小さな悪意
この話はフィクションです。事実や思想など、リアルな事には一切関係がございません。
おれが神になってから、君たちにいつか聞いてみたいと思ってたことがある。
*正義が勝つんじゃなかったのかよ!? 何でこんないい奴なのに報われないんだ?*
という事だ。もしもこの世界に神がいて、おれ達を見ているのなら、何かしら加護があるべきだと。
確かに! おれも正直そう思っていた。昨日までは。
実は今朝、正義の女神テミスさんが床に伏してしまったのだ。
*****
「テミスさん、大丈夫ですか?」
「サトゥーさん・・・。心配かけてすみません。」
いつもディスられているのが帰ってこないのは、こうなんかくるものがある。何だかんだでこいつといると楽しいんだよなあ・・・。
「大丈夫か。これを飲むと風邪が早く治るらしいぞ。」
「あっしも心配っす。でも無理はいけないっす。」
「安静、に、してて、ください。」
みんなも心配している。
「みんなが優しいよ~。私今が幸せだなあ。」
潤んだ瞳でボソッと呟く。
「可愛いっす! 最高っす!」
「お、おう。いつも頑張ってくれているから、無理がたたったんだろう。」
「もしかして、サトゥーさんドキッとしたっすか~? うりうり!」
「ば、まさか? してないですよ!」
「私は、サトゥーさんも好きだ、よ?」
服の裾を掴んでそっとつぶやかれる。
何故だ? どうしてか可愛く見えてしまう。
「そ、そうだ! おれも他者にはヒール使えるようになったんですよ?」
「お、マジすか。凄いっす!」
「今、治しますから!」
「いや。多分これは呪いだぞ? 私もその道に多少は通じておるからな。」
おれは、拳を握りしめ、制裁を加えるべく、犯人を追った。
「大丈夫ぶっすか? 一人じゃ危ないっすよ!」
「おれにやらせてくれ! 犯人をぶん殴ってくる!」
最高神のチート能力(神々平均値)なめるなよ!? そこらの雑魚には負けねえ!
許されない事しやがったなあ! どれ絞めてやんよ!
先ずするべき事は~
<呪力追跡!>
ここか! 全速力で現地へと向かった。
路地裏に降り立った。
なるほど。怪しい気配がプンプンしやがる。気配は1時の方向。あの枯れ木か?
釘が変な形の枝に突き刺さっている。
<追撃>
黒いモヤモヤが犯人を追う。なるほど。あのマントを羽織った男か!
なぜ、正義の女神を呪った? というか、握力すげえなあ。釘がねじ曲がってるぞ!?
おれが男に接触を図ろうとした時、後ろの死角から、かぎ爪が襲う。
受け身を取り切れず、吹き飛ばされてしまう。
何を~! 攻撃魔法でぶっ飛ばしてやるよ!
「油断しやがったなあ! 雑魚いなあ。お前下級神か?」
「聞かねえなあ。おれは上級の邪神だぜ? そんな腕力強化の鼻くそみたいな拳が通るかよ?」
ク、こいつ。シャレにならんくらい強いぞ!? 遠距離から攻撃魔法を仕掛けられ、おれは回避するのが精一杯だ。
ヤバい。負ける! というか死ぬ!
突然後ろに大きな轟音と土煙が上空に舞いあがった
「あなた、が、相手するまでも、ない。」
「守護神はちょっと遅れ、て、やって来る。ただいま参上!」
どや顔からの、ウインクしながら片目をピースで隠している、エコーちゃんがいた。
なるべく、皆さんに予想されない展開作っていきたいなあ。作者張り切って行こうと思います!




