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96.お試し期間

だんだんラストが近くなってきましたが、どこまでイベント回収するか悩み始めました。

設置したフラグは基本回収して行きますが、あまりイベントを出し過ぎても間延びしすぎという。

当初の予定では、早くて50話付近で完結かなと思ってましたが、実際に書いてみるとそんな事はありませんでした。

本日の舞台は、【迷いの森】にある魔女の住居である。

今は広めのテーブルで作戦会議が行われている所だ。


フィーリとフェイリアがお互いに情報を交換して行き、

パペット三人組がそれを聞いている。


「思ったより余裕が無さそうな状況になったのね」

「ええ。当初の予定では、あと十年は余裕がある計算でしたが」


話されているのは、巨大な邪神の破壊計画である。

どうも計画を早める必要があるようだ。


「大魔法の方は、あと少しで最低限の規模には出来るわ」

「となると、そのタイミングで仕掛けるしかありませんね」


そこで会話は止まり、フィーリは三人組を見つめる。


「もうすぐ【妖精の森】一面が大魔法の回路になるから、その後手伝ってね」


妖精の森を改造している時点で何かあると予想していた三人組であったが、

手伝いとなると何をすれば良いのか分からない。


「協力はするが、俺達に何か出来るようなレベルなのか?」

「その点は大丈夫。三人は、全力でキュア・ポイズンを使うだけよ」

「「「それだけ???」」」

「そう。ただし、三人は何があっても怯む事無く発動し続けて欲しいの」


キュア・ポイズンの習得後、練習を続けた三人には簡単な作業であった。

特に男性陣は、失敗する事は無いレベルに成長しており、Lv20程の毒を消し去れる。

魔法の専門家には到底及ばないが、今回は戦力となるようだ。


「フェイリアの方はどう?」

「間もなく準備を終えられそうです。所属メンバーも欠員無く出せます」

「良かった。魔神全員も集まったから、今の所は大丈夫そうね」


三人組は情報を整理するが、今回の話とキュア・ポイズンが結び付かない。

その後も話を聞くが、この計画に大人数が参加する事しか分からない状態であった。





「さて、今回の話はここまでですか」

「そうね。今日は帰る前にアレ、やって行く?」


アレとは、以前リコラディアが事後を偶然目撃した、魔法の撃ち合いである。


「…今回はこの三人に譲りましょう。それでは」


乗り気ではなかったらしく、三人組が参加権を得る。


男性陣は何が起こるのか分かっていないが、リコラディアは固まっている。

言うまでも無いが、フェイリアと同じ"球技"をされると一瞬で微塵である。


「三人の場合は、そうね…訓練形式で黒爪のアイテムを使う練習でもする?」

「そう言えばアイテムは多数あるが、使わず仕舞いだったんだよな」

「決まりね。効果を実感すれば、戦略に組み込めるはずよ」


実は、三人組がフィーリとまともに訓練するのは初めてである。

これまでは"手強い相手"が居たのだが、更に上を知る良い機会だ。


念の為、住居から離れた広場へ場所を移す。





場所を移したは良いが、思わぬ事態になっていた。


三人組とフィーリが向かい合って立つ他に、周囲には見学者が居る。

移動中に会った元奴隷のパペット達が、仲間を連れて見に来たようだ。


「それでは、これから模擬戦を始めます」


話し声が聞こえていた広場は急に静まる。

この場に居る者は、何かを得ようとして参加している者だけだ。

表情は真剣そのものである。


「避ける攻撃と受ける攻撃を見極めて、戦闘しながらアイテムを使ってね」

「…善処する」

「いつもと同じ、いつもと同じ、いつもと…」

「何と言うか、隙のようなものが無いですね…」


三人組は戦う前から精神ダメージを受けているが、既に逃げは許されない。

構え、最初のアイテムを使用した瞬間から戦闘開始である。


