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漫才ネタ

アウトとドアとクローゼット

作者: 空見タイガ

【GETUP!GETLIVE!漫才・コント大賞】に応募できなかった漫才のネタです。

ボケ「自分と異なる人間にも歓びや悲しみがあると最近わかってきて、今の人間はたいへんでしょ。奴隷にも性奴隷にもできないし、ストレス発散でいじめ殺すこともできない」


ツッコミ「生まれた時代の異なる人間にも感情はあるからな」


ボケ「時代が違うって大きいよ? かつては論理積のベン図みたいな理解でよかったのに、今は論理包含のベン図ぐらい理解してあげないといけないから。思いやり領域の拡大により自分の気持ちを守れなくてストレスになるよ?」


ツッコミ「たとえが分かりづれーわ。具体的に何があったんだよ」


ボケ「アウトドアに誘ってくるやつって絶対に同性愛者だよね」


ツッコミ「ちげーわ」


ボケ「なら絶対に異性愛者なの?」


ツッコミ「この世に絶対なんてねーんだよ」


ボケ「でも女からは誘われたことがないよ?」


ツッコミ「それはおまえが女にモテねーだけだろ」


ボケ「つまり男にモテているわけでしょ。男が男にモテるというのはつまりつまりつまり、つまりだよ?」


ツッコミ「ていうか相手が異性愛者だろうが同性愛者だろうが遊ぶのには関係ねーだろうが。素直に行って素直に楽しんどけ」


ボケ「いやあっちは関係あるかもしれないよ? 本当は違うことを愉しみたいのかもしれないよ? オレがオッケーしたことで『ああ、そっちもオッケーなんだな』って勘違いして互いに不幸なことが起きるかもしれないよ?」


ツッコミ「それは個人と個人のコミュニケーション不全だろ」


ボケ「互いにというか、オレにだけ不幸なことが起きるかもしれないよ?」


ツッコミ「イヤなら抵抗しろよ」


ボケ「抵抗とか無理だって。だってアウトドアに誘ってくるやつって絶対に手慣れてるよ」


ツッコミ「アウトドアにな。アウトドアに手慣れてるな」


ボケ「しかも密室の野外に連れこむわけだから」


ツッコミ「密室って外から入れないことだろ。外だろ」


ボケ「密室『の』野外だよ? 犯人の超絶トリックによってふだん気ままに過ごしていた自分の部屋が密室となって外から入れなくなるから。どうすんの? 山登りに行ってハイ山頂です、今日はここらで泊まりましょうって身ぐるみ剥がされたら? 下山するの? 足を滑らせて骨折して熊に生きながら食われるが?」


ツッコミ「それは相手が犯罪者だからであって同性愛者かは関係ねーだろ」


ボケ「だいたい誘ってくるほうが移動手段を用意してくるわけでしょ? どうすんの? ここでエッチなダンスをしないと帰してあげないよって言われたら? エッチなダンスしないと置いてきぼりにされちゃうよ?」


ツッコミ「深く考えんなよ。おまえと仲良くなりたいだけだって」


ボケ「隠語だろ?」


ツッコミ「隠語でねーわ」


ボケ「つかさー、一人で行けばいいのにって思うのね。アウトドアって社会の軋轢みたいなものから解放されて自然をのびのびと楽しむみたいな趣味でしょ? なんで集まって新たに社会を作り出しちゃうの? 一人では出来ないことをやりたいの? ヤリたいの?」


ツッコミ「趣味に何を求めるかは人それぞれだろ」


ボケ「でも『ソロキャンプが好き』って話していたやつが急に『一緒に行こうよ』と言ってきたらどう思うよ? 好きなものよりオレとの時間を優先するわけでしょ? どうすんの? 『愛するソロの概念を捨ててまで彼に魂を捧げたのにふつうにキャンプして終わった』と思われたら? 次の日から気まずくなるよ?」


ツッコミ「なんでつねに相手がおまえに対して想いを秘めている設定なんだよ。ちげーだろ」


ボケ「いや、同性愛者だったら絶対に秘めるでしょ」


ツッコミ「この世に絶対なんてねーって教えたろ。そもそも同性愛者だからっておまえがタイプとは限らねーだろうが」


ボケ「ここでいう絶対は論理的な絶対だが?」


ツッコミ「いくら論理的でも倫理的にねーわ。一応、聞くけどどういう論理だよ」


ボケ「同性愛者だとカミングアウトしたらアレコレ邪推されて断られるじゃん? だから同性愛者が同性を遊びに誘うときは必ず気持ちを秘めるしかないんだよ!」


ツッコミ「おまえのせいじゃねーか。二度と誘われんじゃねーよ」


ボケ「いや、自分と異なる人間にも感情があるから。人の誘いたいという欲求までは否定できないから。生きているかぎり誘われ苦悩しつづけるよ」


ツッコミ「なら死ね」


ボケ「ギャン!」

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