54.謝罪する豚とシール野郎
最近、外部サイトの転載騒ぎが起きているのですが、この作品では特に対策しません。
一応少し調べてみたのですが、転載される順番は評価順でもなく、Nコード順でもなく、作成順でもなく、更には書籍化も関係ないようです。
単純にランキング上位とかで名前が売れているものと、それに加え謎パターンで選ばれた物が転載されるようです。
ここ産でない作品を含めて5万作品ほど?と思われるので、まだまだ全部は取り込まれていない模様。
有名になると、こういった対応で時間を食わされて大変そうですね。
「ワシは取り返しのつかない事をした!まずは謝らせてほしい!」
「何だ、どうした!?」
ここは領主会議の場である。
特に事情が無い限りは、各領の場所をローテーションで提供することになっている。
今回はクラーグ領である。
メンツが揃うなり、震えながら謝罪の言葉を口にするのは、オトルス領主のディバだ。
今までの行動が嘘のように、ひたすら謝罪を続ける。
特にロークスには思う所があるようで、念入りに謝罪する。
話は、迷いの森北部に投棄された鉱毒に移る。
「大至急、鉱毒を取り除く装置を用意している…」
「その件は問題ない。毒は除去してある」
これは当日中にベチュラが全て除去したので全く被害が無い。
無策では、トリナムどころか中央都市のサブストルまで被害が及んだだろう。
特に河川や地下水などに流れ込んだ場合は最悪であった。
全貌を話すと良くないと考え、良い装置があると言ってごまかす。
「そ、そうなのか…?しかし問題はそれだけではない」
「奴隷買取の話か」
毒の問題から奴隷の問題へ話が変わる。
オトルスでは"医療発展の犠牲"にされてしまっていた奴隷を買い取っているのだ。
オトルスでは、そのような奴隷が一定数出来る状況を作り上げていた。
しかし、もう撤廃したのだという。
「まずは、今まで売った者を買い戻す。生活費なども後日請求して欲しい」
「そ、それは…困る…」
"不合格者"の存在を知られると不味いのだ。
今後の事は本人達に決めさせるとして逃げた。
実は結構な人数になっているのだが、どうしても少数は逃げ出したり等してしまう。
そうした場合、最初に宣言される通り、土の養分となる。
「最近ではその二つだが、他にも多々…」
ディバは今までやった事を振り返り、それぞれ今後の事を決めていく。
最近は酷い有様であったが、昔は領民に親しまれる者であった。
本人が言うには"何かに憑りつかれていた"とのこと。
次々と頭の中に浮かんでいく事を実行するだけで全てが上手く行っていた。
その内容に任せて行った結果、精神的にも悪影響を与えられ…今に至るのだという。
…
「豚にしては、なかなかの仕事。あとは全責任を取るだけですよ?フフ」
謎の人物は、"作物"を収穫し終わると、独り言を始める。
「次は、大きな害虫を駆除。その後は食べ放題…良い流れです」
-------------------------------------------
一方こちらは、ついにフォレスト・ダンジョンに挑戦する勇者パーティである。
大量の道具を買い込み、超高級品のワープ・ストーンも各員一つ所持した。
準備は万端だが、とても重そうである。
ちなみにワープ・ストーンとは、ダンジョンから一瞬で脱出できるアイテムだ。
ダンジョン前で購入でき、使うと砕け散る。
「よし、準備は良いな?」
「ああ…流石に足が震えやがる」
「今から怖気付いてどうするのよ!」
「忘れ物チェック…なし。行けます!」
冒険者の話も加味して色々と練った事で、相当な準備があるようだ。
一行はゆっくり進み、敵の数が少ない道を行く。
まずは少数と戦ってみて、どの程度か様子を見てみるのだ。
「あいつは孤立している。まず鑑定を」
少し離れた所に、種子を揺らす二種類の植物が存在する。
手前に白黒の植物、奥に緑の葉を持つ植物が見える。
「出ました!どうぞ!」
########
種族:ハーフ・セタリア Lv40
技能:
<悪魔のぶっ叩き> 物理単体攻撃 Lv35 【弱点ダメージ倍化】
<悪魔のぶっ込み> 攻撃に対して所持スキルで反撃する
<天使の頬> 仲間を自動で庇う
<天使の衣> 被ダメージを半減する
########
種族:シール・オリュザ Lv40
技能:
<弱点鑑定> 生物の弱点と秘密を知る事が出来る
<ファイア・シール> 単体補助魔法 Lv60 【火】付与
<フリーズ・シール> 単体補助魔法 Lv60 【氷】付与
<サンダー・シール> 単体補助魔法 Lv60 【雷】付与
<オカシノ・シール> 対象一体の注意を引き、行動を封じる
########
「いきなり他ダンジョンのボスレベルか」
「けど、片方は直接攻撃を持ってないみたいだな」
フォレスト・ダンジョン一階の、定番となる組み合わせである。
この二種が合わさると、危険度が大幅に増える。
よく考えないとたった二体に崩壊させられてしまう。
普通は突っ込んで反撃の嵐に遭い、ボコボコにされるのがセオリーだが…
ネルは先立って異常な相手とやり合っているので、解を見つける。
「ハーフは遠距離で足を止めるから、シール野郎を何とかして!」
「「わかった!」」
そして向こうもこちらに気付いていたようで…ハーフ・セタリアの葉が光る。
こちらの弱点に合わせてシールを付与したのだ。
「パラライズ・ジェル!」
次を繰り出す前に、ネルは麻痺効果のある水魔法を、ハーフ・セタリアへ使う。
「…!」
上手く行ったようで、ハーフ・セタリアは行動出来なくなった。
一方、シール・オリュザは、回復役のイーザに何かを見せる。
「あれは…期間限定のレア品、スカイマンシール!」
実は、イーザはコレクターである。
弱点鑑定スキルによって、嗜好がバレている。
スカイマンシールは、状態が良ければ三十万アグラの価値だ。
「何だこれは?邪魔だ!」
「一気に畳みかけるぞ!」
シール・オリュザは、スカイマンシールで攻撃を防ぐ。
価値の分かる者からすれば、非道の一言である。
「あああっ…!」
実は、オカシノ・シール スキルで、行動を封じられている。
今回はネルがハーフ・セタリアを麻痺させたので攻撃チャンスだが…
読みが外れていた場合は全滅であった。
…
特に問題なく最初の戦闘を終えた一行。
一人だけダメージを受けたようだ。
「スカイマンが…貴重な一枚…」
実はマナを使って偽物を作っているのだが、よく出来ていて判別は難しい。
慣れるまでは精神的ダメージが蓄積しそうである。