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エピローグ

「ねぇ、この隠しキャラを登場させる条件がすごく厳しいんだよね。もう攻略済なんだよね? 教えてもらってもいい?」

「ん? あー…トレイシーでしょ、すごく厳しいよ。幼馴染みのマーガレットがいるんだけどさ、この子が死なないと登場しないんだよね。しかも終盤での登場だし、攻略がシビア過ぎるの」

「えー? 終盤ってほとんど攻略不可って言われてるようなもんじゃないの?」

「本当そう思ったよ。でも、選択肢を間違えなければ一応大丈夫なんだけどね、その選択肢の出るタイミングとか、順番でも攻略の具合が変わるっていうちょっと難しいキャラなんだよね」


 下校中の学生達が駅で電車を待っている。そんな学生達があふれるホームで友人同士らしい二人の高校生の女の子達が会話をしている。

 一人が手に持ったスマホの中には乙女ゲームの攻略サイトが開かれているようで、小高い丘の上、大木に寄り添うように佇むトレイシーが見える。


「トレイシーって言うんだね。すごく好みなんだけどなぁ。いつもここで佇んでるところまでは見るけど、後はもう全然で悔しくってさ」

「だよね。このトレイシーは幼馴染みで大好きだったマーガレットの死を知って、まだそれほど時間が経ってないんだよ。

マーガレットには婚約者がいてね、その婚約者に殺されちゃったの。殺した婚約者も死んでるし、気持ちの持っていきようがなくて色々と葛藤してるって時期だったはずだよ」

「えー? なんか…トレイシーかわいそー」

「うん。だってマーガレットと結婚の約束する関係だったからね。トレイシーにとってはマーガレットが大事なお姫様だったんだよ」

「そうなの!? だったらどうしてマーガレットは他の男と婚約したの? なんかそっちも気になるんだけど!!」

「なんかね、マーガレットもシナリオになりそうな背景があるんだよね。そこは攻略するとトレイシーから語られるよ。だからネタバレはしないけどね」

「そっかー。私もネタバレは嫌だしなぁ。うーん、じゃあ頑張ってトレイシーを攻略しないとだね。で! この後トレイシーにどうすればいいの?」

「じゃあ、ヒントね。この時点でトレイシーがこの場所にいるのは、まず一歩目成功してるから、トレイシーとすれ違うことが出来れば次の出会いに繫がるんだけど、………」



 二人はスマホを片手に、色々と話しているようだ。まだゲームを全ては終えていない一人は、開いている攻略サイトよりも、友人の話のほうが手っ取り早いのか熱心に話を聞いている。

 ちょうど電車が滑り込んでくる。彼女達のいるホームとは別のホームに停まった。彼女達が乗る電車ではなかったからか、気にした様子もなく二人は話を続けている。

それから間もなくまた電車が駅に入ってくる。今度は彼女達の立つホームの前で静かに停車した。開けられた扉からは多くの人々が降りていく。その人々の降車が一区切りついたところで、乗車する人達が電車へと吸い込まれていく。二人もその波に飲まれるように吸い込まれていった。

 車内では、スマホを持っていた高校生が電源を切り鞄に仕舞いながらも、話を続けている。

混み合う車内で扉近くに立つ二人は、周囲に気遣うように声を潜めてはいた。


「このマーガレットっていうトレイシーの幼馴染みってさ、死ぬだけのモブってことだよね? もしかしてマーガレットが死なないっていう分岐があったら、トレイシーとマーガレットが結ばれるエンドとかあるのかな? なんか、それはそれで見てみたいなぁ」

「うん攻略してみた私としては、是非とも見たいわそれ! トレイシーって幼馴染のことすごーく大事にしてたんだよね。そんな二人なら見てみたいよ」

「…トレイシー×マーガレットのシナリオ希望ぉって呟いておこうかなぁ」

「呟いとけば、運営さんも気付いてくれるかもよ」

「まぁその前にトレイシー攻略しろよって話だよね」

「そうだねー」



end.

お読みいただきありがとうございます。


本編はこれで終わりです。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます<(_ _*)>

番外編が4話あるので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。

ちなみに、番外編も本日投稿予定です。

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