42.氷の魔女の敵の職場の姉
微妙に外れた所の話なんですが、執筆しつつ色々遊んでいるうちの一つとして、検索エンジン対応があります。
例えば前話のタイトルをググるとそのまま検索結果TOPになります。
クラーグ魔導学院でググっても一ページ目には出ます。ここまでは普通です。
しかし、パペット三人組の一人、クエラセルでは検索されません。
同条件のリコラディアは検索されます。
やってみたら、何かに気が付きませんか…?
本気で対策すると面白い事になりそうですが、そんなものより執筆時間の確保に力を入れます。
クラーグ領北部、謎の塔では、何者かが戦闘している。
「ウグガァァァ…」
しかし、巨大な翼の生えた生物が、横たわる。
たった今戦闘が終わったのだ。
「レベル上の相手にも勝てるな」
「ああ…それなら、何故あの時負けたんだ?」
「鑑定結果、出ました。死亡を確認!」
########
種族:塔の悪魔 Lv48
状態:死亡
技能:
<氷結波> 氷属性範囲魔法 Lv29
<薙ぎ払い> 物理全体攻撃 Lv15
<滅びの衝撃> 敵単体にLvの二倍の固定ダメージを与える
<怒りの咆哮> 短時間、物理攻撃力上昇
<状態異常無効> 全ての状態異常にならない
########
ここは、悪魔の塔と呼ばれるダンジョンだ。
以前パペット三人組と戦った、勇者パーティが挑んでいる。
最上部のボスを倒し、ダンジョンクリアとなるが…納得いかない様子だ。
「あの後聞いたら、平均Lv30以下のメンツだったらしいわ。腹立たしい」
明らかに機嫌が悪そうなのは、調査対象であった【氷の魔女】だ。
以前の戦闘で一人も減らせず負けたのが相当悔しいようだ。
「もしかして、相手の弱点が分かる能力があるんじゃないか?」
「それなら最初から対処できたはずだ」
戦士風の男性と、リーダーの勇者、ライザが負けた原因を探し始める。
しかし、いきなりぶち壊される。
「あの、私は…あの時の対処法を思いつきません」
「普段のイーザとは思えない発言ね?」
イーザという女性は、パーティの回復担当だ。
マナを大量に保有出来るので、高度な回復やサポートとしてメンバーに選出されている。
現状では、マナがなければ観客と化す。
「何があったのかは分かりませんが…私の場合は、気付くとマナが消えていたんです」
「ふむ、俺とネルは、魔法を使えた。何かあるな」
ネルと呼ばれた、【氷の魔女】は、何かに気が付き、ライザに許可を取る。
「ちょっと数日留守にするわ」
「許可する。一週間後は招集があるから、それまでに戻ってくれ」
…
「あら?どなた?」
「【氷の魔女】といえば分かるわね?ギルドマスターを出しなさい」
「知らないわね…誰かこの子知ってる?」
勇者パーティは基本的に裕福なメンツのみで構成されている。
ネルは馬を使いつぶし、一日かけずにギルド【黒爪】まで来ていた。
この場所は、前回の戦いのときに居た、観戦者から聞いている。
集まっていたメンツは注目さえすれど、返答はない。
「早く呼びなさい。さもないとLv45の私が本気を出す事になるわ」
「あらカワイイ!」
「昔あんな時期もあったわね」
黒爪では、Lv45で見下そうとすると、子供が強がっているように見えるのだ。
その辺にあるギルドでは相当恐れられるのだが、全然しまらない雰囲気だ。
「お姉さんと飲みましょ!今日は出してあげるから!」
「ちょっと!酒くさい!放しなさい!」
ネルは、飲食スペースに連れていかれる…
「さっきのあれ、まだあるでしょ?二つ持ってきて」
「まだ飲むのか」
「そこの男、こいつを何とかしなさい!」
黒爪メンバーの女性にしっかり抱きしめられ、逃げられなくなっている。
このままでは魔法で追い払うことも出来ないので、助けを求める。
「残念だが、俺はこの中で一番弱いLv70だ。どうにも出来ん、諦めろ」
「はあ?Lv70って…こいつは?」
「お姉さんはLv110よ。それよりコレ、お勧めなの」
【氷の魔女】は凍り付いた。
…
「私を呼んでいたのは…」
飲食スペースにフェイリアが現れる。
しかし、昼だというのに酔っぱらいが出来上がっていた。
「お姉ちゃん…」
「ああ、最高だわぁ」
呼び出した本人は、延々酒を飲まされ、壊れている。
酒を追加した女性に、もたれ掛かるような状態になっている。
抵抗する事を諦めた結果、"癒し成分供給機"に成り果ててしまったようだ。
「何をしているのです」
「マ、マスター!お客様と親睦を…」
「"刑"は後で決めるとして…アンチ・ドランク」
フェイリアは、問題児専用の魔法を開発している。
これは酔っぱらいを正気に戻す魔法だ。
「私を呼んでいたのは、貴女ですね?【氷の魔女】さん」
「はっ…そうよ!あんた闇の魔女なんでしょ?私と勝負しなさい!」
なんと、外部の問題児が発生した。勝敗にかかわらず何かあるパターンだ。
面倒事の予感を察知したフェイリアは、盾を使う。
「デスピオ、来てください」
「何でしょう」
依頼書を眺めながら食事を取っていたデスピオを呼び寄せる。
「このデスピオと良い勝負が出来るようになったら、考えましょう」
「あんた、Lvは?」
「これを見ろ。喧嘩は買うが、死んでも知らんからな」
########
種族:魔人 Lv170
技能:
<闇の眷属> 保存した影のスキルを使用出来る
<トスカ・ギア> 魔法を三百種まで保存でき、直に使用できる
<強者の威圧> 自身のLv未満の相手から受けるダメージ半減
<強者の威光> 自身のLv未満の相手に与えるダメージ倍化
<強者の威勢> 自身のLv未満の相手ステータス半減
########
「…」
鑑定結果を見ると、ネルは何も言わなくなる。
"弱い者虐めのデスピオ"と呼ばれる、対低レベル特化のスキル構成だ。
フェイリアは、遠回しにLv170以上にしろと言っている。
静かになったところで、先ほどの"刑"を決めていく。
「ローズ、聞きましたよ。あなたは嫌がる客人に無理やり迫ったと…」
「それは…」
「全く同じ行為の繰り返し、かつ最近貢献していない。"処刑"を通達します」
ローズと呼ばれた女性は、死なないラインを超えてしまったようだ。
黒爪は、"やらかした時"のリカバリーは可能だが、再犯時は事情が違う。
それ相応の理由やギルド貢献が足りなければ死を迎える。
他の問題児が死なないのは、貢献度が高い等で打ち消しているためだ。
「嫌では…ないけど…」
ところが、首の皮一枚で繋がる。
ネルは当初本気で嫌だったのだが、話している内に慣れたのだ。
今まで甘えられる存在が居なかったため、依存してしまっている。
「では、今回は大目に見ましょう。私は戻ります」
そういってフェイリアはあっさり姿を消す。
「ネルちゃん…愛してるわ!」
「…お姉ちゃん」
「何だこれは」
取り残されたデスピオは付いて行けない。
この後、ローズによってネルの強化プログラムが始まることになる。
本来の目的をすっかり忘れているが、本人は満足そうだ。