マーキュリー第3席の奮闘
ひさびさですね。投稿開始してみたりします。
よっこいせとおれは彼女の手をひきおぶった。
申し訳ないが、申し訳なくて、申し訳ないんだが…。おれの好きなタイプは年上のお姉さんである。
間違っても自称JKのこの子ではないんだ〜〜〜!! おお神よ! なぜこうなったのか説明してプリーズ!!
なんてこった。おれが神ジャマイカ。ぬおおおお…ヨヨヨ…(白目)
ギュっと抱きつかれ鼻歌が聞こえてくる。
「告白されたあとに手をとっておいてこんな言い訳じみたこといっててほんとに悪いんだが、おれはエコーとはお付き合いできない。ほんとにごめん!!」
「だい、じょぶ。時間の問題。わた、しにほれ、るなんてすぐ。」
ど〜しよう。彼女自信家すぎておれでは説得ができそうもない。
外見じゃないんだ。こうビビってこないんだ。はて。おかしいな。おれの心の正義の女神やアラクネ、メデューサも年上のお姉さんなのになぜかそういう対象で普段から見てないことに気付いてしまった。
な、なんてことだ。こんな美人に囲まれているにも関わらず、生産性のない毎日を送っているなんて。
だがまあ良い。おれなんてな! こう見えて最高神なわけ! ただの神じゃない! 神の中の神それがおれ。急に閃いてしまった。
今晩人間界で婚活パーティーが開かれるのだ。そしておれはそこに出席予定ってわけ。
「むふふふふ。ムハハハハ!! さあ、運命の女性を見つけ神の魅力でおとすとしましょうか!」
おれは仕事場で誰もいないのを確認し1人歓喜していた。
*****
「みんな、に、重大な任務、を、手伝ってほし、い。」
エコーが私とアラクネの手をひく。ほんのりと赤らめた可愛いらしいお顔。
一瞬部屋の温度がタルタロスのみたいに暑くなってるかと思ったが、そうではなさそうだ。
これは彼女が恋をした乙女顔ではないだろうか。
「さっき、お茶を、組む部屋、で、サトゥーが今夜
お見合いパーティーに行く、と、行っていた。止めなくては。いけな、い。それ、を、手伝って、ほし、い。」
まあまあまあ。おっといけない。ついニヤニヤが止まらないのだ。
「もちろんだ。私たちに任せろ。」
「たまにはあっしらに頼るっすよ!」
まことにかってだが、妹ぶんのように可愛いらしいエコーちゃんの頼みは最高神の幸せより優先するに決まってる。
世知辛いもののこれが人望というものである。
「おもしろそうっすね。なんすかなんすか!ぜひ盛大に破綻させてやりやしょう!」
「そこ、までしなく、て、良い。わたし、に良い考え、が、ある。」
そう言ってエコーは古文書をとりだし、電話をかけだした。
「もし、もし。」
「・・・。どちらさまですか。」
「・・・。」
ガチャリ
「まだ、話してない。きら、ないで。わたし、は、オリ、ンポス神殿の、マーキュリー、第3席、もと囚人の、エコー。」
「なにか御用ですか。」
「・・・。」
ガチャリ
「これから、話すから、きらな、いで。」
「またあなたですか。あの〜大丈夫なんですか? 全く今第の最高神はほんとに頭がおかしいです。なぜ囚人なんかを神の使徒にしてるんでしょうか。本当に理解に苦しみます。あとあなた新米の神ですよね? いや半神か。そこはまあ良いです。」
大変そうだ。だが頑張れ。頑張ってくれエコーちゃん。あっしたちにはなんでそこに電話(?)だっけか。あの音声だけのやり取りができる魔導具をかけている理由が分からない。
「・・・。」
「わたし、を、お姉さんにしてほしい。お願い、します。」
ええええええええええーーーーー!!!
お姉さんになりたかったの? いやあ〜。あそうかクロノスさまにお電話しているのですね。
なるほど察しましたよあっしは!
彼女は外見が幼い(?)自称JKだから、お姉さんにしてほしいと!
ニンフの外見が年齢で変わるかどうかの世紀の課題はひとまずおいていて。
時の神さまの美容室帰りのエコーちゃんは少し髪が伸びていた。
あ〜。そういうパターンすね! おけおけ!!
「お姉さんに、なって、きた。これでいちころ。」
グハっ これが決め台詞だったのか。背伸びする子供って独特な可愛さがあるのはいったいなぜなんすか?
隣をみるとアラクネは天を仰いでいた。ジーンときている表情で。いや、ここが天界っすけども。
「お姉さんになったら髪型変えないとっすね。ハーフアップにしますっすか?」
「・・・。」
はてなって顔めちゃ可愛いっす。めちゃ愛でたくなってきたっす。はあ〜。サトゥーも罪な男っすね。
いろいろメイクを整え、夜会用のドレスに身をつつみあっしら3人はサトゥーの出会いを潰しにいった。
会場にどよめきが走る。
「なんだあの美女と美少女は?」
「す、すげー。なんでかた田舎のこんな婚活パーティーに?」
「おいおい。誰か探しているみたいだぜ。」
「しっ。本人たちに聞こえているぞ。」
「スッ、すみません。ど、どうぞ。」
さっと人だかりにも関わらず道があく。これは身体から発せられているオーラから本能で身を守っているからかもしれない。
その中で美少女がポツリと一声発した。
「みつけ、た。」
直前になぜか周りの会場の音が遮断されたので(サイレント魔法?)響き渡る。
彼女が見据えるは婚活パーティー裏ランキング3位や非公式)高値の花、キャサリン様(女王様気質)に振られ落ち込んでグッとグラスを飲み干す。モブ男。
あれ? あのモブ男にあんな可憐な美少女がマークしているだと? 周りの男女はみなそう思っていたのかもしれない。
ギギギっと首をきしませ漫画のように振り返る男の顔は絶望に満ちていたのは一体なぜだろうか。
「わたし、が、お目当てのお姉さん、だ。」
「髪型変えた?」
「ほれ、た?」
「いや。とくには。」
周りからブーイングの嵐が巻き起こった。
*とてもイケメンお兄さん
「それでも男か!」
*話したのは1度きりのひと。
「見損なったわ!」
「ブーブーブー!!」「おい少女泣きそうだぞ! 泣かすなよ!」「さいてーーー!!」
みんな言いたい放題である。
「だい、じょぶ。落ち込まない、で。グスンっ。ズビビ。」
「ありがとう。」
「さああっしらも帰りますか。」
「ああ。」
なんだ君たちも来てたのか。アラクネと秘書どの。
おれは何一つ成果を上げることなく婚活パーティー退会を余儀なくされた。
後日お幸せにというご祝儀をたくさん頂いたが、ありがたくない。文句を言いたい。
おれの運命の女性どこーーーーーーーー!!
頼むから女神でも良いし、ニンフでも(お姉さんパワーもっと強めの人)、普通のひとでも良いから〜!
おれの叫びは悲しくも後ろに張り付いて居眠りしているチビっこにかき消されてしまったようだ。
仕方ないな。ベットへ眠らせに行かなくては。
天界の窓の外ににサキュバスのお姉さんがいた気がしたが、どうやら気のせいだったらしい。
おれの渾身のため息に窓を叩く音がかき消された。
読んでくれてありがとう。今回は死亡フラグなしで作者そんなバカなって思ってました、




