表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の大魔王様、乙女ゲーの悪役令嬢に転生す  作者: ハーメルンホイッスル
1/3

チャート0

ただの思いつき製作。

不定期更新。

(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

してくれれば、更新あるかも?

「これで終わりだ!大魔王ドヴァー!!」


「来るがいい!勇者ノーリ!」


 今、長きにわたる決着が付こうとしていた。


 勇者ノーリが、満身創痍の体から最後の力を振り絞り、大魔王ドヴァーに向かって走り出すと、聖剣を振り上げて力を溜めた。

 そして、それを待ち構える大魔王ドヴァーもボロボロに傷ついた真の姿で、勇者ノーリに止めを刺そうと強大な魔法陣を目の前に展開した。


「させないわ!」


「なんだと!」


 勇者ノーリの仲間である聖女が、ドヴァーが展開した魔法陣を破壊した。


「おのれぇぇ!」


 魔法陣を破壊されたドヴァーは、とっさに魔法攻撃から物理攻撃に切り替え、鋭い爪が生えた片手を勇者ノーリに突き出した。

 だが、ドヴァーの鋭い爪は勇者ノーリの頬を掠っただけで終わり、ドヴァーの懐に入った勇者は、剣を振り下ろして聖剣に溜めたエネルギーを解放した。


「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」


「さらばだ…大魔王ドヴァー…」


「ククク…見事だ…勇者とその仲間達よ…だが、忘れるな…余を倒しても貴様らは己の愚かさで滅ぶであろう!」

(あーあ…これで終わりか…)


「確かに…人間は愚かだ…だけど、それは全てじゃない!俺が…いや、俺達が人間を正しい方向に導いて行く!」


「ならば、やってみるがいい…余は地獄で貴様らを見ているとしよう…」

(あと、もう少しで「ラヴァーズ・トゥ・フィールド」をトロコン出来たんだけどな…)


「ああ、そこでじっと見ていてくれ…」


「フッ‥‥」

(トロコンしたかった…)


 勇者ノーリと最後の言葉を交わし、大魔王ドヴァーの体が灰となって崩れていった。




「《ケケケ!それ!面白いな!やって見ろよ!》」




「な!?」


 体が灰になって崩れていく最中、ドヴァーの耳に謎の声が聞こえた。

 その声に驚いたドヴァーは、今だ灰になっていない右目を動かして、声の主を探したが見つからなかった。

 そして、右目も完全に灰となると、大魔王ドヴァーの意識はそこで途切れた。



 ~b~



「お嬢‥‥さ‥‥。…お嬢様!…エメロードお嬢様!ご無事ですか!?」


「…あ?…エメ?…誰だ?貴様は?余は死んだは…!?」


 ドヴァーに意識が戻り、目を開けると目の前に人間のメイドが居た。

 そのメイドは何故だか分からないが、心配な表情でこちらを見ていた。


「ああ、大変!誰か!急いで治療士の方を!」


「ええい!うるさいぞ!一体なんだ!?そして貴様は誰だ!?答えなければ貴様を滅ぼ…ん゛ん?」


 ドヴァーは、魔法を使おうと手を前に出すと、違和感がある事に気が付いた。

 その違和感とは、自分の手が異様に小さい事に気が付いたからだった。

「いや…手だけではない…」とドヴァーは感じて地面に寝ていた体を起こした後、自分の体を視界に入れて確かめると、体全体が縮んでいる事に気が付き「これはまるで幼子ではないか!?」と、ドヴァーは思った。


