ミサキの家
山中に、ミサキの家と呼ばれる廃墟がある。そこは古めかしい家具ばかり置いてあり、最近は肝試しに学生達が来ることもある。
学生達は皆、呪いの家だと言ってはしゃぐ。そりゃあそうだ。住人が殺されたのだから。
私はなんとも言えない気持ちだった。学生達の行動なんて、私にはどうしようもできない。
馬鹿にされているようで嫌な感じもするけど、でもあの家のことを誰かが忘れないでいてくれるのは嬉しい。
だって、あの家が『ミサキの家』と呼ばれて語り継がれる限り、私の名前は忘れられないのだから。
私は死んでなお、人々の記憶に生きるのだ。