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ともだち

作者: 清里優月

 夏海ちゃんはわたしの親友だ。小さい頃からの幼馴染で親友。

1年前、夏海ちゃんのパパとママが離婚した。

どちらかに引き取られるので夏海ちゃんのパパとママは親権を争って裁判にまでなった。


 ほんとのこと言うと、しんけんとかさいばんってわからない。でも夏海ちゃんが教えてくれたしんけんはどちらかが夏海ちゃんを引き取って育てて一緒に住むこと。さいばんは弁護士さんをやとってけんかすることだって。


「わたしってば、愛されてるのよね」

 夏海ちゃんはいつもむずかしい言葉を使う。わたしがいつも聞くともー歩美ちゃんってば、こどもよねって言って笑うの。でも夏海ちゃんだってこどもじゃない、わたしと同じ年なのよ?

そう言うといつも夏海ちゃんはわたしを馬鹿にするの、歩美ちゃんのパパとママは仲がいいもの、歩美ちゃんは守られてるからこどもなのよって。


 よくわかんない、でもうちのパパとママはとっても仲がいい。

 それで夏海ちゃんがわたしよりしっかりしていることも確かだ。


 結局、夏海ちゃんのママが親権を取って、夏海ちゃんは転校しちゃった。

「じゃあね、歩美ちゃん」

 いつものように夏海ちゃんはわたしよりもおとなみたいな顔で言った。


「夏海、行くわよ」

 夏海ちゃんのママが車の運転席から夏海ちゃんを呼ぶ。

「夏海ちゃん、元気でね。わたし夏海ちゃんに手紙書くね」

 それしか言えなかった。後はみんながいるのにわたしわんわん泣いていた。だって大好きなずっと一緒にいた夏海ちゃんがいなくなっちゃう、いやだ。


「いやだよー、夏海ちゃんとはなれたくないよ、明日からひとりで学校行くのいやだー」

 うわーんとわたしは泣いた。

 そしたら、目の前の夏海ちゃんが泣いていた。

「わ、わたしだって歩美とはなれたくないわよ、せっかくがまんしてたのにーうう……」

 それはわたしが始めて見た夏海ちゃんの泣いた顔だった。


 それからすぐに夏海ちゃんのママは他の男の人と結婚した。手紙が夏海ちゃんから届いた


『歩美へ

 ひさしぶり!元気だった?

わたしは元気だよ!ねえ、聞いて新しいパパができたの。

それから新しい家族も生まれたのよ。

わたしの弟!とってもかわいいの。

写真おくるね。あーあ、はやく歩美にあいたいな!

夏海より』


 一緒に入っていた写真は知らない男の人と夏海ちゃんのママと夏海ちゃんと赤ちゃん。

 写真を手にとって見る。

その中の夏海ちゃんはわたしの知っているおとなびた夏海ちゃんじゃなくてあの最後に会った夏海ちゃんだった。


何だか少しだけ、寂しかった。変なの。





読んでくださってありがとうございました!

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