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66.メイド教と新防具

説明したか記憶にないので補足しておきます。

装備の攻撃力・防御力は、装備者のLvに応じて変動します。

スキルを除くと、これらは全てのアイテムで同じとなります。


つまり、最序盤に作った防具をクリア後ダンジョンでも無理なく使っていけます。

斬新…?

今日の舞台は、ギルド【黒爪】で、パペット三人組が入り口付近に来ている。

スライムの弱体化等の話をフェイリアに伝えに行くのだ。

フィーリからマグマ・ゴーレムの話も聞いており、纏めて伝える予定だ。


着いたは良いが、等間隔に並ぶ大量のオブジェのせいで、進めない。

暫く眺めているとクオが現れ、三人組にもオブジェになるよう指示してくる。


「今日はメイドさん降臨の日だから、こうやって信仰してるわけ」


謎のオブジェは、全てギルドメンバーである。

正座し、頭を垂れた状態でピクリとも動かない。

もちろんこの行為には何の意味もなく、大勢の自己満足である。

それに巻き込まれてしまったのだが、結局中に入れないので従っておく。


数分待つと、フェイリアを先頭にメイドが現れる。

多くて数人だと予想していた三人組だが、明らかに十人以上居るようだ。


「何ですか、この状況は…」


先にフェイリアが驚き、連鎖するようにメイドも困惑していく。

集まるようには言ったのだが、こんな事になるとは思わなかったのだ。

メイドからすると、奉仕対象から崇拝されるという訳の分からない状態だ。





メイド全員の紹介と、それぞれの主な仕事内容を発表し、その場はお開きになった。

フェイリアは中を案内するようで、メイドを引き連れていく。

オブジェだったメンバーは、それを見てバラバラになり活動を開始する。


三人組は来たタイミングが悪かった事に気付いたが、とりあえず中に入る。


「お帰りなさいませー!」

「「「!?」」」


いつの間にか、入ってすぐの所にショップのような物が出来ていた。

メイドの土産屋と書いてある看板がある。

声を掛けていたのは、他と作りが違うメイド服の女性である。


「あんた、さっき紹介された中には居なかったよな…?」


クエラセルは事情がよく分からないので確認してみる。


「ああ、本物のメイドじゃないからね。生物鑑定したら分かるよ!」

「では…」


グリンは言われるがまま、この女性を鑑定する。


########

種族:冥土門番 Lv120

技能:

 <冥土の守護者> 冥土で戦闘時、ステータス倍化

 <キーパー> 侵入者を察知する

 <業務提携> 死神族の攻撃と自身の攻撃を合体できる

 <魂裂き> 実体のない相手に攻撃でき、ダメージ大幅上昇

 <復活> 死亡した場合、冥土医療センターで蘇生される

 <超・女子力> 上位複合技能(手芸、料理、...)

########


実は、このショップ店員は手違いで雇われた者だ。

キーパーというメイド達の管理職を雇ったつもりだったが…

冥土のゲートキーパーを雇ってしまったのだ。

能力は高かったので、侵入者対策としてそのまま雇われている。


「じゃあ、そのメイド服は…」

「趣味で自作だよ!良く出来てるでしょ?」


これは超・女子力スキルで得た能力を使う事で作れている。

しかし、メイド服を着ただけではメイドではないらしく、崇拝されない。

メイド信者達は何かを感じ取っているのだ。


「忘れる所だった、これどうぞ!」

「これは砂糖菓子?同じ物を見た事が無いな」

「それ、手作りだからね」


ハート型のキラキラ輝いている飴を人数分渡される。

ここは、実は新たなサービスの窓口でもあり…

通常時であれば、依頼を受けて出掛ける者に菓子が渡される。

今回はオープン記念で全員に配布中である。


「「「今、何て?」」」


何故か、ロビーに居たメンバーが反応する。


「え?手作りって…」

「「「ウオォォォ!!」」」


急に人がなだれ込む事で、一行は追い出される。

普通に販売されている分の菓子はすぐに全滅しそうな勢いである。

手作り効果は絶大のようで、売り上げは順調だが、来客の分は無い。





「依頼は復活してるが、数は少ないな」

「楽勝な依頼と、死にそうな依頼しかないわ…」

「悩ましいですね」


メイドが来た事によって状況は落ち着いたが、依頼の数には限りがある。

以前の状態に戻るまで、暫くは好き放題には行かない状態だ。

一応、難易度の高い中では楽そうな物をチェックしてみる。


・【フロスト・エッジ】一体討伐

 →14000アグラ

########

種族:フロスト・エッジ Lv130

技能:

