男子に
チョコレートを貰う。
「食いな、まぁ旨くはないが」
「ありがと」
男子から貰ったチョコを食べると、口の中に
チョコの甘味と共に不快な味が広がる。
「あの……これって」
「そりゃそうだ、海水に浸かったチョコが旨い訳ねぇ」
「……先に言ってよ」
「いや~ごめんごめん」
渋い顔をしながらチョコを食べ終えると、目の前でにやけていた男子が自己紹介を始める。
「よっす、俺ガランって言うんだ、よろしくな」
「俺はハラスだ、よろしく」
ガランと握手すると、彼の懐からリボルバーが
落ちる。
「あ……これは……その……」
「お前……これかっこいいな」
「え……あ、そうだろ~、しかもこれ防水なんだぜ」
「マジか、日本なのに凄いな~」
ハラスの言葉にガランがにやけ顔で自慢していると、突然地震がおこる。
「え……地震?」
「何が……」
「逃げるぞハラス」
「う……うん」
ガランに手を引かれ洞窟を出ると、砂利道と湖が目に入る。
「改めてありがと、助けてくれて」
「良いんだよ、予知で見た事をしただけだ、にしてもあの夢は何なんだ」
「え? 夢って男の声が聞こえたあれ?」
「あぁそうだが……もしかしてお前も――」
自分が見た夢について確認しようとすると、目の前にぼろ雑巾のようになった蛇が降ってくる。
「なぁ……これって」
「蛇だな」
2人が蛇を凝視すると、遠くから砂利を踏む音が聞こえてくる。
「なぁガラン」
「近づいてきてる……よな」
「もし蛇をこれにした奴なら……」
「……ヤベェ」
臨戦態勢になった2人が足音のする方を見ると、杖を持ち、帽子を深く被り目を隠し、ロングコートを着た男が歩いてくる。
「動くな!! 腹に風穴開けたいか!!」
「近づくな!! 包丁で腹刺すぞ!!」
手を震わせながら男に武器を構えると、男が
杖を振りかざす。
すると2人の後ろにいた鳥が雑巾のように
絞られる。
見るに絶えない姿になった鳥を見ていると、2人の後ろに男が移動する。
「いや~君達が生きてて良かったよ、金髪君がガランで黒髪君がハラス君だったかな、さぁ行くぞ」
2人の顔を見ると、男は堰が切れたように話し始める。
「あの……何処に行くんだ?」
「すまないすまない、何処に行くか話してなかったな、魔法界だ、後ハラスや~、君の里親に会いたいんだが」
「……死んだよ」
「…………すまない、後で墓を作るよ」
ハラスの言葉で場の空気が凍ると、男が魔法界に通ずるゲートを作る。