「まずは無難に、属性ダメージ軽減アイテムだ!」


フィーリは魔法しか使わない。

物理攻撃手段は結局魔法による何かであるので、満遍なく対策を取った。


「イグニード・ランス」

「「「!?」」」


開幕から放たれたのは、いきなり即死級の魔法である。

イグニード・ランスは火属性Lv180の単体魔法だ。

属性耐性を上げた所で、このままでは耐えきれない。


「防御態勢に入る!補助は頼んだ!」

「え、えっと!水護印ってやつを使ってみるわ!」

「ボクはシールドペーパーと書いてあるアイテムです!」


一番耐久力のあるクエラセルが壁となり、そこへダメージ軽減のアイテムを使う事にした。

定番戦術の範囲ではあるが、攻撃に出る余裕は全く無い。


「ぐおおお…!」

「「回復!」」


ここまで防御を固めても、クエラセルの体は凄まじい勢いで焼けて行く。

そこへ二人掛かりで回復を行う事によって、凌いでいる。


「助かったようだ…が、生きた心地がしないな」

「ボクの感覚では、かなりギリギリの所でしたね」


三人共に冷や汗をかくレベルだったのだが、リコラディアは男性陣と感想が違った。


「す、凄い…あれが、そうなって…これは発見だわ!」


魔法を研究し続けた成果もあり、"作り方"が分かるようになって来ている。

といっても、まだ単純な構造の魔法のみだ。

イグニード・ランスの構造は殆どが単純なので、得る物があったようだ。


フィーリの訓練はとても厳しいが、一度で色々と勉強出来るプランになっている。


「その調子よ。次は…サンダー・ブラスト」

「これは避けないとダメよ!」

「分かった!」

「ボクは、この"逃げ足が速くなる魔法薬"と言う物を…」


サンダー・ブラストは、Lv230の魔法である。

発動までに時間差が有り、直線状の攻撃範囲なので、読みやすい魔法だ。

これも単純な構成だが、相手を誘導すれば一網打尽に出来る威力がある。


何とか全員躱せたようではあるが、後ろは惨状である。

躱し損ねた場合に待っている未来の回答だ。


「この隙に仕掛ける!爆撃印!」

「炎舞鱗粉を使って、ファイア・レイン!」

「勇者爆弾…?とりあえず使ってみます!」


一気に攻勢に出る三人組だが、詳細が分からないのでほぼ手当たり次第だ。

ただ、今回は高級品ばかりなので、性能は保証されている。

実は殆どが売値で百万アグラを超える品である。


「マナ・シールドを使いこなせば、このレベルの威力でも無力化出来るのよ」


フィーリは魔法の実演をしながら戦闘する余裕があるようである。

マナ・シールドは、いわゆる万能の防御魔法だが、要求マナがとても多い。

加えて制御も難しいので、使えていても極めようとする者は少ない。


「そして、忘れてはいけないのは…アクア・スフィア」


巨大な水球が現れ、三人組を飲み込んだかと思うと、その場で静止する。

水がその場に留まり続ける為、人であればいずれ溺れてしまう。


「「「…!…!」」」


パチン! サバババ…


弾けた音がしたかと思うと、アクア・スフィアの水が流れ出す。

本来は持続する魔法だが、術者が解除すればその時点で流れ去ってしまう。


「こんな風に、軽減しても意味が無く、回避も難しい。そんな魔法もあるの」


三人組の場合は窒息死する事は無いが、上手く動けないのに変わりは無い。

本来の用途とは違うが、違った方法で有利に運ぶと言う発想も重要である。





「今回はここまでね。使い方はある程度掴めたと思うわ」

「「「はあっ…はあっ…」」」


三人組は、耐えきってはいるが虫の息である。

地面に寝転んで、歩けるまで体力を回復する。


「この経験はきっと役に立つから、忘れちゃだめよ?」


三人組は、あまりの疲労で、首の動きでしか答えられそうにない。

フィーリは小さく笑うと、一緒に寝転んで回復を待つ。

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