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第38話: レッドドラゴン襲来

 

 ニューヨーク国の首都から鉄道の終着駅、内陸地方へ行く中核都市ローザンヌで、この夏、小さなお店がちょっとした話題になった。


 城壁に囲まれた市街地からすると川の向こう側、寂れた旧市街に、東壁ダンジョンに潜る狩猟者なら一度は立ち寄る酒場がある。そのイーストウッド・サルーンに持ち帰りランチと小物販売のコーナーができたのだ。


 カウンターと二階につながる階段の間のわずかなスペースに、写真立てや置物の代わりに営業時間だけ立体投影の商品棚が現れる。カウンターの前にも、これも昼前後だけランチパックが並ぶワゴンテーブルが出現する。


 防犯や場所の都合上、こんな立体映像メニューの商品陳列ワゴンもないわけではない。コロニー時代にもあったし、今でも大都市に行けばカギのかかったワゴンの周りに浮かぶディスプレイは珍しくない。でも、こんな田舎町では滅多になくて、しかも手に取れるほどの投影商品メニューは、逆にオシャレかもしれない。


 ランチワゴンは、販売の翌週には、通りに面したデッキに朝からもうひとつ置かれるようになった。真面目に仕事に出かける住人からの希望だ。日持ちしない物なので、そこそこお高いステイシス・ランチョンマットを別途購入したお父さんも結構いる。


 この自然に貼りつくランチマットも商品で、包んだ端に魔力をちょっと充挿すると小さなシール魔法陣が現れる。引張って破る迄の数日間は、温冷と盛り付けなどランチの状態が保たれる便利カバーだ。液体もこぼれない。時間停止ではないが、格子状のホール素子で分子状態が詰まって固定されるらしい。酒場のワゴンでお弁当をお買い上げの際に、希望のお客様には、サービスで魔力を注入してシールしてあげる。


 そのコーナーの店員さんというと、酒場の二階でお馴染みのアダーラさんとシャウラさんだ。昼間は暇してるからね。


 このお二人が「はい、どうぞ、今日もがんばってね♡」なんて、お弁当を手渡してくれた日には、「いつか彼女と2人で暮らすんだ!」なんて、にゃけた決意に燃える男どもの何と多いことか…。まあ本人がそれで頑張れるなら、何も言うまい。…合掌。


 もう、説明するまでもないだろうが、シルキーマーレ・ホームカンパニーの販売コーナー1号店が、ここ、エストハウスの酒場にオープンした。


 酒場の名前がイーストウッドだと初めて知ったよ。


 ダンジョンは螺旋状の樹形だと教えてもらってたけど、東ダンジョンだからイーストウッドは思いつかなかった。ジャージーさんの店とか孤児院の酒場とかで今まで通じていたし、外から店の正面をちゃんと見たことがなかった。孤児院は裏だからね。


 シルキーの所から錬成レンジと空間投影ワゴンを潜像で送りつけてきたので、こちらの精霊石で錬成した。屋台じゃ無いよ、レンジ単体だ。錬成魔法陣も向こうから転送してきたので、デネブの精霊石が魔力を供給しただけで実体化した。


 シルキーとしては、商品として通用するか知りたいのと、錬成配送のシステムを回して確かめたかったようだ。ボクの収入にもなるので、マリーさんやジャージーさんに相談して酒場の隅に売店コーナーを開かせてもらった。


 なんと言っても、ボクも共同経営者に名を連ねている。初めはボクが店番をすると主張したが、皆んなの微妙な笑顔で止められた。


 そこで、利益が出たら給料を払うと言う事で、お二人を雇う事にした。営業の管理はジャージーさんがついでにやってくれると言うし…。ボクの出番がない。


 お二人はエイリアスである事を隠しもしないで、ボクからリンクでレンジとワゴンの仕様を受け取ると、直ぐに階段の横を整理してカウンターの隅にレンジを置いた。ワゴンの立体投影は、酒場の電気で普通に動く。レンジに至っては電気ごとパッケージで転移してくるので置いてあるだけだ。


 そして今に至る。退屈な田舎町では、ちょっとした事件だった。


 何が事件かと言うと、全ての品質が何となく変わってる。軽食のウインナーでも何かが違って美味しい。奥様達にオモチャのような香水セットなど一時ブームになった。安い事もあるけど、香水など昔の映画でしか見たことないし、多彩な香りが揃っている。ネギの香りなど冗談だと思うが、思ったより悪くなかった。


