2.イスカとオトルス
主人公切り替えシステムをベースにした事によって話の切り替え部分に苦戦しています。
本当は森と人の2勢力に加えてあと2勢力混ざるのですが、徐々に合流させることにします。
晴れ続きだったイスカ領だが、今日は雰囲気が違う。
空模様は、火を入れた燻製小屋のごとしである。
それに負けじと、領主の顔も大いに曇っていた。
イスカ領北西側に隣接する領地、オトルスの領主からの手紙のせいだ。
オトルス領は領地自体が広い事もあるが、海と山の両方に面しているため特産品の幅が広い。
最近は山に鉱脈を多数発見したらしく資源採掘を盛んに行っている。
更なる成長の勢いがある領地だが、領主はよくある腐った権力者であった。
「非労働時間税」というもので強制労働させている領民のおかげで懐が肥えていっている。
この税、日ごとに十二時間未満労働の者が払うのだが、
不足分の一時間あたり三時間分の収入を納めることになる。
領民が働けば町が発展し、働かない場合は搾取対象になる両徳と考えたわけだ。
普通であれば破綻する所だが、身分の低い者でもまともに食事できる環境ではあるため、一定の労働力を保っているようだ。
まともに労働できなくなった者は…公認の大手闇ギルドや、大通りで奴隷販売の宣伝をする者が存在する領地といえば結果は分かるだろう。
さて、オトルス領はイスカ領に大きな貸しがある。
大雨による洪水被害で大きな町が一つ沈んだ時の救援、害虫の異常発生による飢餓解決など…
数えればきりがないのだが、なんと返礼行為は一切行っていないのだ。
定期的に行う領主会議でついに睨まれ、貸し分の打ち消しについてのやり取りに至った。
オトルス領主がゴネにゴネた結果、イスカ領と隣接した領地を分けることに決まった。
今回は指定地域の引継ぎなどで必要な事柄をやり取りしたのだが…
「やってくれたな、肥満狸め」
完全に舐めた書き様だけでなく、最後の紙に怒りが漏れる。
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追伸
以前決定された領地譲渡の件だが、対象が川沿いだったのは憶えているか。
最近その付近一帯が汚染されてしまっていてな。
おそらく鉱山から漏れ出した有毒物質が流れたのだろうと思われるが調査中だ。
とてもではないが人が住めるような場所ではない。
こちらとしても、そのような状態の土地を譲渡する訳にはいかない。
だが安心してほしい。
関係者と協議した結果、代わりの土地を譲渡出来るようになった。
お詫びと言っては何だが、より広く自然が豊かな土地を確保した。
詳細は同封の地図を見るように。
譲渡合意書については、後日こちらで用意したものを送る。
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地図ではオトルス領にも進出していた【迷いの森】の周囲に線が引かれ…
イスカ領がこれを全て取り込むような形になっていた。
気持ちばかり平原も含まれているが、野営に使用できる程度にしかならないだろう。
「ここまで堂々と問題を押し付けてくるとはな、恐らく文句をかわせる用意があるのだろう」
「土地面積だけ見れば、破格な条件になるが…木の魔物が居るという報告がある」
「多方面から少しずつ焼いて畑にしていってみるか?木なら火には耐えられないだろう」
考えることが溢れ、独り言が多くなる。
「森というとあの森でしょうか」
近くにいる書士が書類整理を止め、語り掛ける。
「実は近所の子供たち…私の子供と一緒に数人で森の中で遊んでいるのですが、今まで危険な生物に遭遇したことはありません」
「見たことのない木の実を色々持ち帰るほど慣れているようなので、話を聞いてみませんか?」
「もし安全な場所があれば、野菜や茸類が育てられるスペースくらいにはなるかもしれません」
領主は【迷いの森調査隊】の惨状を知っているため良い顔は出来なかったが…
今まで森から危険な生物が出て来ていない事もあり、思うところがあるようだ。
「子供たちが戻ったら話を聞かせてもらえるか」
ゲームでは、序盤だけ仲間にできる強キャラ(過剰回復戦術使いの一人)を連れて行くと森を焼けます。
森を焼いた後はクリア後の隠しダンジョン的なアレですが、魔女とも戦えます。
作中で使わないだろうと思うギミックを一部書いちゃいますが。
戦闘中にメンバーの耐性が低い異常を付与した魔法を作って放ってきたり…
敵味方両方が戦闘中に詠唱した魔法を全て呼び戻して、次のターン全放出したり…(その後蓄積はリセット)
魔法しか使ってこないので魔法の無効化とかダメージ軽減で対処できるのですが、なんせ攻撃が激しいのでそれでもきついです。
普通の攻撃魔法も使いますが、付加効果がない分威力が高く、全体はLv700、単体はLv1000(最大)とかで、耐性つけたうえで軽減しないとまず耐えられません。
皮肉なことに、毒耐性を下げることでここでも刺さるベチュラ装備…
ついでにいうとベチュラの土魔法がLv45です。