 <氷結斬> 氷属性単体攻撃 Lv120

 <噛み付き> 物理単体攻撃 Lv120

 <足場崩し> 攻撃時、敵全体の防御行動をキャンセルする

 <巨体> 状態異常に掛かりにくくなる

 <潜伏> 攻撃時以外は砂に潜る

########


・【ファイア・バレット】三体討伐

 →10000アグラ

########

種族:ファイア・バレット Lv90

技能:

 <炎の体当たり> 火属性単体攻撃 Lv80

 <自爆> 物理範囲攻撃 Lv130

 <異常吸収> 状態異常を無効にし、攻撃にその状態異常を付与

########


「フロスト・エッジだが、不安要素が多すぎてダメそうだな…」

「こっちのファイア・バレットって、魔法だと思ったら魚?」

「これはこれで、複数討伐という事は、集まって自爆も考えられます」


格上に挑んで勝ってきた三人組であるが、それは対策に対策を重ねた結果だ。

今回のように地力が求められる戦いでは、まだ歯が立たない。

その事を自覚しているので、踏み出せずに居るのだ。


他のメンバーを呼んでも良いが、完全に頼っては経験にならない。

そのバランスを取れそうにないため、今回は依頼を取りやめる事にした。

代わりに装備強化を進める事にする。





まずは、【きらきら屋さん】で、サンダー・スライム素材を見て貰う。

サンダー・スライムの長がくれた、体の一部だ。

雷の魔力で輝いているので、使い道を調べて貰うのだ。


「かなり良い素材だから、装備用かな?」


普通の店であれば、上手い事理由を付けて買い取るような品だが…

この店はぶっ飛んでいるので、お得意様優先だ。

優良客をサポートすれば、後の取引に繋がるという作戦でもある。


「そう言えば、防具を新調したいって話があったじゃない?」

「俺が言ったが…この素材で作れるものなんだろうか」


リコラディアは、以前クエラセルが提示していた問題を思い出す。

しかしスライム素材で防具を強化出来るイメージが湧かない。

防具に出来そうな、ヴェノム・スパイダーの殻はダメだったのだ。


「まず、ヘルリットさんに聞いてみたら良いと思うよっ!」


ピナは、素材の詳細を纏めた紙を渡してくる。

尤もな意見が出る事によって、一行は【たましい屋さん】へ向かう事になった。





「君達、チョット怖いんだけど?何したらそんな素材が手に入るの」


人の列は消えていて、すんなり入れた、たましい屋さん。

店長のヘルリットに素材とその詳細情報を渡している。


「今回は、人脈とトラブルの賜物と言うか…」

「死神の世界は不測事態が起こりにくいから、ある意味羨ましいネェ」


会話しながら、ヘルリットは何かの計算を始める。

これは、どんな素材に適合するかを判断している。

暫く掛かるとの事なので、店内にある防具を見てみる。


それぞれ、値段と一緒に鑑定結果が書いてあり、分かりやすい。


「これ、面白いな。全く買えそうにないが」


#########

品名:回避の鎧

特性:

 <超軽量化> 防具の重さを三分の一にし、【回避率低下】無効 

 <速度増加> 命中率・回避率が上昇する

 <回避率上昇> 回避率を上昇する

#########


「わたしは、選ぶならコレね。こっちも買えないけど…」


#########

品名:コストカットローブ

特性:

 <再利用> 続けて同じ属性の魔法を使う場合、使用マナ減少

 <魔法コスト軽減> 魔法発動時のコスト低下 

 <魔法範囲拡大> 魔法の攻撃範囲を拡大する

#########


「これ、相性良さそうです!やはり買える気がしませんが」


#########

品名:魔導爆破ローブ

特性:

 <魔導爆破> 魔法石を使った攻撃の威力を上昇する

 <魔導誘爆> 魔導爆破の効果を大きく上昇する

 <投擲距離上昇> アイテムを普段より遠くに投擲できる

#########


一行は色々と眺めて、スキルとその構成を見学していく。

暫くすると、計算が終わったヘルリットから声が掛かる。


「雷耐性防具を作る予定はあるかい?」

「今の所は無いな」

「じゃあ相談なんだけど、この素材とさっき選んでたヤツを交換しない?」

「「「!?」」」


ヘルリットの職人魂を揺さぶる素材だったようで、取引を持ち掛けられる。

一応作れそうな防具の系統も見せて貰えたが、雷耐性に関する物ばかりだ。

全属性揃える資金も素材も無いので、ここは取引に応じる事にする。


「いやぁ、新たな防具が出来そうでワクワクするよ」


ヘルリットは、またとんでもない物の新規作成に掛かるようだ。

これには失敗の可能性がある為、顧客の素材で勝手に出来ない。

取引で自分の物にしてしまえば、好きに出来るという考えだ。


三人組は買えるはずの無かった新防具を手に入れ、満足して店を出る。

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