 そんな実用と遊びが半分の小物と、安っぽいけど異常に美味しいランチがバカ売れした。


 2週目には、二人が専属で旧市街のお客さんを捌き、3週目には川向こうの城壁の街からもお客さんが来た。すべてクチコミだ。酒場に迷惑になりそうだったので、昼間だけ外のデッキのテーブルを一部空けて空間投影でお店を出現させた。ボクにはとても応対しきれないので、営業は店員さんがいる昼間だけ。店員さんのお二人は、夜も酒場にいるけどいろいろ忙しいらしい。


 酒場のレンジは、夜でも目立たず動いてる。軽食やツマミだけでなく、珍しいドリンクと種類は少ないが軽いお酒がメニューにあるのだ。だが、一番人気は「味噌ラーメン」だ。出すたびにドンブリだけ残るので、一時、酒場のカウンターに山積みになった。いくらかは持ち帰ったり商品として売れるけど、レンジの仕様を少し改造してもらい処理できるようにした。消去なのか転送なのか知らないが、情報宇宙の法則からして、どこかの次元にドンブリの山ができているに違いない。


 ボクは、そうした問題をシルキーと監督にお願いして解決したり、商品の種類やお店の作りを考えたりしているだけだけど、ジャージーさんもリリーさんもそれで良いと言う。


「そう言う仕事も必要なんだよ。」


 お風呂の後で、孤児院のマリー先生がニコニコと頭を撫ぜてくれた。皆がそう言うなら、そうなのかもしれない。


 *********


 酒場の一角にテーブルに突っ伏した男がいた。もう1週間、食事と閉店以外は動かない、…どうやらシカバネのようだ。


 ベラさんに告白して玉砕したブレイズさんを、最初は皆んな慰めていたが、流石にもう生ごみ扱いになってきた。


 リリーさんによると、ブレイズさんはお金持ちの次男坊で、それなりのお店を持っていたらしい。でも、小さい頃からの冒険者の夢を捨てきれずに奥さんと娘さんを残してダンジョンに入り浸るうちに、マーレさん預かりになったらしい。


 その冒険者の夢は、小さい頃読んだベラトリックスの冒険物語がきっかけで、ベラトリックス著作の惑星博物誌を全て読んだらしい。


 そして今、エストハウスに本物のベラトリックことベラさんがいる。ブレイズさんは、マーレさんと交代してベラさんとダンジョンに潜るうち、とうとう拗らせが爆発して、思いの丈を告白した。ヴェーダについて行って一緒に冒険者するつもりだったようだ。


 結果は、あえて言うまい。優しくきっぱり何度も確実に断られたらしいが、見ての通りだ。


 連れのアービンさんも、ブレイズは惚れっぽくて、たまにある事なのでそのうち戻る、…と思っていたが、シカバネのまま1週間、復活の兆しがない。


 周囲の慰めが一周したところで、生ゴミ扱いになりつつある。


 ボクが命ずればベラさんが何か考えてくれるかも知れないが、それは違うと思う。頭が痛い。


 ********


 もう一つ、困っているのが、ここ数日、毎日やってくる川向こうのおばさんだ。レッドドラゴンとこっそり命名した。


 最初は立派な車で乗りつけて、屋台の商品を漁るだけだったが、ボクに目をつけ始めた。


「まあー、可愛いボウヤねー。お名前はー、お姉さんに教えて頂戴、あなたのお店のお話がしたいのー。」


 女装幼児を坊や店主だと見抜けるオバさんは、魔法世界でもそういないと思う。知ってて来たと言ってるも同然だ。


 ジャージーさんや店員の二人がやんわりたしなめるが、昼間っから近所の奥さん達に面倒くさいアピールを始めた。


「ローザンヌ商工会では、夫が会頭を勤めてますのよー。私のお店は広場の正面ですのよ、ぜひ、皆さん来てくださいね。川向こうのかたでもきっと素敵になれますわよー。」


 いろいろインサイダーな情報ダダ漏れを、アピールしてますね。近所のおばさん達、レッドドラゴンを無視し始めました。コレは気に入らないみたいです。


「お酒の過ちは、ヒトをおろかにしますものねー。サルーンは、商工会でも何度も禁止にしようと言われてるそうですわ。こんな昼間っから大の男が、よいつぶれてますものねー。コレでは良い連れ合いなんて夢のまた夢、底辺人生まっしぐらの見本ですわねー。」


