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92.硬質殻ダイア・スネイル

何故か日に日にやる事が増えて行きます。

暇よりは良いんですが、この作品を書きあげてから忙しくなって欲しいものです…


そしていきなり話がぶっ飛んで、モブの話。

モブキャラは基本的に名前が付きません。

目立つ奴がいたり、付けとけば良かったと思う所はありましたが、ここは付けずに行きます。

今回の舞台は、オトルスに多数存在する鉱山の一つである。

その入り口付近でギルド【黄鉄】のメンバーと、パペット三人組が合流している。


普段と違うのは、別のギルドメンバーと居るだけではない。

なんと、誰も武器を構えていないが、今は戦闘中である。


「まずは、初めて見た感想を聞こうか」


黄鉄のマスターが三人組に話しかけてくる。

気を遣っている訳ではなく、折角なので話を聞いてみたいだけである。


警戒心が高すぎる故、ダイア・スネイルは接近されても全く動かない。

僅かな物音や振動に反応して防御するのだ。

これを利用し、大きな鍋に入れて鉱山の中から運搬している。


「透明な彫刻品みたいな感じだな。中が透けて本体が見えるが」


ダイア・スネイルの特異個体は、透明の殻の中に本体が住んでいる。

本体は全く防御能力のない軟体生物である。

そこを殻で補っているのだが、特異個体は殻が異常に硬く、それでいて修復される。


何を思ったか、料理をするかのように、鍋でそのまま煮込んでいる。


「そろそろコイツを投入してみよう。メルト・ワームの消化液だ」


黄鉄のマスターは、大きな鍋に液体を追加する。

中はぐらぐらと煮えたぎっており、大きな具材が見える。


「「「料理にしか見えない…」」」


中に入っている具材は、今回討伐対象のダイア・スネイルである。

料理をしている訳ではなく、熱攻めの最中だ。

ここに消化液を加え、更にダメージを与えて行く作戦だ。


「通常のダイア・スネイルは、これが一番楽に始末出来る方法なんだが…」


殻を破壊せずとも本体が倒せれば良い。

つい最近になって、黄鉄で発見された討伐方法なのだという。





一時間程待機すると、水が沸騰しているような音は聞こえなくなる。


「よし、鍋を返してくれ!」

「「あーい!」」


黄鉄のメンバーが二人走って行き、息の合った蹴りで鍋を蹴り飛ばす。

消化液が入っていた物なので、手で作業するのは自殺行為となるのだ。


しかし、努力も空しく、ピカピカになった透明の殻がもぞもぞ動いている。


「どうやら仕留めるには至らなかったようだ。次は君達の戦闘を見せて欲しい」

「分かった。とりあえずいつも通り行って、硬さを確かめてみるか」

「熱に強いなら、氷?とにかくやってみるわ」

「とりあえず、状態が変わっていないか鑑定してみます」


########

種族:ダイア・スネイル(特異個体) Lv90

状態:防御低下(20%)

技能:

 <ダイア・スケイル> 全ダメージを半減し、防御時は更に半減する

 <ダイア・シールド> 最大体力の十分の一以下ダメージを無効化する

 <ダイア・バレット> 無属性単体魔法 Lv80

 <自己再生> 徐々に傷を回復、防御時は状態異常も回復する

########


「防御は下がったままなのか?だったら、リコラディアがこの前作った魔法はどうだ?」

「まだイメージが完璧じゃないけど…アシッド・レーザー!」


これは、以前黒爪で喧嘩になっていた時に見学した水魔法だ。

相当無理したマナ消費だが、消費軽減装備なので何とか使用出来ている。

使いこなせば、防御をかなり減らす事が出来る魔法である。


「アース・シール!これをそのまま…食らえ!」


ガキィン! ピキッ!


クエラセルは魔法を覚えた後、シールの練習に励み、自力で魔法剣を使えるようになった。

通常の敵相手には隙が大きすぎるが、守りを固める相手であればデメリットは無い。

シール自体はマナ消費が少ないため、隙があれば使った方がお得だ。


「「「おお、殻にヒビが!」」」

「そこにアイシクル・エッジ!」


短時間でかなりのダメージを与える三人組だが…

アイシクル・エッジを発動した後、動きが止まる。


「この感覚は、マナ切れだな…」

「も、もう少しで行けそうなのに!」

「全員分のマナを殆どリコラディアさんに回したんですが、足りないようです」


三人組がその場に座り込むのを見た黄鉄のマスターは、指示を出す。


「回復の隙を与えるな!全員、ヒビを狙って攻撃!」

「「「「オオオッ!」」」」





「「「「や、やっと倒した…」」」」


座り込む三人組の近くに、すっかりバテきった団体が追加される。

回復に追い付かれないダメージを出す為、全員がずっと本気を出していたのだ。


少し離れた所に、動かなくなった透明の殻が転がっている。

ヒビの部分が完全に破損しており、そこから本体に攻撃を通した事が分かる。


「君達が来てくれて助かった。戻ったら約束通り報酬を渡そう」


そこまで言うと、黄鉄のマスターは地面に寝転ぶ。

全員、帰還に向けての休憩タイムである。





負傷者は居ないため、特に問題なくギルド【黄鉄】へ戻る事が出来た一行。

報酬をどうするかで少し話が残っている。


「想定以上の働きをして貰った。報酬は三人分で九万アグラ出そう」

「「「!?」」」

「その代わり、この殻は引き取らせて欲しい」


普通であれば、報酬は人数割りである。

しかし今回は半々に分け、三人組分と黄鉄分に分けられている。


「素材は証拠品としても必要だしな。とは言えこんなに貰って良いのか?」

「ああ。この依頼を達成すれば評価が上がり、更に依頼が来る。それで元は取れるんだ」


ギルドも商売でやっている為、この辺りの感覚も掴めなければいけない。

未来への投資、人材への投資、投資分の回収方法など、考える事は山積みである。


今回は、この三点を全て押さえた選択である。


「君達なら他の依頼も任せられそうだ。次来た時は、公開されていない物も出そう」


オトルスのギルドは、他領より実力主義である。

一定以上の能力と、ある程度のモラルがあればすぐにレギュラーになれる。

大手になるとその基準も厳しくなるが、今回はそれでも認められたようである。


三人組は、今日の所は引き上げ、帰路につく。

お察しの事かもしれませんが、特異個体のダイア・スネイルは中盤の金策です。

実際は更に硬いので専用構成でないと途方もない時間が掛かりますが…


ちなみに攻撃しないで放っておくとダイア・バレットを使ってきます。

これが意外と強い。

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