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81.立ちはだかる魔法と追加シナリオ

本日の舞台は、【迷いの森】なのだが…異変が起きている。

パペット三人組もそれに気付き、調査を始めている所だ。


「ここに泉は無かったはずだが」

「しかもスライムが出てくる?」

「情報が無さ過ぎて判断に困りますね」


前日まで無かった泉からスライムが出て来ている。

水中に居た訳では無いようで、どこからかワープしているような感じだ。


スライムは敵意が無いようで、三人組の横を通り、そのまま森の中へ入っていく。


「「「うーん…」」」

「三人共、ここに居たのね。これは【妖精の森】のスライムが遊びに来てるのよ」


どうしたものか悩んでいる所で、フィーリが現れる。

何も知らされていない三人組に解説を始める。


「この泉を使って…?」

「あ、もしかして農場に行った時のあれ?」

「いきなり現れてる感じからも、それっぽいですね」


事前の経験がある事で、何となくアタリを付けられている。


「原理は同じよ。実は【妖精の森】を手に入れたから可能になったのよ」

「「「えっ?」」」


ちょっとだけ秘密を話すようなノリで、とんでもない話が出てくる。

実は最近、妖精の森では伐採被害が酷く、妖精たちが激怒している。

他にも色々な問題があり、それらを解決する代わりに使用権を得た。


まずは第一弾として、伐採により狭くなった分のスペースを貸し出している。

好奇心旺盛なアシッド・スライムがこれに食いつき、早速様子見に来たのだ。


「見えないと思うけど、人型に近い妖精も来てるみたいね」

「見えないな」

「どこ?どの辺り…?」

「な、何かが触れて行きました!」


気配すら感じない妖精は、かなり高位の存在だ。

スライムに紛れてとんでもない存在も遊びに来たようである。


「これで第二拠点が出来たから、大魔法の方も大きく進みそうね」


色々な問題を引き受けてまで手に入れたのは、この為だ。

既に地下では繋がっており、大きな設備を手に入れたようなものだ。

先程の泉は、これを利用した転送装置となる。


「ボク達もこの泉で妖精の森へ行けるんですか?」

「行けるけど、暫くは混雑すると思うわ」


グリンは一瞬で移動出来れば便利だと考えたが、実験はまだ無理そうだ。

もし可能になれば、大幅な移動時間短縮になる。


話が落ち着いた所で、不意に課題を与えられる。


「突然だけど、全員キュア・ポイズンを使える状態にして欲しいの」

「それなら、もう使えるわ!」


魔法主体のリコラディアは、課題を与えられるまでもなく修了していた。

多数の魔法を保持していたのが、ここに来て役に立った。


「ま、魔法か…」

「ボクは密かに勉強中なので、もう一息で行けそうな感じはあります」


不安そうなのは、クエラセルだ。

取り戻した記憶では、魔法を使おうとしてことごとく失敗している。

しかし、ついに乗り越えるべき壁となってしまった。


「こうなった以上は、やるしかないか」


今まで無茶な物をたくさん見て来たので、命の危険が無い分簡単だと考える。

それに加えてリコラディアが居るので、分からない事は聞けば良い。

簡単ではないが不可能な状態でもない、という発想だ。


「まず俺は基礎を勉強しておく。教えて貰うための知識すら危うい」

「その方が良さそうね。じゃあ先にグリンを見るわ」

「助かります」


三人組…のうち二人は、猛勉強する事になった。


------------------------------


一方こちらは、クラーグ王城である。

謁見の間に様々な者達が訪れ、用件を済ませては去っていく。


「ふう…今日はあと何組だったか…」

「残りは三十組ほどですな」


今は平和な状況なので報告を聞くだけの用件も多いが、重要な話はある。

王はそれらを確認し、重要度に応じて適切に処理する必要があるのだ。

結果的に大臣も同様である。





そんな公務が行われている中、実に平和な空間があった。


「今日の土産は、これだ。ひっくり返すと…」


土産物の実演をしているのは、ザウドだ。

そして、テーブルを挟んでシェリー第一王女が座っている。


「まあ!このような品は見た事がありません!」


実演しているのは油時計の一種だ。

透明な液体があるだけに見えるが、実は二種類の比重が違う液体が入っている。

ひっくり返せば、比重が重い液体が落ちてくる仕組みだ。


重い方の液体は光を強めに反射するようになっており、キラキラ輝いて見える。


「装飾品類は良い物持ってそうだったからな。これにしてみたんだ」

「素敵な品ですね…落ち着きたい時に良い気がします」


気に入ったのか、シェリーは輝く液体を眺めている。

暫くすると液体が落ちきるが、ひっくり返して再度楽しんでいる。


ザウドはその辺で買ってきたような口振りで話すが、実は高級品である。

王城の雰囲気に合わせると、どうしても安物は浮いてしまうのだ。

内心ドキドキしていたのだが、杞憂だったようだ。


「ところで、もうすぐ育成プロジェクトが決着すると聞いたが」

「魔王城決戦編が終われば、その後はお祭りで終わりですね」


この一連の仕込みはもうすぐ終わるようで、先程の謁見もその関連が多い。

といっても、"あの勇者パーティ分"が終わるだけなのだが。

勇者現れる所に魔王あり。そう言う事である。


「決戦が終わってからの話ですが、お願いがあります」

「何だ?祭りの準備とかか」

「そうではなく、その…」


何故か言葉を詰まらせるシェリーだが、何を伝えたいのか分からない。


「えっと…そうです!お忍びで祭りを見て回りたいのです!」

「そうか、気軽に出かけられないんだったか」

「はい。そこで、一緒に回って欲しいと言うお願いです」

「俺で良いなら幾らでも」

「約束ですよ!」


ザウドには別シナリオが用意されているようである。


その後の話題は笑いを取る方向へ変わり、今日も平和なようだ。

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