 ブレイズさんに目をつけた。


 ********


 このパターンが二日続いて、ボクが孤児院に退避していても帰らない。このおばさん暇なのか、腰を落ち着けてしまった。当然、近所の奥さん方もゆっくりはできない。でも、全員帰ってくれないのが、さすがご近所。この顛末を見届けようと興味津々なのが、さらに頭痛い。


 お店も心配だし、ベラさんが戻ったら三者会談でお帰りいただく条件を聞き出そうかと思って、カウンターの中からドラゴンブレスをかわしていると、例の毒舌にブレイズさんがゆらりと立ち上がった。ボクは、必死でジャージーさんに目で訴える。ブレイズさんには悪いけど、暴力は反対です。


 ジャージーさんは、気にする様子もなくカウンターを磨いてる。


「黙れよ、スージー。お前はハートのご立派なデパートで取り巻きとお茶でもしてろ。」


 レッドドラゴンおばさんは、長いまつ毛で縁取った目をバサバサしてブレイズさんを見直して…いきなり笑い転げた。


「アナタ、ブレイズ・バーミリオン。お花屋さんを飛び出したのは知ってるけど、こんな酒場でなに飲んだくれてるのよ。とうとうバイオレットに離縁されたのかしら。」


「黙れよスージー、ここにおまえ向きの顧客層はいない。静かに帰るんだ。」


 スージーさんと言うらしいレッドドラゴンは、半目になってブレイズさんと奥のテーブルを見回した。頭の中でねじくれた歯車がカチカチいってるのが聴こえるようだ。


「まさかアナタ、誰かに言い寄ってフラれたの、…もしかして、またやった?」


 大当りです。何者ですか、オバさんは…。ブレイズさんが明らかに怯んでる。


「わたしは、そこの可愛らしい方とお話ししたいだけよ。可愛らしい商品について興味があるの。アナタこそ、そこの穴ぐらでテーブルの傷でも眺めていなさい。」


「すまないね、彼をそんなにしたのは、私にも多少の責任がある。それにそこの小さな天使君の保護者は、今は私だ。私と話そうじゃ無いか、奥様。ヴェーダのアトランティス大学考古博物学科、ベラトリックス教授だ。」


 ベラさんは、表のスイングドアから入って来た。本当に戻ったばかりのようだ。どこら辺から会話が聴こえていたか知らないが、急いでくれたようだ。でも、レッドドラゴンさんは微塵も揺るがない。


「精霊教授ですか、昔ブレイズが相手構わず熱弁しては嫌がられてたわね。なるほど、それわそれはかわいそうなブレイズ。でもこれはローザンヌ商工会の問題です。あまりに不自然な商いを見過ごすわけにはいきません。平和的にお話ししたいと思ってますのよ、遠くの国の教授さん。」


 ボクに狙いを定めて、真っ直ぐやってくる赤いドレスをブレイズさんが遮った。


「旦那のところに帰れ、スージー・ハートマン。ちゃんと旦那と話し合って商会を通すんだ。今ここで、それ以上、チビに近づいたら、お前の取り巻きを潰すぞ。バーミリオンに戻ってでもな。」


 ブレイズさんがやけにデカイ。そういえば、こんなに背筋の伸びたブレイズさんを初めて見た。別人オーラを発してる。


 レッドドラゴンおばさんことスージーさんは、獲物を狙う戦闘態勢を解くと、急に人の良い笑みを浮かべた。


「しょうがないわねー、出直すかしら。これは、バイオレットが先になりそうねー。ブレイズ、アナタが戻ってくれるなら、それでもいいかしらねー。」


 レッドドラゴン・スージーさんがスイングドアに向かうと、どんな仕掛けかわからないけど、絶妙なタイミングで店の前にピンクのデカイ車が現れてドアがすっと開いた。


 *********


 ブレイズさんの命の炎はその瞬間燃え上がっただけで、また、テーブルを見つめる作業に戻ってしまった。


 リリーさんが大袈裟に溜め息をつくと、調理場の奥で誰かと長い通話をしていた。成り行き上、ベラさんとも夜に相談していたが、マリーさんが来てボクはベッドに行かされた。デネブ妖精と窓から耳をそば立ててみたが、わからない。まあ、危険を犯して調査するほどの事はない。デネブは、ノリノリだけど止めた。


