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帝都にある谷の町の住人  作者: うしねことその身内
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4.港町まで続く開業したばかりの私鉄電車

4.港町まで続く開業したばかりの私鉄電車


佳代子には従妹がおり、家の近くを走るつい最近開業した私鉄に乗ると、

1時間もかからずに、従妹の家に行くことができた。

そう、2週間前に、その従妹の家から歩いて20分ほどのところに、

この私鉄の駅が開業した。


そのこともあり、佳代子の一家はその従妹、親戚の家に行くことになった。


この港町へは、ここ、谷の町にある駅から2両編成の濃い緑色をした電車が走っている。

当然は兄は電車に乗れるので喜んでいる。


この私鉄の駅の近くでは、7階建てのデパートが作られており、

その脇から駅に入る。


駅は1面2線の真新しい駅で、丸い駅の屋根にあるいくつもの電灯が、

近未来的な雰囲気を出していた。


電車は15分から30分に1本出ており、

一家が電車に乗ってから、すぐにこの港町に行く電車は走り出した。


兄は、はしゃぎ、電車の最前部の運転席の後ろで、前の景色を眺めている。


電車の中は、木の床、木の間仕切りに緑の長い椅子のモケットがあり、

丸い室内灯が谷の町をすぐ出て、

トンネル区間に入るとぼうっと、黄色のあかりを照らしていた。


電車は10分ほど走ると、畑や水田がところどころに現れる。

母が、


「佳代子、将来高等教育を受けるならば、ここの駅が最寄りの学校もいいかもしれないわね。」

という。


父は、なぜか無言だった。


佳代子はこの頃から海外に興味を持っており、

「私外交官になりたいの、勉強をたくさんしなければ。」


と家族の前で行ったところ、父が、


「女がなれるわけがない。」


と言われ、ショックを受けたことがあった。

母はそのことを覚えてくれていて、応援してくれている。


「佳代子が高等学校に行くことになっても、お金はためてあるからね。」

とか、

「これからの時代は、女も活躍する時代よ。鉄二さんが何か言っても、気にしないで。」


と声をかけてくれていた。


電車は真新しいトラス橋がかかった大きな川をわたり、水田の中に、工場がいくつか立つところを抜け、

切通しを通り、ちょっとした温泉街を抜け、川をまたわたり、丘陵地を抜け、最後のトンネルをくぐり、

しばらくすると、新しく延伸された、終点の港町の駅に到着した。


そこから、徒歩で親戚の家に向かった。

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