「余は……余は…私は…?」


 体が縮んだ事に衝撃を受けたドヴァーは、突然頭上から何かが垂れてきた事に気が付き、それを指先に取って確認してみると、真っ赤な液体だった。


「これは…血?」


 頭から止めどなく流れ出て来る血を見たドヴァーは、急に視界が歪み始めると意識が遠くなっていった。


「あ、ダメだこりゃ…」


「お嬢様ぁぁぁぁ!」


 そしてドヴァーは意識を手放し、気絶した。

 ドヴァーが完全に気絶する前に見た光景は、謎のメイドが号泣しながら叫んでいる姿と謎の騎士達が慌ただしく動いている光景だった。



 ~c~



「ンチャラホイ!」


 謎の奇声を上げて目を覚ましたドヴァーは、体を起こして周りを見渡すと、豪華な調度品や大きなぬいぐるみがある事に気が付いた。


「ここは…人間の家か?それに…あの調度品の数々…相当なものだな…という事は貴族か富豪の家だな…い!っつ‥‥」


 急に頭痛が走り、頭を手で押さえると何かが巻かれている事に気が付いた。


「何だこれは…布?なぜこんなものが?」


 ドヴァーが頭に巻かれた布を触りながら、首を傾げていると、扉が開く音がした。

 その音がした方に視線を向けてみると、気絶する前に号泣していたメイドが、ドヴァーを見て震えていた。


「お嬢様!お気づきになられたのですね!」


「お前はだ‥‥いや…お前の名前を知っているぞ…確かリリーだったな!」


「はい!…はい!リリーです!ああ、旦那様と奥様にお嬢様が目覚めた事をお伝えしなくては!」


 メイドの顔を見たドヴァーは、そのメイドの名前が突然頭の中に浮かび上がり、メイドの名前を口にした。

 リリーは頷き涙をぬぐった後、全速力で何処かへ走り去っていった。


「…あの俊敏さ…見た事があるな。確か~…余を暗殺しに来た暗殺者があれほど動いていたな…捩じ切ってやったが…」


 ドヴァーがしみじみ思い出していると、何かがこちらへ向かって来ている音が聞こえて来た。

 その音は一人が出せる音では無く、大人数が走ってくるような音で、次第に大きくなって来ているのが分かった。


「うぉぉぉぉぉ!エメロードォォォォ!」


「何奴?!」


 ドヴァーがいる部屋に、壮年の男性がダイナミック入室して来た。

 そして、壮年の男性の次に入って来たのは、20前後と思われる若い見た目の夫婦と、その子供と思われる13歳程の長男と11歳位の次男だった。


「うぉぉぉん!エメロードぉぉぉ!ごめんよぉ!ごめんよぉ!」


「お義父さま!落ち着いてください!エメロードがかつてない程の嫌な顔をしています!」


「え?嘘!?あ、マジだ!ごめんよ!エメロード!」


 壮年の男性に、急に抱きしめられたドヴァーは心の底から嫌な顔をすると、その表情を見たドレス姿の女性が壮年の男性を諫めると、壮年の男性はドヴァーを離して後ろに下がった。


「エメロード、怪我の方はもう大丈夫?」


「えっと…余は…私は…」


 一人称を言い直して、ドヴァーは困惑し始めると、ドレス姿の女性が説明を始めた。

 ドレス姿の女性の話を要約すると、家族総出でピクニックに行く→現地に到着した後、馬に乗って遊ぶ→お爺様がエメロードにいい所を魅せようとして雷魔法を使う→その雷魔法で馬が驚く→馬が驚いてエメロードと一緒に乗っていた長男が落馬→長男は無事だったが、エメロードは地面の石に頭をぶつける→エメロードが頭から出血し気絶→急いで屋敷に戻り治療される→その2日後、エメロードが意識を回復←いまここ、だったようだ。


「大丈夫?ちゃんと自分が誰だか分かる?」


「いっつ‥‥大丈夫です。お母様、ジョンお爺様」


 心配そうに見て来る女性の顔を見つめたドヴァーは、痛みと共に家族全員の名前が浮かび上がって来た。


「ああ、安心したわ…頭を怪我した時、皆を忘れている様だったから…治療士の方は一時的な記憶喪失だろうと言っていたから、思い出してくれてよかったわ…」


「ああ、本当によかった…」


 父親のジェームズが、涙目になりながら安心すると母親のローズが口を開いた。


「エメロードはもう少し休んでいなさい。お義父さま、あなた、行きましょう」


「そうだな。ゆっくり休んでまた元気な姿を見せてくれ」


「お休み、エメロード」


 家族と侍女達が次々と部屋から出ていくと、最後に出ようとしたジョンが、ダイナミック入室で壊したドア本体を持って部屋の扉に立てかけた後、ドヴァーがいる部屋から離れていった。


「…行ったか…にしても、余は一体どうしたというのだ…身に覚えのない記憶が出てくるなど…」


 ドヴァーは、部屋の中を再び見渡してみると、全身を映す事が出来る大型の鏡がある事に気が付き、その鏡の前まで移動した。


「これは!…幼女!まごう事なき幼女!」


 鏡に映し出されたドヴァーの容姿は、髪の毛は金髪で目は大きく碧眼、顔立ちは整っており大きくなったら傾国の姫と謳われるほどの容姿だった。


「何故…余がこんな雌に?…それにエメロードとは…エメロード?はて?聞き覚えがある名前だな…」


 ドヴァーは自身の記憶を思い出してみると、解を得る事に成功した。


「あ、エメロードって確か…余が勇者と戦う前までやっていたゲームに出ていた悪役令嬢の名前ではないか!この容姿…小さいが面影があるから間違いない!という事は…余は転生したのか?何故?…あの時聞こえた声がやったのか?…奴は一体…」


 顎に手を当てて考え始めたが、解を得る事は出来ず、ドヴァーはため息をついて思考を切り替えた。


「まぁいい…探って行けばいずれ解る事だろう。なら、今は楽しもうか」


 ドヴァーは、近くに置いてあった紙と羽ペンを持った後、テーブルに座った。


「まずは、できる事と出来ない事を確認した後、攻略チャートを作成しよう。プレイ回数は一回しかないからこの一回で全てのトロフィーを得られるチャートにしなければ!ククク…滾ってくるわ!フフフ…フハハハハハハ!」


 エメロード(ドヴァー)は不敵な笑みを浮かべながら、机に置いた紙に文字を書き始めた。

何故、大魔王がゲームを知っていたのか…次回分かります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