 知ってるよ。昼間誰もいないはずのマーレさんの部屋から、声が聞こえる。昼ドラ番組を画面広げて見てるでしょ。この妖精、グチャグチャした三角関係やメイドと若いご主人が…なんて映像が大好物だとわかってきた。今のブレイズさんに近づけるのは危険だ。


 翌朝、子供達が学校に出かけてしばらくすると、黄色いお花屋さんのワゴンが酒場の前に止まった。降りてきたのは、素敵なエプロンのお姉さん。噂のバイオレットさんにまちがいあるまい。


 スタスタと真っ直ぐに店の奥へ向かう。死んだ魚のようなブレイズさんを引っ叩いて起き上がらせると、形の良い腰に手を当てて仁王立ちしてる。カウンターからは素敵な後ろ姿しかわからないが、見上げるブレイズさんの絶望的な表情からして、近づかない方が良さそうだ。


 それから暫く酒場の奥は貸し切りになった。アービンさんもカップを持つと、遠回りしてカウンターに退避してきた。でも、何人かの常連さんは、遠巻きにするだけで誰も帰らない。皆さん暇なのかね。ブレイズさんを心配してると思いたい。


 ジャージーさんが気を利かして天井のスピーカーを制音モードにしたので、テーブルの周囲で話し声が打ち消されて、静かな音楽しか聴こえて来ない。


 ボクは、這いずって近づこうとするデネブ妖精を押さえ付けて、ハラハラしながらカウンターの中から覗いていたが、ジャージーさんもリリーさんもまるで心配してないようだ。


 バイオレットさんは、腕を振り回していいパンチを一発入れると、小一時間くらい泣いたり笑ったりしていたが、それ以上血を見ることもなくブレイズさんに表情が戻ってきた。良くわからないけど、人生の勉強になったような気がするのは、気のせいだろうか。


 ジャージーさんがボクのレンジからミルクティーを取り出すと、酒場のカップで温めた。ウインクしてボクに差し出すので、幼児には大きなトレイを両手で支えてテーブルまで運んだ。デネブ妖精がお盆の上で踏ん張ってカップを支えてくれた。


 バイオレットさんは、名前と同じスミレ色の目をしたお姉さんだった。ブレイズさんには、もったいない綺麗な奥さんだと思う。でも、聞いた話だとブレイズさんの方がお金持ちの家の次男なんだよね。


 ********


 ブレイズさんが、ボクを一人前の事業者の様に紹介するので、バイオレットさん、目を白黒…白菫?させていた。ボクの足りない背丈で背伸びしてテーブルに置いたコンビニミルクティーを笑顔で受け取ると、口をつけてちょっとビックリしてる。しかも、小さなメイド妖精がおぼんの上で勿体ぶって「ぼっちゃまからのご好意です。」とか、ミルクティーを説明するものだから、バイオレットさん、何か納得した様子だ。


 そのまま暫く、ボクもバイオレットさんとお話しした。ブレイズさんが、よせば良いのに、いらない説明を挟み込む。だんだん無視されて、凹んできた。同じく無駄に混じりたがるデネブを、ブレイズさんの前に置いてみた。


 バイオレットさんの娘さんは9歳で、スミレさんと言うそうだ。自動翻訳が働いたかと、聞き直してしまった。発音が「スミレ」ちゃんだった。バイオレットさんは花の名前としか知らなかったが、遺失語なのでブレイズさんの仕業だろう。


 リリーさんがレンジからオレンジジュースをボクに持ってきてくれたので、バイオレットさんにも味みしてもらった。短い間に、ブレイズさんより、お友達になれたかもしれない。今度、スミレちゃんを紹介してくれるそうだ。ボクは、コンビニコーナーを案内してあげた。錬成レンジは、まだ見せていない。


 ********


 お昼前にいったん帰るそうなので、ボクのおすすめの唐揚げのり弁当とカツカレー弁当を包んで、スミレちゃんにサンドイッチやオレンジジュース、お菓子の詰め合わせを紙のバスケットに入れてあげた。SM・Hのロゴマーク入りだ。シャウラさんが手伝ってくれたので、シルキーマーレ・ホームカンパニーのロゴだとキッチリ説明しておいた。シャウラさんが渡すと、いらん想像をする客が多かったからね。


 ブレイズさんは…、言うまでもなし。なんの発言も一発で黙らされて、黄色いワゴンに引きずっていかれた。


 言葉のあやです、もちろん自分で歩いて乗ったよ。何度も振り返って「荷物が…」とか「捕獲の予約が…」とか言ってるけど、バイオレットさんの顔を見ては、諦めて車にのった。さらば狩猟者ブレイズ、アナタのことは忘れない。ショーは小さな胸に手をあてて、彼の放蕩生活が終わるのを見届けた。…合掌。


 バイオレットさんは遠巻きにしていた常連さんと、ボクの保護者のベラさんに挨拶すると、少し何か話して、黄いワゴンに乗り込んだ。川の方に走り出すと、あっけなく見えなくなった。


 ********


 その後、酒場はちょっとしたお祭りになった。遠巻きにしていた近所のおばさんに捕まったボクは、窓際の真ん中に座らされて、尋問の集中砲火に曝された。


 まあ、悪い人たちではないので手加減してくれたけど、結構鋭いところを突いてくる。


 店名の「シルキーマーレ・ホームカンパニー」から、マーレさんが居なくなったのがボクの実家の引き抜きだと確信したらしい。元々事業家のマーレさんが、シルキーなマーレブランドを立ち上げたと推測した。うん、近い、かすってる。


 それに色々と教えてくれた。レッドドラゴンの旦那さんが経営する川向こうのショッピングセンターやバーミリオン家が運営する首都とローザンヌを繋ぐ鉄道の事。ブレイズさん、思った以上のお金持ち一家の次男みたいだ。こんなとこで何してるかね…ああ、拗らせ冒険者だった。


 お花屋さんが、ショッピングセンターに、潰すぞ!…とか凄んでいたのに違和感を感じてたけど、それも教えてもらった。ザイオンでは大規模に花を栽培できない。花屋は定番の表看板で、種苗店の方が近いみたいだ。つまり、開拓地の農業を支えてるお店だ。


 バーミリオンは食料の生産と輸送を握っていて、ホテル業などもやってるらしい。紛れもなく有力者だ。その中で、お花とフルーツのお店を開いてるバイオレットさんには、好感が持てる。


 確かに、ザイオンに順応した植生や顧客が求める花をダンジョンで集めるのも花屋さんの仕事でしょうが、ブレイズさん…経営者が自分で採りに潜るには程度があるでしょう。ボクは、バイオレットさんとお友達でいる事に決めた。



 **********


 (補足)

 公団艦隊旗艦:ハルモニア:中央作戦司令室


 通信ウインドウにて、作戦級戦艦:カラー

「海賊が動きませんね…。プレアデスやサジタリウスの小隊は、テレポートの光跡が観測されてますから確実に集合します。全部の光跡を捉えていないので、何隻かは先にジャンプアウトするでしょう。しかし、メタトロンの連結が意味不明で時間が読めなくなりました。」


 旗艦:ハルモニア

「メタトロンの苦戦は、昨日まで順調だっただけに予想外ですね。反射盤の変形と光源脈動をまだ繰り返しているし、攻撃の発動に数日かかったらどうしましよう。思いっきり緊急招集を発動してしまいましたわ。」


 カラー

「姉様、メタトロンの仕事をそこで口にしないで下さい。でも連結から聞こえるのは通信と言うより呻き声ですね。何やってるのか…、どうやら5時間後に光源と反射盤がエンゲージするようですので、グングニルへの着弾は、おおよそ、その後90分後になります。全て光速移動ですので、各要素の軌道位置とテレポートのタイミングで言えば、ギリギリ正しい作戦の範疇ではないでしょうか。」


 ハルモニア

「団長や首脳陣には、一度仮眠してもらいましょう。デブリ掃討艦隊の皆さんは、休めないので予定通り、三交代シフトで進めます。」


 ***

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